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「再会」 横関 大 (著) 講談社 (2010)  80点

2011-11-20 10:08:06 | 読書遍歴

23年前に4人で校庭でに埋めたというタイムカプセルがキーなんだけど、これが12歳の子供という設定がいい。そして今や青年期を超え家庭や仕事で社会的にも一番大変な世代の4人の久しぶりのめぐり合い。

話しぶりがストレートで自然。読みやすい。ミステリーでなくてもどんどん読める文章。何しろ23年間ある事を封印したがために人生を迷いだした4人の書きぶりがジーンとくる。

けれどこれは江戸川乱歩賞なんで、ミステリーなんだよね。受賞作でこれほどのツッコミがいろいろあるのも実際珍しい。

まず事件のきっかけになった子供の心情が冒頭だけで後は置き去り。途中はいいとして、ラスト近くの遊園地に逃避行する母息子と同行する女性がなんであの人なの、とクエッション。

そしてラストのラストで明かされる腕利き刑事の半生も全然わざとらしい。何より、そもそもこの事件現場に普通の、単なる女性が元夫をだまして現場に踏み込むことなんてあり得るのだろうか、とミステリーとして不思議がる。どう考えても元夫をだますというより読者をだまそうとしているとしか思えない。

とかいろいろ言いたいことはあるんだが、この4人の関係が素敵で、好感度は高い。僕はこういう話は大好き。横関大氏、この人はかなり書ける作家だと思います。


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