Sightsong

自縄自縛日記

メアリー・ハルヴァーソン『Code Girl』

2018-05-04 08:37:22 | アヴァンギャルド・ジャズ

メアリー・ハルヴァーソン『Code Girl』(Firehouse 12 Records、2016年)を聴く。

Amirtha Kidambi (vo)
Ambrose Akinmusire (tp)
Mary Halvorson (g)
Michael Formanek (b)
Tomas Fujiwara (ds)

メアリー・ハルヴァーソンが詩を書き、それをアミリタ・キダンビが歌う。本盤が録音されたのと同じ2016年にThe Jazz Gallryでこけら落としのライヴが行われ、そのレビューを書いたシスコ・ブラッドリーによれば彼女がヴォーカルと共演したり詩を書いたりするのははじめてだとあるが、いま考えると、PEOPLEの3枚のことを忘れていたのではないかな(わたしも翻訳時にはPEOPLEを未聴で気付かなかった)。

それはさておき、なかなか独特で良いグループだ。ジャズ感覚はプレイヤーの色によるもので半分。縦ノリでその上でのユニゾンと逸脱により快感を生み出している時間も多々ある。グロテスクでガーリーなポップス感もある。よろすずさんたちはチェンバーロック的な側面について発言していた。上記シスコさんのレビューでは「各々のメンバーが自身の声を展開し、直接、お互いを信頼しつつ応答し、そこかしこで即座に合体するという、緊密な連携である。」と書いており共感する。

メアリーはリズムと音程とを意図的に過激に歪ませる。今後フォロアーも増えてきそうなものだがどうだろう。マイケル・フォルマネク、トマ・フジワラの個性も聴きとることができる。そして何よりもアンブローズ・アキンムシーレである。いつものフォーマットでなくてもかれのトランペットの音は濃密で知的、だからと言ってせせこましくなくて外に開かれている。3年前にトム・ハレルと並んで吹くところを観たが、それはもう対照的で動悸がするほどのものだった。「Code Girl」のトランぺッターは都合によってアダム・オファリルに替わったりもしているようだが(今月のVision Festivalに行く予定だった・・・)、やはりアキンムシーレを観たい。

●メアリー・ハルヴァーソン
トム・レイニー・トリオ@The Jazz Gallery(2017年)
メアリー・ハルヴァーソン『Paimon: Book Of Angels Volume 32』(2017年)
トマ・フジワラ『Triple Double』(2017年)
メアリー・ハルヴァーソン『Away With You』(2015年)
イングリッド・ラブロック、メアリー・ハルヴァーソン、クリス・デイヴィス、マット・マネリ @The Stone(2014年)
『Illegal Crowns』(2014年)
トマ・フジワラ+ベン・ゴールドバーグ+メアリー・ハルヴァーソン『The Out Louds』(2014年)
メアリー・ハルヴァーソン『Meltframe』(2014年)
アンソニー・ブラクストン『Ao Vivo Jazz Na Fabrica』(2014年)
イングリッド・ラブロック(Anti-House)『Roulette of the Cradle』(2014年)
『Plymouth』(2014年)
PEOPLEの3枚(-2005、-07、-14年)
トム・レイニー『Hotel Grief』(2013年)
チェス・スミス『International Hoohah』(2012年)
イングリッド・ラブロック(Anti-House)『Strong Place』(2012年)
イングリッド・ラブロック『Zurich Concert』(2011年)
メアリー・ハルヴァーソン『Thumbscrew』(2013年)
ウィーゼル・ウォルター+メアリー・ハルヴァーソン+ピーター・エヴァンス『Mechanical Malfunction』(2012年)
ステファン・クランプ+メアリー・ハルヴァーソン『Super Eight』(2011年)
ウィーゼル・ウォルター+メアリー・ハルヴァーソン+ピーター・エヴァンス『Electric Fruit』(2009年)
アンソニー・ブラクストン『Trio (Victoriaville) 2007』、『Quartet (Mestre) 2008』(2007、08年)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。