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スミダマンのほのぼの奮戦記

~グルメ・旅・仕事・自然・地域~あらゆる出来事をフラッシュバック。

浦和エリア旨い店シリーズ ~番外編353~

2021-08-24 06:20:55 | 食~番外編(京都)

手打ちそば よしむら 豆腐料理 松ヶ枝

京都市右京区嵐山渡月橋北詰西二軒目

TEL 075-872-0102

定休日 年中無休

https://yoshimura-gr.com/matsugae/

人力車の嵯峨野の旅も終わり、丁度お昼になった。

俥夫の勝木君の推薦により、人力車のえびす屋さんの事務所の隣にある

手打ちそばと豆腐料理のお店でランチすることにした。

こちらのお店はいかにも京都そのもの古色蒼然とした建物、

しかも渡月橋のすぐそばという好立地で若い女性にウケそうな雰囲気。

そんなこともあってか若干のウエイティングとなった。

当店の建物は、明治の映画家、川村曼舟画伯が居を構え、

北大路魯山人、山元春拳や横山大観など多くの文化人が集い

遊んだ由緒ある邸宅です。

門から入って手前右手が手打ちそば嵐山よしむら、正面奥が豆腐料理松ヶ枝です。

とても素敵なパース絵で、この絵気に入りました。

実際の松ヶ枝玄関とよしむらのウエイティングの長椅子コーナー。

とても風情がありますネー。

ウエイティングの整理券もいかにも京都らしい、なんとお洒落な札なんでしょう。

これを見ていると待つ時間も心和んでしまいます。

松ヶ枝の玄関を上ると受付とおみやげ売場、

各廊下を進むと個室大部屋などに分かれ、さらに一番奥には蔵を改造した部屋もある。

日本画家の美意識が宿る庵の趣きを残しつつ、

現代のくつろぎへと改めた清々しい空間が広がっている。

嵐山膳1,600円、天ざる膳2,200円、渡月膳2,000円、旬遊び膳2,980円の4つの膳コースに

冷たいそばと温かいそば。

そして夏季限定コースの涼風2,000円(税込)がある。

この献立を見ればほとんどの人が夏季限定のフレーズに負けて涼風コースを選ぶことでしょう。

先附3種、お料理、器も涼し気だ。

手桶豆腐。

これはおそらく当店の売りにちがいない。

素材を選び、濃厚さと味わいにこだわった自家製のそば豆腐と抹茶豆腐。

豆乳の中に浮かんだ市松模様の豆腐が美しい。

メインの鱧天すだちそば。

そばの天ぷらに鱧を使うとはいかにも京都の夏といったメニューだ。

当店の蕎麦は全国の生産者から直接仕入れた蕎麦を年間を通して低温保管。

自社で脱皮した剥きたての最も良い状態の蕎麦を風味が損なわないように

石臼で挽いて30名以上の職人達がすべて手打ちしているそうだ。

そば麹のつけものと胡麻だれ。

 

 


浦和エリア旨い店シリーズ ~番外編352~

2021-08-19 06:23:57 | 食~番外編(京都)

イノダコーヒー 本店

京都市中京区堺町通三条下ル道祐町140

TEL 075-221-0507

定休日 年中無休

営業時間 AM7~PM6

https://www.inoda-coffee.co.jp/

イノダコーヒー本店は街にしっとり溶け込む町屋造りに洋の雰囲気を交えた

素敵な空間の京都を代表する喫茶店だ。

昭和15年(1940年)創業。

昭和22年に初代・猪田七郎氏がコーヒーショップを開業したのが始まり。

その当時のコーヒー価値はそうとう高価であったという。

店の中に入ると右手のコーナーではケーキなどの洋菓子、

そしてコーヒー専門店なだけにコーヒー豆の販売を行っている。

2階の一角にはイノダコーヒーとは?のようなパネルコーナーが壁に掛けられていた。

イノダコーヒーのスタイル「おいしいものを、おいしい状態で」。

また、イノダコーヒーは京都の文化人が集まる社交場でした。

コーヒーの香りとともに時の過ごし方も大切にする文化のある店です。

売りは昭和58年(1983年)発売の「アラビアの真珠」。

「京都の朝はイノダコーヒーから」がキャッチコピーだ。

ケーキのショーケースコーナーを過ぎるといかにも京都らしい和の坪庭がある。

そして時節柄か祇園祭長刀鉾の絵が飾ってあった。

これが店内の平面案内図。

当店は大きく本館1階席、旧館席、メモリアル席、本館2階席、ガーデン席に分かれ、

1階が156席、2階が55席の全211席もあり、

イノダコーヒー全店舗12店ある中で最大の大きさを誇っている。

お店の中に一歩入れば、まるでタイムスリップしたような空間を味わうことができる。

重厚感のある照明やチェアなどのインテリア、シックな席など、

こだわりのある空間づくりを楽しむことができるのも当店の特徴のひとつだ。

当店では長い歴史と大人の落ち着いた雰囲気から昔からの常連客が多く、

年配者の異業種交流の場にもなっているとか。

広々とした空間でコーヒーの香りに包まれながら

心ゆくまでくつろげる本当に素晴らしいコーヒー店だ。

広い1階の外には塀に囲まれた和洋折衷的な空気が流れる庭園があり、

それを見ながら外気に触れて

コーヒーを楽しむことができるガーデン席がまた良い感じに目に映る。

まだ朝8:00というのに1階は満席で2階の席に案内された。

実は京都で朝の喫茶店に来ようとしたのは学生時代お寺に泊まって

同志社大学でその当時全国的に盛んだった学生運動の理論武装の研修で

合宿したことを懐かしく思い出したからだ。

その当時の日大全共闘闘の明るくて威勢が良かったこと。

その京都で朝日が差し込んだ喫茶店でモーニングのスパゲッティ・ナポリタンを

食べたことが絵画のように脳裏に焼き付いていて忘れられないことが

当店に朝から来たきっかけであります。

こちらは何か中世の香りがするレンガ壁の中廊下を挟んで趣きを変えた旧館席。

どことなく気品のあるお城の中のような造りでシックなインテリアと椅子が

貴賓室のような雰囲気を演出している。

ユニークで新鮮に思えたのは、こんな鳥かごにダルマインコ(?)が数羽並べられ、

愛嬌を振りまいていたことだ。

こちらはエントランスの左側のコーナーにある歴史を感じさせるメモリアル席。

洋館風の中にある。

先に紹介した京町屋風の建物の本館はホテルのロビーのような吹き抜けと

大きな窓が開放的でローズウッドの壁の空間が魅力的だが、

ここはまた違った味を出していて素敵だ。

フードメニューはトースト、スパゲッティ、サラダ、サンドウィッチ等。

名物はごちそうビーフカツサンド(1,930円)。

セットメニューはロールパンセット。

あと2つのセットは消されていた。

京の朝食セットもある。

デザートメニューはアイスにパフェ、みつ豆などの甘味メニュー。

次にコーヒーメニュー。

当店の売りのアラビアの真珠は600円。

各種ジュースもある。

ケーキメニューは多彩なケーキ、プリン等。

夏季限定の彩り野菜のサラダセット1,480円はクロワッサン、コーヒー付き。

ローストビーフサンド・ミニサラダ付1,300円。

まず最初に出てきた水のコップから洒落ている。

オリジナルデザインの赤いポットマークデザイン。

長い歴史の中で育まれてきたものを感じる。

これがイノダコーヒー長い伝統によって培われた製造方法と

職人のこだわりによって作り出された評判の「アラビアの真珠」。

コーヒーにはミルク、砂糖を入れて出してくる。

そしてイノダコーヒーの暖簾に描かれた獅子柄デザインのコーヒーカップ。

ふちが広いカップで飲むコーヒーは口全体に味がいきわたり、酸味を感じやすい。

ふちが真っすぐなカップは苦みを感じやすいのが特徴だそうだ。

カップの色はコーヒーの深みのある色を楽しめる白陶器がおすすめとの事。

また、カップの下が2重になっているのはコーヒーが冷めない工夫の為だそうだ。

このオリジナルブレンドコーヒーは長い間、多くのお客様に愛され、今日の姿に進化した。

前述したようにスミダマンのモーニングは来る前からもう決めていた。

ここではイタリアン(トマトソース)、別名ナポリタン930円。

この姿、半世紀前を思い出す懐かしい姿と味わいですネー。

しかも器が素晴らしい。

ステンレスの蓋を開けるまではわからない高級感。

この日のモーニングは100点満点の充実した気分に浸された。

相方は人気メニューの「京の朝食」ブレックファーストセット1,480円をオーダー。

ミニオレンジジュース、サラダ、タマゴ、ハム、パンにコーヒーまたは紅茶付。

ホテルモーニングを思わせるエレガントなモーニングセットだ。

このイノダコーヒー本店の前にINODA  COFFEE  CO,LTD.と書かれたビルがある。

おそらくここに当店の本社があるのだろう。

店舗は京都を中心に12店舗ある。

関東では東京大丸支店、横浜高島屋支店がある。

ビジネスも単に喫茶・レストランだけでなく、

各国産のコーヒー自家焙煎及び販売、輸入食器や輸入食品の販売、

ケーキやパンなどの製造販売、その他オリジナル商品のオンラインショッピングなどを

多画的に取り組んでいる。

 

 

最後に創業当時から変わらない3つのこだわりを紹介して終わります。

1、職人が焙煎した豆をネルドリップ方式で味わう。

コーヒーにはミルク・砂糖を入れて出している。

2、優雅に味わう贅沢な食事。

代表的なのがホテルモーニングを思わせるエレガントな「京の朝食」。

名物のごちそう「ビーフカツサンド」。

3、まるでタイムスリップしたようなレトロな空間、洋風のサロンを思わせるインテリア。

蝶ネクタイをつけて正装したスタッフがおもてなしをする。

 

 

 

 


浦和エリア旨い店シリーズ ~番外編351~

2021-08-09 06:41:30 | 食~番外編(京都)

喫茶 フランソア

京都市下京区西木屋町通四条下ル船頭町184

TEL 075-351-4042

定休日 無休

営業時間 10:00~22:00

https://www.francois1934.com/

京都には素敵な喫茶店の文化がある。

その中の代表的喫茶店の1つがここ「フランソア」。

創業はなんと昭和9年(1934年)。

2003年、喫茶店として初めて国の登録有形文化財に指定された。

昭和の初期という時代に和と洋を組み合わせた革新性、

その後も改装されることなく建物が内部の調度品や装飾を含めて

当時のままの姿で残っている点が高く評価された。

尚、当店の場所は四条小橋を南に少し下がった路地にある。

まさに西洋の街角で見かけるような粋な喫茶店だ。

店名の「フランソア」はフランスのバルビゾン派の

画家フランソワ・ミレーより名付けられたという。

バロック様式風の室内は当時のイタリア豪華客船の面影を写し、

海外の文化と自由への憧れを象徴した内装の数々。

ステンドグラスの窓、優雅な白い天井、赤いビロードの椅子、

壁に掛けられたモナリザの複製画などだ。

ここは当初からサロン風の贅沢な喫茶店だ。

当店には前アップしたメインの部屋の他に隣りにこじんまりとして落ち着いた部屋もある。

ここではクラシック音楽が流れ、コーヒーを飲みながらゆったりした時を過ごせる。

当店の創立オーナーの立野氏のフランソア設立の意図は次の通りだ。

戦時色が深まり自由な言論が困難になっていく時代に、

反戦や前衛的な芸術を議論する場として、このフランソアを提供しようとした。

そんな文化的雰囲気にひかれてフランソアに通った青年の中には

今は亡き藤田嗣治、宇野重吉、桑原武夫のような人もいた。

喫茶フランソアは京都昭和史の貴重なインデックスだ。

お店のウエイトレスさんの古典的で抑え目なユニフォーム。

部屋のセンターには歴史を感じさせる暖炉が。

そして床は年季の入った木のフローリングになっていて、

やはり昭和の雰囲気が漂っている。

メニューの表裏表紙の絵も手書きの温もりが伝わってくる。

当店の売りのコーヒー(宇野重吉オリジナル)

フレッシュクリームorブラックが650円。

ジュースの種類も多彩だ。

食べ物はトーストとサンドイッチのみ。

昔の気分に戻ってレスカではなく

近い味のゆずスカッシュ950円を頼んで昭和のノスタルジーに浸りつつ

しばし祇園祭、神幸祭で歩いた疲れを取った。

お店の壁面のいたるところには印象派の絵の複製が飾ってあった。

これはシャガール。

周りを見渡すとこの部屋はシャガールが多かった。


浦和エリア旨い店シリーズ ~番外編350~

2021-08-06 06:21:45 | 食~番外編(京都)

祇園 呂色(ロイロ)

京都市東山区花見小路四条西入ル北側 伊澤ビル5F

TEL 075-541-5510

定休日 水曜日

http://www.roiro.net/

京都で和を取り入れた洋食(フレンチ・イタリアン)の

レストランに行きたいと調べていたら当店を知り予約を入れた。

当店は食べログ洋食・西洋料理店部門でNo4、2021年ブロンズ店、

西日本エリア洋食部門2021の百名店にも選ばれている。

場所は四条通りに面して祇園「鍵善良房」の右隣りビルの5階にある。

予約はランチだが、なんとなくディナーの雰囲気で女性ウエイトレスが丁寧に迎えてくれた。

当店は2017年11月15日オープンということだから3年半という新しいレストランだが、

オープン1年目でミシュラン京都・大阪で1ツ星を獲得している。

今や祇園の街で食通らの耳目を集めている注目のレストランだ。(完全予約制の店)

ご覧のように当店はカウンター席のみで、

コロナの関係からか本来10席のところ、8席のセットになっていた。

店内は照明を落とした大人のハイソな空気が流れていてとても素敵な店だ。

カウンター席のちょうどセンターにダウンライトで浮かび上がった緑の

なんとも素晴らしい活け花(?)がお客を歓迎してくれているようだ。

オーナーシェフ曰くプロの作品だそうだ。

当店名の呂色(ROIRO)は京都で生まれた漆の色。

漆の中でも特別な黒色の精神がこの店にも活かされているとかで、

カウンター、奥の壁面、床のフローリングは黒色の基調。

あとは白系とモノトーンのコントラストがすごくお洒落だ。

この男性の方がオーナーシェフの小霜浩之シェフ。

他に男性ソムリエと女性シェフと女性ウエイトレスの4名で

皆その所作がプロフェッショナルの振舞で気持ちが良い。

料理は仕上げ段階でお客の前で整えるやり方だが、かならずしもオープンキッチンではない。

見えそうで見えない不思議な距離感でカウンターの高さが設定されていて

ここでも想像力を働かせてしまう。

これが呂色のメニューです、皆さん見て下さい。

長く縦に書かれた文字は「温石・定跡・DHA・出逢い・恵み・

大地と海・生命・結び・共鳴・金塊」

こんなメニュー正直初めてです。

途中で自分なりに解釈したのは、各レシピのイメージ・コンセプトを字に置き換えたのでは?

もうこの段階で小霜シェフの世界観に酔いしれはじめてしまいました。

カウンターに置かれたビールのグラスが当店では絵になること。

なぜか当店のビールは殊の外、美味かった。

そのわけを考えたらまず当店の雰囲気、このグラスのなんと薄いこと、

そして外の京都の夏の蒸し暑さが重なってか。

 

 

それでは小霜シェフの繊細な料理の謎解きメニューサプライズのスタートです。

従来の枠組みを超越した作品をこれから紹介いたしましょう。

(温石) 黒いのは帆立を竹の炭で調理し帆立貝と与謝野米に

チーズを添えリゾットに仕立てた逸品。

フランス料理の技法を大切にしつつも

京都というイメージに相応しい和を取り入れたコースが始まった。

(定跡) 冷たいスープ、白桃としょっぱい生ハム、

そしてじゅんさいを合わせ薫香(スモーク)したもの。

これは最高に旨い、唸る程だ。

食材の個性を活かし引き出しているのが特徴。

すごいシェフの技だ。

(DHA) 青魚の鯖と赤玉葱を使った作品。

青魚が血液をサラサラにさせるサプリメントになるという所がDHAか?

このお料理は味もさることながら、まず見て美しい。

そしてかわいらしい。

シェフが細かいピンセットで花びらをあしらっているのがカウンターから覗き込んで見えた。

これは料理というよりはアクセサリーを作っているような色彩芸術だ。

(出逢い) 京都の夏の食材、鱧のフリット。

下のソースはヤングスイートコーンにラー油を入れたもので、味はフリットゆえ軽い。

鱧とコーンで夏の出会いを表現しているようだ。

それにしてもここまで特にこの料理の呂色の皿など食器へのセンスも素晴らしい。

すべての美的センスはビックリの連続だ。

シェフが早朝から焼いている自家製のパンは本当に美味しかった。

もっともっと追加したかったが、コースの量がわからずブレーキを踏んだ。

このバターもフランス製で半端じゃない。

そしてまたまた鉄平石のようなこのお皿と

ズッシリくる小振りだが重厚なバターナイフも惚れ惚れしてしまう。

(恵み) トマトとビーツをベースにモッツァレラチーズ、ブラータを使った作品。

またまた花びらをあしらった料理で美しいが、

DHAで一回驚かされたのでこの料理は見た印象は半減してしまった。

恵みは花の恵みを表わしているらしい。

(大地と海) 夏の魚・スズキと焼き茄子にアーモンド、ヘーゼルナッツ等に

タイムの香草そしてシェリビネガーを使った手の込んだレシピだ。

カウンター上で繰り広げられるプレゼンテーションは圧巻で唯一無二の料理を提案してくる。

先ほどはバターナイフを褒めたが、たぶん同じシリーズもののフォークとナイフだと思うが、

改めて重厚で品位のある素敵な食器だ。

(生命) フランス・シャランの鴨のわらの香りづけしたステーキに無花果(いちじく)のソテー。

ソースは赤ワインと蜂蜜。

これもシンプルだが美しい盛り付けだ。

ソースのかけ方も美的センスが溢れている。

小霜シェフは芸術的才能が秀でた人なのではないかと拝察します。

ここで驚きの道具、お箸が登場した。

一体何が起きるのだ?

(結び) 七谷鴨 中華そば 九条葱

すっかり京風フレンチの世界で身も心も堪能していただけにこれには参りました。

全く想定外の〆が出てきました。

なんとラーメンです、ラーメン。

思わずシェフを呼んで言ってしまいました。

「結びがラーメンとは恐れ入りました!」と。

(共鳴) 夕張メロン大葉入りと抹茶アイス。

メロンと抹茶アイスの間を大葉の香りと味が架け橋になってコラボしている。

共鳴している。

(金塊) 5種のミントのハーブティー。

ガラスの急須から見た、ライトアップされたグリーンが美しく光っていた。

かたやプレーンとゆずのフィナンシェ。

仏語のフィナンシェは金融、金持ちの意味があり、

色・形において金塊に似ているゆえ。

そして最後にチェックをするとスタートのイメージメニューの解答が

シェフのサイン入りでお客に渡された。

小霜浩之シェフ曰く「当たり前の事をしていたらこの世界で生きていけない。

スタイリッシュでなければ・・・。」

京都は食のすごい激戦区だとつくづく思う。

東京と違って狭いエリアで伝統と革新の料理がしのぎを削っている。

そんな中「呂色」さんは連日、一期一会を楽しみにする美食家たちで賑わっていると言う。

 


浦和エリア旨い店シリーズ ~番外編277-Ⅱ~

2021-08-02 06:15:56 | 食~番外編(京都)

菊乃井本店

京都市東山区下河原通八坂鳥居前下る下河原町459

TEL 075-561-0015

定休日 第1・第3火曜日

https://kikunoi.jp/

どうしてもあの素晴らしさが忘れられなくてまたまた菊乃井さんに来てしまいました。

(2019-10-26付~その277~ブログ参照)

実は調べてみると県外の番外編151軒でPARTⅡは今回が初めてです。

それくらい、菊乃井本店さんは、また行きたくなる魔力のある京懐石料理店です。

当店は東山の裾野八坂神社や高台寺に近い真葛原(まくずはら)の

緩やかな坂を下りた静けさの中に建っています。

この日は祇園祭の宵々山という特別な日、お祭の特別なしつらえとして「奉燈」の提灯。

そして祇園祭用の幕を取り付けてあるとの事。

やはり祇園祭は京都人にとって特別なものだ。

菊乃井さんの清々しく整えられた玄関。

専門の下足番が料亭ならではのおもてなしが今も残っている。

予約時間より若干早く着いたためしばし、まつりの話で盛り上がった。

裏手の調理場を見ようと裏に回ったらとても愛想の良いベテランの仲居さんとバッタリ。

厨房の中を撮っても良いですか?と聞いたら

「どうぞどうぞ!その為に硝子戸にしてあるのですから」と快い返事。

後に分かったことだが、この方があの有名な料理人、

菊乃井・三代目主人・村田吉弘氏の奥様だった。

大女将この時は大変失礼いたしました。

この日は予約が少なく従って料理人も普段は30人近くいるのだが、20人前後の出店とのこと。

しかし皆、真剣に仕込みに専念、特に目の前の若者は脇目も振らず

のりを刻み続けている姿に感銘した。

目の前で準備されていた鱧の焼き物と冬瓜(とうがん)。

後ほどこれが素敵なお料理で出てきますよ。

随所におもてなしの心が伝わってくる空間がお客の目を楽しませてくれる。

特に長刀鉾の真木とともに「蘇民将来子孫也」の掛軸は祇園祭そのものだ。

菊乃井さんの創業は我社と同じ大正元年。

この建物は江戸末期の数寄屋造り建築。

建物内部はバリアー(段差)が多く迷路のようでわかりにくい。

逆にこれが懐石料理店の雰囲気を作っている。

1枚目、2枚目の写真はたまたま前回のブログ(2019-10-26付)と全く同じものになった。

トイレというよりは厠(東司)といった表現が似合う便所。

この中もすごく風情を感じる。

細い縄で編まれたスリッパも素敵だ。

全体的に歴史ある使い込まれた建物はよく磨かれ、味があって素晴らしい。

当本店は大小11部屋あるそうで、この日の予約は半分、すべて2人のお客だそうだ。

この2人用の和室はソーシャルディスタンスを意識してか対面席がずれてセットされていた。

これもちょっとした気配りだ。

素晴らしいのは畳に敷かれたあじろ。

大きさは部屋に合わせてオーダーしたとか。

部屋から見たお庭もホッとするものがある。

フィックスのガラス窓に掛けられた簾が涼しさを演出している。

掛軸も祇園祭を意識したものを掛けてあると大女将が言っていたが詳しくは忘れてしまった。

これが今月の祇園月の献立。

菊乃井さんは毎月献立を変えているようで前回は夏といっても8月の献立だったので

季節の旬が多少違うと思い再訪した。

尚、当店は11年連続でミシュランガイド3ツ星を獲得しているとのこと。

 

 

それでは祇園の素晴らしい懐石料理をすべて撮りましたのでじっくりご覧ください。

前回ブログのアップ写真は32枚でしたが

今回はじっくり撮れる環境でしたので57枚もアップしました。

八寸 鱧寿司 サフラン生姜 床節 ぐじ水玉胡瓜 蛸の子

海老松風 利休麩・青瓜雷干し胡麻酢和え

今日も出て来ました美しく楽しい飾り付け。

緑の3つの輪は芽の輪を表現しているとか。

そして祇園祭そのものの「蘇民将来子孫也」の札が下がっている。

これは参りました。

お箸は竹の箸。

しかも濡れているのがにくいですネー。

季節感を出しているそうです。

そして八坂神社の神紋が入った金の盃でお近づきの一杯です。

手ぬぐいは菊乃井さんの家紋入り。

お料理は今回は来るナーと思っていた鱧寿司がいきなり来ました。

ガラス器に入っている胡麻酢和えは絶品でした。

ここでショータイム。

後ほど出る鮎塩焼きの見世鮎です。

威勢よくピョンピョン跳ねてビックリです。

諸口 海胆豆腐 山葵あん 若布

ガラスの器がいかにも涼し気です。

前述した大女将がこの日は3回も部屋に来てザックバランにトーク。

とてもチャーミングな女将ですぐ魅了されてしまいました。

本当に素晴らしいおもてなし精神です。

向付 一、明石鯛 太刀魚焼霜 あしらい一式

瓜を食器に見たてて盛り合わせた独創的な向付。

お造りの下に刺身のつまが瓜をくり抜かれた中に入っていた。

向付の飾りにたぶん瓜の葉が添えられていて野趣あふれる盛り付けだ。

うりとうりの葉で自然が強烈に伝わってくる。

大女将曰く「村田は明けても暮れてもお料理のことばかり考えている」と。

だからこの料理が生まれるのかも

因みに「あしらい」とは、器の盛りつけた料理を一層引き立てる目的で添える

野菜類や花などの総称のこと。

京都夏の風物詩の逸品 鱧落とし 花穂紫蘇梅肉

この隠し味にわさびが入った梅肉ソースは

前回の強肴に付いた茶色のソースに匹敵する程すごい。

やさしい味でしかも奥が深い。

蓋物 夏越しの薬石 じゃが芋あん 青ずいき辛子

この料理は角煮を食して夏を乗り切ろうという献立だと大女将が説明してくれた。

今までの献立に比べて見た目はあまり美しくはないが、

じゃがいもを角煮のあんかけにするとは・・・。

それよりこの料理に使われたお椀が西陣織(?)の敷物の上に

いぶし銀のように重厚な光を発して良い感じ。

椀の蓋を開けると蓋の裏に描かれた金の絵柄が効いている。

京都の蒸し暑さはビールがぴったりで美味しい。

しかし、菊乃井さんの料理が進んでいくとやはり日本酒が一番似合う。

ということでオーダーすると前回もそうだったが竹筒の徳利が出てきた。

おちょこは菊乃井の家紋入り。

やっぱり冷酒は最高に合う。

焼物 鮎塩焼き 蓼酢

大女将曰く「菊乃井の料理はエンターテインメント」。

スタート時にビックリさせられた見せ鮎が竹かごの上に竹笹に乗って荒々しい姿で出てきた。

「琵琶湖の鮎は大きくならないので頭から食べて下さい。美味しいですヨ!」

納得の鮎の塩焼きです。

中諸口 トマトスープ 汲み上げ湯葉 順才 小細胡瓜 花穂紫蘇 浅葱

これはすごい。

この日No1の意外性と旨さの深みと複雑さ。

本当に菊乃井さんは、村田の大将はやりますネー。

これでは1年間12組を全て味わいたくなります。

表面を湯葉で隠してスプーンを入れるとトマトの赤が出てきて交わる。

味も舌の中でコラボする。

そこに時々順才の食感がリズムのアクセント。

このような料理の発想が出ることに感動します。

強肴 冬瓜蒸し ふかひれ すっぽん 青万願寺唐辛子 露生姜 柚子

冬瓜を器にするとは。

しかもこの器は他の具材スープと一緒に食べられる。

これもアミューズメントだ。

そしてこの料理の具材はふかひれとすっぽんという高級食材のコラボレーション。

ちょっと厳しく言えば両横綱の良さがあまり共鳴していなかったかな?

御飯 鱧御飯 叩き木の芽 粉山椒

予想はしていたが来たな来たなまた来たな鱧が。

こうじゃなくちゃ!

もうこのころはお腹がいっぱい状態。

菊乃井さんの懐石はボリュームがあるナー。

炊きたての鱧ご飯ですからお茶碗一杯いただき残りはお土産にしていただきました。

今日の夜食が楽しみだなー。

止椀 新牛蒡すり流し 揚げ牛蒡 七味 香物 水茄子 胡瓜漬け

ぼごうの一種独特の香り、味がいっぱいのお吸い物というよりはお料理。

自分的にはごぼうがちょっと太すぎかなと・・・。

ごぼうそのものの存在をもうちょっと薄くしたら・・・

なんちゃって。

水物 葛切り 八ツ橋アイス 黒蜜

葛切りの容器はみずみずしい竹。

すごいのは八ツ橋のアイスだ。

いかにも京都らしいアイス。

大女将曰く「この2つを混ぜて食べると美味しいですヨ。」

本当だ!!

さらに御献立にはないものが出てきた。

これはおもてなしのサービスか?

枝豆と蓮根の水羊羹と抹茶。

今回も菊乃井さんらしいエンターテインメントに溢れる素晴らしい料理の数々を堪能した。

これで一番下のコースだが大女将曰く充分です。

八坂神社のヤサカは彌栄の字が正式ですとヤサカタクシーの運転手さんが言っていた。

 

 

 

菊乃井本店の祇園祭のしつらえを見ながら菊乃井の店主・村田吉弘氏のご挨拶

「料理の基本は飯屋です。

・・・そこで暮らす人の生活の中にあるから、町衆との距離が近いわけですね。

普通の人が普通に働いて、人生の節目の日に少しだけ贅沢な気分を味わえる。

菊乃井さんはそんなお店です。

人生の節目や大切なお時間を菊乃井で過ごしていただける。

だからこそ、これ以上ない素材、最高の技術、最高のしつらえをご用意して

お客様にお喜びいただける精一杯のおもてなしを出来るよう努力しております。」

三代目・吉弘氏は世界に開かれた料理を目指している。

 

 


浦和エリア旨い店シリーズ ~番外編349~

2021-07-29 06:17:34 | 食~番外編(京都)

北京膳 膳處漢ぽっちり(ぜぜかん)

京都市中京区錦小路通り室町西入ル天神山町283-2

TEL 075-257-5766

年中無休

https://kiwa-group.co.jp/zezekan/

霰天神山の山車の辺りを巡っていたら、午後1時を過ぎてしまった。

当初、近くの志津屋のパンでも食べようと思っていたら、

しみだれ豚饅の看板が目に入った。

豚饅(肉まん)屋さんにしては随分と立派な建物だナーと思いながら、

夜の京懐石の予約時間と腹の具合の関係が気になって、

あまり考えもせずに飛び込んでしまった。

入店して数組のウエイティングの間、

待合室に居たらこの建物がただ者ではないことがわかった。

1つは「優良意匠屋外広告物指定の証」として京都の美しい景観づくりで他の模範になるとして

平成27年に京都市長から表彰を受けている。

又、京都市民が残したいと思う「京都を彩る建物や庭園」として

平成30年、やはりこちらも京都市長名で選定されている。

当店の膳處漢(ぜぜかん)の膳所(處)とは、

その昔、都の御厨所を膳所(ぜぜ)と呼ばれるようになった。

そして京都と北京の佇まいがよく似ており、

中国宮廷料理の流れを汲む北京の台所に見たてて命名された。

ここが立派なウエイティングコーナー。

とても味がある空間で素晴らしい。

外観は洋館だが、中に入ると京町屋の造りだということが待っている間によくわかった。

中庭の奥にある蔵を小さくかわいい「ぼっちり」という名のBarに設えたというが、

このウエイティングコーナーの前にも落ち着いた大人の雰囲気のバーがあった。

さらに奥に行くとここは間違いなく京町屋の中庭になっていた。

しかもかなり広い。

2階にもお店があり、なんと全席で196席もあるという。

当店は元呉服商の店舗兼住居をリノベーションして18年前にオープンした。

経営母体は「紅虎餃子房」をやっている際コーポレーションだった。

わからなかったナー。

確かに北京料理という宮廷料理の香りが感じられる重厚な空気が流れている。

こちらは京町屋のおくどさんがあった台所を改造した部屋だ。

高い天井と立派な梁が町家の雰囲気を伝えてくる。

これが夏の涼麺点心セットメニュー3点と通常の単品メニュー。

とにかく夜食までのつなぎランチの為なかなか決まらない。

メニューを見ると当店の売りは、ふかひれと鴨のようだ。

お値段の方も立派なものだ。

結局あれこれ聞いた挙句、平凡チョイスの蟹レタスチャーハン1,500円に決定。

唸るほどの美味しさではなかったが、建物の良さに引っぱられて合格点を付けてもよいか?!

ところでチャーハンのお皿の横にあるおたまは何なのか、しばらく考えてしまった。

相方は海鮮あんかけ焼そば1,600円を選択。

海老の大きさには驚いたが、これも味の方はアメリカのお母さん(マーマー)といったところか。

それにしても京都人はあんかけが好きだそうだがなぜだろう?

旨い店シリーズの長年の癖で厨房が見えると思わず

無意識のうちにシャッターを押してしまう。

とても清潔そうな厨房ですね。

当店の道路サイドの明り窓にはハンドメイドの硝子、しかもステンドグラスっぽい枠取りで

その窓の向こうに素敵な光景が広がっている。

1枚目には霰天神山の提灯が幾何学模様に撮れて幻想的だ。

当店に入るきっかけとなった、しみだれ豚饅(1個500円)は残念ながら売切れ。

この豚饅は例年祇園祭の前祭4日間のみの限定販売だそうだ。

そして膳處漢ぽっちりさんは2021年・西日本・中国料理部門の

百名店に選ばれていることを帰り際に知った。

 

 


浦和エリア旨い店シリーズ ~番外編341~

2021-05-12 06:33:56 | 食~番外編(京都)

志津屋(SIZUYA) 祇園店

京都市栗山区祇園町北側291

TEL 075-532-2052

定休日 無休

営業時間 8:00~

度々お邪魔した京寿司「いづ重」さんで長時間ウエイティングしていたら

アーケードの上に京都でメジャーな有名パン屋さんの看板をたまたま発見。

そこが昭和23年創業した志津屋(SIZUYA)さんの祇園店。

京都3日目、美術館巡りをして近くの有名うどん店に行ったところ、3~4時間待ちとの事。

それでは夕食になってしまうじゃないと即諦め、

そうだ、いづ重隣りの志津屋へ行ってみようと訪問した次第です。

志津屋さんの本社は島津製作所の近く右京区山ノ内五反田町にある。

現在店舗は京都内だけで直営店が22店もある。

志津屋さんには1日約12,000人のお客様が利用しているとの事。

ここ祇園店は祇園花月が近いので芸人さんがよく来店するらしい。

志津屋さん曰く「パンづくりはおいしいが基本。

今身体に良いパンづくりに取り組み健康な食生活を応援している。」

祇園店には16席のイートインコーナーがある。

さすが3日目になるとトータル5万歩歩いた疲れが足にジーンと残り、

このコーナーのソファーに足を放り出したくなってしまった。

他のレストラン、料理屋さんではこんな行儀の悪い仕草はできないが、

ここではなんとなく許される雰囲気であった。

ショーケースには沢山の商品が並んでいる。

志津屋のパンは具がなくてもパンの味で楽しめるほどパンの生地が美味しく、しかも値段が安い。

その中で代表商品の一つが元祖ビーフカツサンド。

創業以来の伝統の味をまもり続けたカツサンドを

特製ソースで仕上げて570円(税込)。

こちらの棚ケースにはオーソドックスなパンが所狭しと並んでいた。

スノーブレンド、たくみ 究極のぶどうパンなどの食パン。

ラスク、桜あんぱん、りんごのパニエ、ビーフカレーパン、デリカクロワッサン、

オニオン&ベーコン、ベーコンたまごロール、ニューバードラングドック、

コロッケパン、フレンチクロワッサン、トライアングル、クラッシュチーズ、

ベーコンエビ、辛子明太子フランス、たこ焼きパン、ハイジのチーズクリームパン、メロンパン等々。

当店は作りたてのメニューをすぐ提供している。

どうやらこの4つは志津屋さんの目玉売り商品のようだ。

そして最後になってしまったが、これが京都人が愛する「京かるね」200円(税込)。

志津屋といえば、かるね、京都のソウルフードと言われている。

パンはドイツパンのカイザーゼンメルが元になってふわふわの食感の珍しいフランスパン。

シャキシャキの玉ねぎが爽やかな苦みのアクセントになっている。

そしてまろやかな口当たりのオリジナルマーガリン。

これは一度食べるとクセになるすごくヤバイ味だ。

安くて旨くて食感がよくて余韻が続く。

こんなサンドは最近では食べた記憶がない。

都内で売っていれば今すぐでも買いに行きたいほどだ。

こちらは元祖ビーフカツサンドとボリュームたっぷり名物の焼き玉子のふんわりオムレツサンド。

確かに旨いが「京かるね」には負けるね。

店内には志津屋さんの歴史が伝わってくる昭和30年代と昭和40年代のモノクロ写真が展示してあった。

決して原点は忘れてはならないという戒めの写真にも見える。


浦和エリア旨い店シリーズ ~番外編340~

2021-05-08 06:21:32 | 食~番外編(京都)

にしきの千松

京都市中京区四条通柳馬場上ル瀬戸屋町476

TEL 075-221-6145

定休日 日曜日・祝日

錦市場のある錦通りから四条通りに向かって柳馬場通りを下がっていくと

人ひとり通れるほどの細道にぽつんと置かれた看板。

そんな小さな小料理屋さんが「にしきの千松」さんだ。

住所をあてに近くまでは来たが見つからず、

思わずそばの宅配便屋さんに尋ねてしまった程の隠れ家的なお店だった。

当店を予約したのは、京都の料亭だとか京都の有名店のような観光客の行くお店ではなく、

地元の人、京都人が通うような店で旨いものを食べ、飲みたいとの思いで選んだ。

俳優の角野卓造さんの著書「予約一名、角野卓造でございます。(京都編)」には

このような小料理屋さんの情報が沢山掲載されていて、

その中で「一見のお客さんは年に5組いらっしゃるかどうか」の

フレーズに惹かれて選んだ。

当店はご覧のようにメインはカウンター席。

一見の我々だけのテーブル席が1卓、さらに2階にも席があるようだ。

当然この店は靴を脱いで上がる。

当店はご夫婦で始めて約30年弱、この地に来て20年と言っていた。

角野卓造さんの本の写真を見るとカウンター上に大皿に盛られたおばんさいが

10~12種あるはずであったが、尋ねてみるとコロナでこのやり方は変えたとの事。

なるほど、こんなささやかな楽しみも

コロナは奪ってしまうのかと、憤りを感じてしまう。

当店の手書きのお品書き。

いかにも京都らしい柏汁、若竹煮、菜の花とおあげさんの炊いたん

(この表現を見ると今京都に居るんだナーとしみじみ思う)。

他にいくつも炊いたん料理が。

京都では煮物のことを炊いたんと言う。

魚はぐじの料理が多い。

そして値段がどこにも書いていない。

さすが常連客のお店。

本によると食べて飲んで5,000円~6,000円ほどだろうか、と書いてあったので、

それを信じて食べたいものをオーダーした。

お通しに水たこの酢物とは珍しい。

やはりここは京都だ。

バイ貝の炊いたん。

バイ貝の煮物も珍しい。

淡い味で大将の腕前の程が伝わってきた。

具たくさんの白和へ。

薄味の深さはさすが京都の味つけ。

お造り色々ございますとの事だったが、時間が経ち何だか忘れてしまった。

確かに「これは何ですか?」と聞いたら聞きなれない魚だったので、

さらに聞いたらわざわざ現物を見せてくれた。

うすいえんどう(玉子とじ)。

お品書に美味ですとコメント付き。

こういうのは絶対に自信があるのでしょう。

美味でした。(ピンボケで申し訳ありません)

甘海老団子とぐじの唐揚。

ぐじとは甘鯛の京都府・福井県における地方名。

京都では高級食材とされている。

中世より主に福井県若狭地方で水揚げされ、陸路にて京都で運ばれた。

菜葉とおあげさんの炊いたん。

油揚げを京都弁ではおあげさんと言う。

なんとかわいらしく、やさしい響きなのでしょう。

炊いたんの言葉に魅せられて注文。

定番メニューのぶり大根。

青ネギは九条ねぎか。

ブリと大根といっしょに食べて下さいとの事。

最後の〆に鯖寿司とにぎり寿司。

ほたるいかの軍艦巻きとは珍しい。

こちらの大将は寿司の握りもやるとは大したもんだ。

 

 

 

当店には我々が一番乗り。

そのあと常連客の2人がカウンター席へ。

我々が一見さんなので、しばらくたってから

「どちらからいらしたのですか?」と聞かれ、「さいたま市です」と答えたら

「さいたま市の方で毎月来る人がいますヨ」ですって。

京都の街が好きで京都人と少しでも話したくてと言ったら、

京都はいけずの町ですエ、ですって。

「いけず」?すごく意味が深そう!?

 


浦和エリア旨い店シリーズ ~番外編339~

2021-05-03 06:12:23 | 食~番外編(京都)

京都中華 鳳舞楼(ほうまいろう)

京都市上京区新町通中立売下ル仕丁町327-7

TEL 075-555-5568

定休日 火曜日

知恩院のライトアップを見終えて今回お世話になる京都ブライトンホテルへタクシーで向かうと

車中、運転手さんと色々な話になりその一つが「京都中華」の話題。

そこで貴重な情報を入手したのがここ「鳳舞楼」のカラシソバがめちゃくちゃ旨いとの事。

2月末訪問した「芙蓉園」(2021-3-20付・番外編336)に次ぎ、2匹目のどじょうを追うことにした。

当店は早朝散歩で場所がすぐ分かったがホテルの2軒隣りというすごい近さにびっくり。

この日は2~3人のウエイティングでホッとした。

当店は藍色の暖簾が下がる入口を見ただけでは中華料理店とはわかりにくい。

ここで改めて「京都中華」について記してみたい。

「京都中華は京都しか存在しない。

京都らしさを目の前でわからせてくれるのは中華においてほかにないと断言できる。」

(枝條剛著 にわか京都人宣言)という位、京都中華は古都の歴史を舌の上で知ることができる。

具体的に京都中華はどういうものかというと、

出汁は鶏ガラのみか昆布を加えるかで和風の出汁に近い。

紹興酒、ニンニクなど食後もニオイが残る材料は使わない、ショウガも量を抑えるようだ。

花街に近い場所で発展したという歴史がニオイが残る食材はシャットアウトした。

又、たとえば長い春巻は中身がこぼれて着物を汚すため芸妓さんには不評。

「こんな長い春巻はよう食べへんわ」といわれ短くなった店(糸仙)もある。

要は味は和食風の中華ということになる。

当店は3年前に西の地からこの地に移転してきた。

1階はL字型のカウンター席6席だけ。

2階はテーブル席で24席あるそうだ。

京都中華が成立したのは最古参の「ハマムラ」が開店した

1924年(大正13年)ですから昨日今日できた文化ではない。

歴史の流れの中で京都中華は二つの系列に分かれる。

鳳舞系列と盛京亭出身の店で、店名に「鳳」という一文字が入っていると鳳舞系。

「盛」という文字が入っていると盛京亭系列と言われている。

京都中華のメニューの数々。

京都中華の祖、中国から来た料理人「高華吉」。

高華吉(鳳舞)の味を継承する店は京都中華と呼ばれている。

その最後の弟子が当店の店主。

当店店主(54歳)は16歳で門をたたいた。

その2年後に高が亡くなったので京都中華考案者に直接仕えた最後の弟子が当店店主だ。

その店名の継承も許可されて鳳舞楼となった。

撈麺(エビカシワカラシアエソバ)通称カラシソバ950円。

これ京都中華の象徴だ。

店主自身が製麺する麺は国産の小麦とイタリア産の小麦を混ぜ合せ、細かく仕上げる。

製麺後、数日寝かせてから使う。

具材はキャベツや白菜ではなくレタス。

これを少し湯がく。

それに青葱、椎茸、小海老と鶏肉。

麺に加えた酢醤油と溶きからしに具材に鶏ガラスープと出汁を和え

片栗粉でトロミをつけてあんかけにする。

これは関東にはないあっさり味で上品、そして奥深くいつまでも余韻が続く、絶品だ。

この味は正直体験したことがない。

旨い、マイウ、いや、上品に美味しい。

完全にはまって虜になってしまった。

カウンターの上に乱雑に作り置きしてあるシュウマイ。

しかしこれを侮るなかれ。

シュウマイの皮と具は店主が作る。

しかもシュウマイの皮は薄くして新聞の上に置けば透けて字が読めるくらいだそうだ。

カラシソバにすっかりハマってしまい帰宅早々、今まで創意工夫をしながら4回も作ってしまった。

プロの味には遠いがちょっとずつ進化し、お客に出せるヨと言われるまでに来た。

後日、料理でレシピを披露したいのでお楽しみに!


浦和エリア旨い店シリーズ ~番外編338~

2021-04-22 06:27:08 | 食~番外編(京都)

露庵 菊乃井 木屋町店

京都市下京区木屋町四条下る斎藤町118

TEL 075-361-5580

定休日 水曜日

https://kikunoi.jp/kikunoiweb/Roan/index

当店は京都の料亭のリーダー「菊乃井」の姉妹店で、料理界の有名人

田村吉弘店主の弟さんがやっている。

そして、ミシュランガイド関西2020で2つ星を獲得している。

(2016-12-24付・赤坂菊乃井、2019-10-26付・菊乃井本店 参照)

四条木屋町を少し下がる高瀬川の風情が漂う京都の繁華街。

コンクリートで造られた建物の暖簾をくぐると、

そこには都会とは思えない静かな和の空間が広がっていた。

外に出されていた献立。

昼は7,000円と10,000円の懐石コース2種のみ。

夜は13,000円、16,000円、20,000円、25,000円の懐石コース4種。

内容はわからないがとてもシンプルなメニューコースだ。

当店は本店と違いカウンターの目の前で料理人の仕事を見ながら

気軽に料理を楽しめる割烹スタイルを採っている。

カウンター席10席、小上り2卓、お座敷(お茶室を含む)3室で35席のお店だ。

コンパクトな空間を活かし、出来るだけ近い距離で熱いものはできるだけ熱く、

冷たいものはできるだけ冷たく料理とサービスを提供したいというのが当店の考え方だという。

右手の方が田村総大将の弟さんで風格を感じる村田大将。

「兄は週1くらいで菊乃井の世界でしっかりやっているか、チェックがてら見に来ますヨ。」と

笑顔で話していたのが印象的だった。

その菊乃井のコンセプトは

「料亭の基本は飯屋。普通の人が普通に働いて人生の節目の日に少しだけ贅沢な気分を味わえる。」

お近づきの一杯 食前酒の桜酒

この鉄器の急須、漆塗りの盃。

特に金で描かれた柄が素敵だ。

 

 

卯月の13,000円のコースを事前予約。

他のカウンター席の2組の客は上のランクをオーダーしているのを見て

途中で何か気後れを感じてしまった。

諸口 鯛の寄せ白子 生このこ たらの芽

八寸 アボカド味噌漬 車海老 鮪松風 常節 一寸豆 蕨烏賊 蝶々長芋

鯛木の芽寿司 蛍烏賊香酒漬 花弁百合根 花弁独活

向付 明石鯛 金目鯛 ポン酢ゼリー 海苔 山葵

蓋物 桜蒸し 甘鯛 道明寺 桜葉 桜花 蕨 ぶぶあられ 露生姜

焼物 桜鱒燻し焼き 山椒酢

強肴 若竹鍋 筍 若布 菜種 木の芽

御飯物 筍御飯 木の芽

後吸物 うすいえんどう豆すり流し 桜麩

香の物 盛り合せ

水物 杏仁豆腐・レモンカードか、冷たいおしるこ・牛乳アイスクリーム・白木耳・白玉団子

後者を選択した。

当店は持ち帰りもやっている。

露庵弁当 3,990円(三日前までの注文)

鯖寿司、穴子寿司 8切2,160円。

ピンボケして申し訳ありません。

美味しいのもを食べてほろ酔い気分で外に出ると木屋町通りは妖艶で華やかな夜桜の夢の世界。

今日も常連客が多かったのだろう。

一段落ついて村田の大将もいつまでもお客のお見送りだ。

やはり京都は素晴らしい。