NHKが、放送受信契約の締結を拒否している5世帯を相手取り、契約締結と10、11月分の受信料支払を求める訴訟を東京簡裁に起こしたそうだ。各世帯を繰り返し訪問して契約を求めてきたが、「テレビは見ていない。」などとして拒否されていたらしい。
放送法では、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備(中略)のみを設置した者については、この限りでない。」となっている。
この放送法第64条は憲法違反の疑いが強い。契約自由の原則には契約をしない自由も含まれるわけで、これを制限するには、相当の理由が必要である。たとえば、自動車損害賠償保障法で、自賠責保険契約の締結を強制している例はあるが、これには無保険車をなくし、交通事故の被害者を保護するという公益上の理由がある。ところが、テレビ放送を楽しむ人たちに、見ないNHKの受信契約を義務付けるような公益上の理由は存在しない。
NHKはホームページで質問にこう答えている。
「20世紀に入ってからは次第に、契約自由の原則を適切に制限することによって、社会の私法関係を是正しようとする傾向が強くなってきました。放送法の規定は、自由意思で受信機を設置した人に対して、NHKの放送を含む放送を受信する意思があると認めて受信契約をしてもらうというものですから、契約自由の原則自体にも、何ら抵触するものではありません。」(引用終わり)
理解できない説明である。契約自由の原則の例外になる理由も説明されていないばかりか、「NHKの放送を含む」という部分も、他の放送を見たくてテレビを買った人にもNHKを見る意思があるとみなされてしまうわけで、いわば「抱き合わせ販売」である。消費者にきわめて不利な「不公正な取引方法」として、独占禁止法違反であり、これについても例外的に認めるだけの公益はない。
5世帯には、ぜひ訴訟に応じ、契約をしていない事実については認めた上で、放送法そのものの違憲性を争ってほしい。ちなみに、ワタクシはそこまでの勇気はないので受信料は支払っております。たまにいい番組もありますし、はい。
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