Sightsong

自縄自縛日記

アレクサンダー・ホルム、クリス・シールズ、クラウス・ハクスホルムとのセッション@Permian

2019-05-01 10:43:28 | アヴァンギャルド・ジャズ

不動前のPermianで、デンマークのエクスペリメンタルシーンの3人と東京インプロシーンの面々とのセッション(2019/4/30)。人が多く、開演まで準備でわちゃわちゃしていてどうなることか。

Alexander Holm (electronics)
Chris Shields (electronics)
Claus Haxholm (electronics)
Yoko Ikeda 池田陽子 (viola)
Chiho Suzuki 鈴木ちほ (bandoneon)
Straytone (electronics)
Masashi Takashima 高島正志 (ds)
Takashi Masubuchi 増渕顕史 (g)
Naoto Yamagishi 山㟁直人 (perc)

1. クリス・シールズ+高島正志

高島さんの音は脈動のようである。ときに急激な破裂があり、それがドラムをびりびりと震わせる。ドラムロールも差し挟まれ奇妙に動揺する。クリスさんは高島さんの音をピックアップし、その音量に応じて自分のアウトプットを変え、また深呼吸をそれに重ねた(あとで聞くと、エレクトロニクスとは連動していないとのこと)。蝉の声が聴こえる。脈動は水の中の胎動へと変わっていった。

2. クラウス・ハクスホルム+池田陽子

池田さんは小さめのヴィオラを使った。擦れる音がさまざまな形のアーチとなる。クラウスさんははじめは机を軋ませ、横にどけ、池田さんのアーチに呼応する。次第にふたりの音の重なりが増えてゆき、底流のごとき低音でうごめく。ヴィオラには高音が混じってゆき、カカカカカというヴォイスとともに放出の大きさや拡がりを増していった。

3. アレクサンダー・ホルム+Straytone

苛烈にも聴こえるStraytoneのエレクトロニクス。アレックスさんはそれと同化しつつ、マイクの持ち場所によってフィードバックをコントロールしながらヴォイスを重ねるという技をみせた。プラグによる点の接触音と、傷口のようなハウリングの面の接触音とが相互に呼応する。やがてふたりのサウンドは、金属のバケツの中で擦れ反響するようなものに成長していった。その中でアレックスさんのハーモニカが、殺伐とした廃墟での人の気配を漂わせた。

4. クリス・シールズ+鈴木ちほ

バンドネオンの静かな単音が大きな振幅とともに和音へと変わってゆき、クリスさんが小鳥のような音で応じる。息遣い、人の気配、いつかの記憶。虫が鳴く夜。ときおりちほさんの蛇腹が事件を起こし、エレクトロニクスが水晶のように光る音を出した。静かに互いに手探りをして、手と手を重ね合わせたような素敵な感覚。

5. クラウス・ハクスホルム+山㟁直人

山㟁さんはドラムを顔に当てて驚くほど想像力をかきたてる音を出す。気が付くと野原にいるような、クラウスさんの渓流や風や虫の音。おのおのの音は多様性を増してゆく。山㟁さんによる、金属や植物を使ってのマージナルなところへの探索が素晴らしい。ときおり大きな声の「very hard to imagine」などといったアナウンスが挿入され驚く。そうです、観察はしても想像は難しいものである。

6. アレクサンダー・ホルム+増渕顕史

音を蒸留し抽出するかのような増渕さんのギター。その間合いにシンクロさせ、アレックスさんがハーモニカを使う。それはやがてよれて雑音を混じるものとなっていったのだが、その、よれることによる気配というものを感じさせられた。増渕さんは時間をつかむと加速し、また自らそれを手放し、選定の過程に入ることを繰り返す。弦の振動に耳が吸い寄せられる瞬間もあった。アレックスさんのホワイトノイズ、ハウリング。共謀の時間。

Fuji X-E2、7Artisans 12mmF2.8、XF35mmF1.4

●高島正志
高島正志+古池寿浩+秋山徹次「Blues Frozen Xīng ブルース 凍てついた星」@Ftarri(2018年)
高島正志+河野円+徳永将豪+竹下勇馬@Ftarri(2018年)

●池田陽子
エレクトロニクスとヴィオラ、ピアノの夕べ@Ftarri(2019年)
鈴木ちほ+池田陽子(solo solo duo)@高円寺グッドマン(2019年)
池田陽子+山㟁直人+ダレン・ムーア、安藤暁彦@Ftarri(2018年)
森重靖宗+池田陽子+増渕顕史『shade』(2018年)
佐伯美波+池田若菜+池田陽子+杉本拓+ステファン・テュット+マンフレッド・ヴェルダー『Sextet』(2017年)
クリスチャン・コビ+池田若菜+杉本拓+池田陽子『ATTA!』(2017年)

●Straytone
『OTOOTO』(2015、17年)
Spontaneous Ensemble vol.7@東北沢OTOOTO
(2017年)

●鈴木ちほ
鈴木ちほ+池田陽子(solo solo duo)@高円寺グッドマン(2019年)
種まき種まかせ 第3回ー冬の手ー@OTOOTO(2019年)
種まき種まかせ 第2回ー秋の手-@Ftarri(2018年)
impro cats・acoustic@なってるハウス(2018年)
鈴木ちほ+荻野やすよし(solo solo duo)@高円寺グッドマン(2018年)
鳥の未来のための螺旋の試み@ひかりのうま(2017年)
毒食@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2017年)
晩夏のマタンゴクインテット@渋谷公園通りクラシックス(2017年)
北田学+鈴木ちほ@なってるハウス(2017年)
りら@七針(2017年)
齋藤徹+類家心平@sound cafe dzumi(2015年) 

●山㟁直人
池田陽子+山㟁直人+ダレン・ムーア、安藤暁彦@Ftarri
(2018年)

●増渕顕史
森重靖宗+池田陽子+増渕顕史『shade』(2018年)
齊藤僚太+ヨシュア・ヴァイツェル+増渕顕史@Permian(2018年)
Zhu Wenbo、Zhao Cong、浦裕幸、石原雄治、竹下勇馬、増渕顕史、徳永将豪@Ftarri(2018年)
クレイグ・ペデルセン+エリザベス・ミラー+徳永将豪+増渕顕史+中村ゆい@Ftarri(2017年)
杉本拓+増渕顕史@東北沢OTOOTO(2017年)
Spontaneous Ensemble vol.7@東北沢OTOOTO(2017年)
『OTOOTO』(2015、17年)


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