Sightsong

自縄自縛日記

『個人的な大江健三郎』

2023-11-12 10:15:32 | 思想・文学

ETV特集の「個人的な大江健三郎」。心の危機に直面したときに読んだ大江健三郎というテーマ、共感するところが多かった。自分にとっては二十代のころに読んだ『「雨の木」を聴く女たち』と『人生の親戚』、それから何年か前にあらためて紐解いた『同時代ゲーム』。

漫画のこうの史代さんが、『ヒロシマ・ノート』について語っている。当事者ではない者が苛烈な事象にいかに相対するのか、大きな示唆が得られた、と。それが大江にとって「広島的」すなわち「真に人間的」という表現に象徴されたのだ、と。

いま大江健三郎の「同時代論集」が岩波書店から刊行されていて、まずは第4巻の『沖縄経験』を読んでいる。半分は『沖縄ノート』で読んだものだけれど、やはり発見が多い。「当事者性」ということでいえば、それは日本人たる自身に向けられたものであって、たとえば、「多様性にたいする漠然たる嫌悪の感情が、あるいはそれを排除したいという、なかばは暗闇のうちなる衝動」という指摘であり、スーザン・ソンタグを引いての「倫理的想像力 moral imaginationはいささかもないのか?」という疑問だった。 そしていわゆる集団自決に関して使われた「おりがきたら」。日本軍の責任者であった守備隊長が言い放った言葉であり、「おりがきたら」、過去についてあいまいにしてもよいだろうという自己欺瞞の言葉。

https://www.nhk.jp/.../ts/M2ZWLQ6RQP/episode/te/3P398NPVR2/


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