Sightsong

自縄自縛日記

富樫雅彦『Speed and Space』

2016-12-29 12:12:47 | アヴァンギャルド・ジャズ

富樫雅彦『Speed and Space』(Union Records、1969年)を聴く。アナログ盤である。

Masahiko Togashi 富樫雅彦 (ds, vib, perc)
Masahiko Sato 佐藤允彦 (p, perc)
Mototeru Takagi 高木元輝 (ts, bcl, corn pipe) 
Yoshio Ikeda 池田芳夫 (b) 

本盤は1969年11月22日の録音であり、同年の5月23日には、やはり富樫雅彦カルテット(富樫、高木、高柳、吉沢)によって『We Now Create』が、そして12月19日には富樫・高木デュオによって足立正生の映画『略称・連続射殺魔』の音楽が吹き込まれ、のちに編集されて『Isolation』が出されている。また、1975年には、メンバーを少し変えて、『風の遺した物語』が出されている。

もとより『We Now Create』とはメンバーの大きな違いもありサウンドの質も異なる(実は確かめようとしてCDが行方不明)。また、『Isolation』については、故・副島輝人氏が「即興演奏の極限に挑んだもので、フリージャズの頂点の一つ」としている(『日本フリージャズ史』)のではあるが、本盤はそれを突破力で凌駕するのではないか。もっとも、それは本盤をアナログで聴いているためかもしれない。

1970年に富樫が刺され、下半身不随になる直前のプレイである。ここでは当然バスドラムも使っていて、後年に研ぎ澄まされてゆく繊細・正確・高速なパルスと、エルヴィン・ジョーンズも思わせる大きなノリ・うねりのパルスとが共存しており、文字通り、圧倒される。

高木元輝のテナーやバスクラは、いかにマージナルなところを突破するかに挑戦し続けているようだ。そして佐藤允彦のピアノは、ガラスが美しく壊れるところを思わせるものであり素晴らしい。ソロで入っていく旋律には、のちに富樫、ゲイリー・ピーコックとのトリオで吹き込んだ『Wave』を思わせるところもある。

●富樫雅彦
富樫雅彦が亡くなった(2007年)
『富樫雅彦 スティーヴ・レイシー 高橋悠治』(2000年)
富樫雅彦+三宅榛名+高橋悠治『Live 1989』(1989年)
内田修ジャズコレクション『高柳昌行』(1981-91年)
富樫雅彦『セッション・イン・パリ VOL. 1 / 2』(1979年)
富樫雅彦『かなたからの声』(1978年)
翠川敬基『完全版・緑色革命』(1976年)
富樫雅彦『風の遺した物語』(1975年)
菊地雅章クインテット『ヘアピン・サーカス』(1972年)
菊地雅章+エルヴィン・ジョーンズ『Hollow Out』(1972年)
小川紳介『1000年刻みの日時計-牧野村物語』(1968年)
『銀巴里セッション 1963年6月26日深夜』(1963年)

●高木元輝
高木元輝の最後の歌(2000年)
2000年4月21日、高木元輝+不破大輔+小山彰太(2000年)
高木元輝『不屈の民』(1996年)
1984年12月8日、高木元輝+ダニー・デイヴィス+大沼志朗(1984年)
加古隆+高木元輝+豊住芳三郎『滄海』(1976年)
加古隆+高木元輝+豊住芳三郎『新海』、高木元輝+加古隆『パリ日本館コンサート』(1976年、74年)
富樫雅彦『風の遺した物語』(1975年)

豊住芳三郎+高木元輝 『もし海が壊れたら』、『藻』(1971年、75年)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。