仲宗根勇・仲里効編『沖縄思想のラディックス』(未來社、2017年)を読む。
6人の論考それぞれが短い(「季刊未来」にリレー連載された)ということもあり、周知のことを概説するにとどまっているもの、逆に読者との共有を拒んでいるもの(川満信一)、空虚な言説(仲里効)が含まれていて、これは1冊の本にまとめたという意義が大きいのだと理解する。
「周知」と言ったところで、日本においてはほとんど「問題」と歴史が知られていない現状がある。わたしが「知っている」ことをアピールしたいのではない。「問題」をずっと追いかけていれば把握できることである。わたしは興味が向かなければ「問題」から容易に離脱できる者に過ぎない。むしろ、「問題」の解決に進んでいないことが逆説的にわかるということだ。その意味で、広く読まれるべきである。
「歴史はそれ自体激しい強大なエネルギーを持っている。その不可思議な動向に関して何の洞察力も創造力もなく、倫理観と批判意識を決定的に欠いている安倍政権がやがて破綻するのは火を見るより明らかではないか。」(八重洋一郎「南西諸島防衛構想とは何か」)
「昨今、沖縄県内の新聞メディアでは「自治権」のみならず、「自己決定権」「民族自決権」、そして「独立」という言葉が散見されるようになった。沖縄におけるこの社会的趨勢は、思想上の議論と理論的な批判検討の段階に入っている。」(桃原一彦「「沖縄/大和」という境界」)
●参照
島袋純さん講演会「島ぐるみ会議の挑戦―自治権拡大の国際的潮流の中で」(2016年)
島袋純さん講演会「"アイデンティティ"をめぐる戦い―沖縄知事選とその後の展望―」(2014年)
琉球新報社・新垣毅編著『沖縄の自己決定権』(2015年)
崎山多美『うんじゅが、ナサキ』(本書に論考)
高嶺剛『変魚路』(2016年)(本書に論考)