金融緩和が止まる日は来るか

2016-02-12 17:08:30 | Weblog
日銀の黒田総裁は、衆議院財務金融委員会で「金融緩和策に限界があるとは考えていない」と述べた。

先の大戦では、ミッドウェーで敗れても、東京が空襲されても、沖縄が戦場になっても、日本は「失敗」を認めなかった。(「間違い」とすると、歴史論争になるので敢えて「失敗」と書く)
原爆を落とされても決断せず、御前会議にて降伏を受け入れて戦争が終わったが、敗戦後も戦時下の指導者達は「失敗」を認めず、自らを正当化していた。

これは日本だけでなくドイツでもそうだった。つまり、一度、始めてしまったものを自ら「失敗」と認めて路線変更することは簡単ではなく、外部からの力で無理やり止めさせるしか止まらない事が多い。

今回の金融緩和路線も、自民党や日銀が自ら止めることはなく、止めさせる方法は政権交代による路線変更しかないが、惨憺たる状況にも関わらず、安倍政権の支持率は高く当分は交代はないだろう。(先の大戦での敗戦時も国民の意思は戦争継続だった)

つまり、日本経済が壊滅的になりどうしようもなくなるまで、金融緩和路線は続く。国債買い入れには限度がある(発行残高を超えては買い入れできない)ため、マイナス金利を大きくし続けることになると、金融機関の収益が悪化する。預金のマイナス金利や手数料増になれば、タンス預金が増えるので、銀行の貸出残高が更に減るため、資金繰り悪化による中小企業が破たんする。加えて、株安による年金財政悪化による年金削減が起こり、国民生活に確実に悪影響が出始めたら、さすがに終わるだろうが、後3年ぐらいはかかりそうだ。

現状、日本経済が悪くなると円高になるという不思議な現象であるが、国際競争力落ち貿易収支が赤字になれば、経済の低迷による円安と、普通の国と同じ状況になる。円高ピーク時に、海外資産を増やす事ができれば、国がおかしくなっても生き延びることはできるだろう。

先の敗戦時には、軍需物質をどさくさに紛れて盗み出し、闇市で売り抜けた人々が富を得た。今回も、金融緩和で儲けた人達が、富を得るのだろう。
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政権交代と規制緩和

2016-02-12 09:48:08 | Weblog
本日、日経平均が15000円の大台を割った。個人的には、大損害を受けているが、これでリフレ政策が無意味であることが証明された事は、日本の将来には、良いことかもしれない。

結局のところ、リフレ政策により実現するとされていた物価上昇も円安も実現せず、株高も円安による業績期待から買われていたたでけあり、円安も貿易赤字のためである。
つまり、仮に民主党政権が続いていたとしても、一時的な円安株高は発生し、その後、貿易収支改善による円高から株安が発生したことになる(期待値が小さい分、振幅は小さかったと思われる)。
結局、両党による政策の違いが日本経済全体に与える影響はほとんどなく、大地震による原発停止に基づく貿易赤字拡大、中国経済原則による原油価格低下という、自然現象や海外要因で日本経済の行方は決まっていたことになり、内部成長の効果はほとんどなかった。
結局、リフレ派の「人々のインフレ期待を刺激する」という主張は、「実体経済には影響ない」ということを暗に言っていたということだろう。それにしても無責任ではある。

そうすると、政権交代とはいったい何だったのかという本質的な問題となるが、そもそも基本政策が同じなので、一般国民にとってはどちらでも影響はなく(民主党はTPPを批判しているが、民主党政権が続いたとしたらTPPに参加したはず)、政党の密接な関係のある一部の利権者集団の力関係により、政権が行ったり来たりするだけである。

根本的に両党とも間違っているのは規制緩和により経済が活性化すると思い込んでいること。レーガノミクによりアメリカ経済が復活したわけだが、この本質は軍事費削減の結果、軍事技術や研究者たちが民間に移動したためである。
インターネットやGPS、航空産業が、素晴らしい成功を収めたため、「軍事技術や国営企業、独占企業の規制緩和」が、何故か「(ただの)規制緩和」とすり替わって日本で理解されているため、おかしなことになっている。
日本でも巨大企業であったNTTの通信業界の独占を緩和することで、爆発的にコミュニケーション産業が発展したが、その他の規制緩和は、最近のバス事故でも明らかなように過当競争をあおっているだけである。

規制緩和の本質は「コストを度外視して開発された技術や設備を、コストを下げて商業利用すること」である。高くて良いものを安く利用することができるようになるのだから成功するのは当然である。

日本の戦後の発展も、戦力放棄により軍事産業が操業中止になり、優秀な技術や設備が民生に転換された事が背景にあり、GHQに押し付けられた平和主義が空前絶後の復興につながったというのは皮肉でしかない。

つまり、
(1)国主導で種をつくる →(2)採算を度外視して成長させる →(3)規制緩和し(コストを下げ)マーケットを作る
の三段階が必要なのに、すでにあるマーケットで規制緩和しようとしているから無理がある。絞ったぞうきんを更に絞るだけでしかない。

戦後の日本は戦前の反省からか(当然反省はするべきだが)、累々と屍をつんだ無残な公共事業の失敗のせいか、国が産業を育てるという発想が余りにも乏しい。その判明、利益誘導という利権が残るといういびつな構造となっている。戦前の思想統制や軍国主義はまっぴらごめんだが、官主導で国営企業を作り、ある程度発展したら民営化する経済政策は、復活した方が良い。
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