チャイナ・イノベーション2 中国のデジタル強国戦略

ファーウェイ、アリババ、バイトダンスなどの中国の巨大IT企業や中国共産党政府の戦略や実体をまとめた必読書。

当然のことながら、著者が中国人と言うことで良いことしか書いてないという点は割り引いて読む必要があるが（政府批判をしたらスパイとして捕まってしまう）、ファクトベースで書かれている箇所は非常にためになる。

特に日本だと未だ実験段階のブロックチェーンがすでに実用化されていること、ブロックチェーンの欠点からデジタル人民元は通常のDB形式になることなど、中国が着々と国全体のデジタル化を進めていることがよくわかる。

これだけ巨大な国をまるっと変えることが可能なのは独裁国家ならではだが、一歩道を踏み外せば一気に破滅するリスクもある。

ファーウェイ創業者の、アメリカに優れているところがあれば取り入れるのは当然、アメリカが敵視しても恨まないという思想が、ファーウェイの底知れない底力の源泉なのだろう。アメリカにコテンパンに負けた日本がアメリカに学んで奇跡の復興と成長を果たしたのも全く同じ理由からであり、現代日本が偏見に満ち満ちて中国に学べないことが失われた３０年につながっている。

己を知り敵を知れば百戦危うからず。今も昔も真理は変わらない。

チャイナ・イノベーション2 中国のデジタル強国戦略 李 智慧 日経BP