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ワールド・オブ・ライズ (2008/米)(リドリー・スコット) 80点

2008-12-30 17:47:09 | 映画遍歴
今や世界的なテロで日常を危機感につのらされている9.11以降のCIAとテロ集団との戦いを、かなり切り込んだ脚本と鮮烈な演出で一現代を炙り出すことに成功している。

でもアメリカってすごいですね。こういうどちらかというと政治的にも避けたい題材を堂々とエンタメにしちゃう技量と野心、そしてそのたくましさには頭が下がります。テロ崩し、合戦だけでは単調と見たのかご都合よくロマンスまで挿入し硬いばかりの画面に色づけをし、みずみずしさまでが漂っている。うまい展開だ。

現代の情報戦では機器利用は逆にやばいので対人で直接に情報伝達が行われているという。そういう現実も基本に、それでもでっち上げのテロ組織の構築部分は結果的にははっとする驚きと悲しみが湧き出てくる。

何の関係もない一実業家がこのため殺戮される現実は映画とは言え重いはずだが、やはりハリウッドではそこが軽すぎる。それを企んだディカプリオの多少の悔恨シーンはあるが軽い。これでさえエンタメにしちゃってるハリウッドのたくましさよ、、。

と言いながら僕もこの映画を良心とは別に楽しんでいたのも事実だ。でもどこかそれを訝る自分の気持ちがちらついていたのも事実。

ディカプリオは最近作品を選んでいるなあという印象。本作も彼の熱演は最後までエネルギッシュで嫌みがない。いい役者になったものだと思う。彼の女性ファンはこんな硬派映画でもついて来てくれるのでしょうか、、。少々心配だが本当のファンかどうかの岐路でもあるでしょう。

ラッセル・クロウはサラリーマン的なあくどい臭気を漂わせるCIAの幹部を好演。ただ、あくまでもディカプリオの対照としての役どころなので彼のうまい分、ディカプリオが儲け役となってしまう構造を成している。そう、この映画は本当は政治という危険な題材を使ってはいるがディカプリオ高揚映画でもあるのです。まさにハリウッドエンターテインメント映画です。

でも2時間を超える時間は余り感じられずスピーデーな演出と脚本はリドリー・スコットの健在ぶりを示してくれた。秀作です。

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