Sightsong

自縄自縛日記

「ジョン・ラッセルを追悼する」@下北沢アレイホール

2022-01-23 09:55:10 | アヴァンギャルド・ジャズ

下北沢のアレイホールにおいて、「ジョン・ラッセルを追悼する」コンサート初日(2022/1/22)。

Yumiko Tanaka 田中悠美子 (三味線, vo)
Tetuzi Akiyama 秋山徹次 (g)
Ken Ikeda 池田謙 (electronics)
Christophe Charles (g, electronics)
Suzueri すずえり (p, accordion, misc.)
Ko Ishikawa 石川高 (笙)

この顔ぶれに期待が高まる。クリストフ・シャルルさんの演奏を観るのは、川村龍俊さん主催の「Winds Cafe」第1回(1997年)以来だから四半世紀が経っている(Winds Cafeにも久しぶりに行ってみようかな)。

はじめに『In Alleycumfree』(ヘレン・ペッツ)の上映があった。ジョン・ラッセルさんの墓を訪ねるときの映像であり、ジョンさんのギターソロが重ね合わされている。楽器に音がへばりつきながら意思をもった生命体が歩を進めるようなものであり、あらためて独特な音楽家だったのだなと思わされる。

ファーストセットはすずえり+石川高+クリストフ・シャルル。笙の響きは大きな空間と長い時間を感じさせてくれるものだが、そこにギターとピアノが足音を立てないようにすっと入ってくる。すずえりさんのピアノの横には蓋を開けて剥き出しになったトイピアノ、その弦にモーターで回転する羽根が接触し、世界は事件で満ちているのだと言わんばかり。途中、石川さんの笙が短いパッセージで擾乱を起こすところなんて動悸が激しくなった。

セカンドセットは田中悠美子+池田謙+秋山徹次。弦のふたりは常にかれらにしかできないおもしろがりかたを表現する。田中さんは腹の底で笑いながら淡々と音楽的作業、秋山さんはよくわからない分厚いフィルターを通過させて一音一音を捻出。驚いたことにこのふたりが音で相互に呼応しあっている。そして池田さんの抑制的なサウンドが背後でこっそりその場の空間を歪ませており(3人の姿が揺れるところを幻視できた)、すばらしい。

最後に6人が集まって演奏。それぞれの音に耳をそばだてると個性を拾い上げることができるのだが、耳を全体に広げると誰の音かわからなくなるという愉悦があった。

Fuji X-E2、Rollei Sonnar 85mmF2.8 (M42)

●ジョン・ラッセル
ジョン・ラッセル+豊住芳三郎@稲毛Candy(2018年)
「響きの今」(ジョン・ラッセル、ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ、ピーター・エヴァンス、秋山徹次)@両国門天ホール(2018年)
ジョン・ラッセル、ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ、すずえり、大上流一、石川高、山崎阿弥@Ftarri(2018年)
豊住芳三郎+ジョン・ラッセル『無為自然』(2013年)
ドネダ+ラッセル+ターナー『The Cigar That Talks』(2009年)
『News from the Shed 1989』(1989年)
ジョン・ラッセル+フィル・デュラン+ジョン・ブッチャー『Conceits』(1987、92年)
近藤等則+ジョン・ラッセル+ロジャー・ターナー『Artless Sky』(1979年)

●田中悠美子
藤山裕子+さがゆき+田中悠美子+山田邦喜@なってるハウス(2020年)
トム・ブランカート+ルイーズ・ジェンセン+今西紅雪+田中悠美子@本八幡cooljojo(JazzTokyo)(2019年)
齊藤僚太+ヨシュア・ヴァイツェル+田中悠美子@Ftarri(2018年)
角銅真実+横手ありさ、田中悠美子+清田裕美子、すずえり+大城真@Ftarri(2018年)

●秋山徹次
秋山徹次+すずえり@水道橋Ftarri(2020年)
ヨアヒム・バーデンホルスト+ガレス・デイヴィス+秋山徹次@水道橋Ftarri(2020年)
ドーヴィッド・シュタッケナース+秋山徹次+中谷達也@東北沢OTOOTO(2020年)
アーサー・ブル+秋山徹次、神田さやか@Ftarri(2019年)
謝明諺+秋山徹次+池田陽子+矢部優子@Ftarri(2019年)
エリザベス・ミラー+クレイグ・ペデルセン+秋山徹次+中村としまる@Ftarri(2018年)
「響きの今」(ジョン・ラッセル、ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ、ピーター・エヴァンス、秋山徹次)@両国門天ホール(2018年)
高島正志+古池寿浩+秋山徹次「Blues Frozen Xīng ブルース 凍てついた星」@Ftarri(2018年)
Sound of the Mountain with 秋山徹次、中村としまる『amplified clarinet and trumpet, guitars, nimb』(JazzTokyo)(2017年)
ファビオ・ペルレッタ+ロレンツォ・バローニ+秋山徹次+すずえり@Ftarri(2017年)
池田謙+秋山徹次@東北沢OTOOTO(2017年)
『OTOOTO』(2015、17年)

●池田謙
キム・ミール+クリスチャン・ヴァルムルー+池田謙@東北沢OTOOTO(2019年)
フタリのさとがえり@Ftarri(2018年)
池田謙+秋山徹次@東北沢OTOOTO
(2017年)

●すずえり
秋山徹次+すずえり@水道橋Ftarri(2020年)
エレクトロニクスとヴィオラ、ピアノの夕べ@Ftarri(2019年)
すずえり@Ftarri(2019年)
すずえり+大城真『Duo』(2018年)
ジョン・ラッセル、ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ、すずえり、大上流一、石川高、山崎阿弥@Ftarri(2018年)
角銅真実+横手ありさ、田中悠美子+清田裕美子、すずえり+大城真@Ftarri(2018年)
フタリのさとがえり@Ftarri(2018年)
Zhao Cong、すずえり、滝沢朋恵@Ftarri(2018年)
ファビオ・ペルレッタ+ロレンツォ・バローニ+秋山徹次+すずえり@Ftarri(2017年)
すずえり、フィオナ・リー『Ftarri de Solos』(2017年)

●石川高
間(ま)と楔(くさび)と浮遊する次元@新宿ピットイン(2021年)
アンドレ・ヴァン・レンズバーグ+石川高+山㟁直人@喫茶茶会記(2020年)
フローリアン・ヴァルター+石川高+山崎阿弥@Bar subterraneans(JazzTokyo)(2019年)
ジョン・ラッセル、ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ、すずえり、大上流一、石川高、山崎阿弥@Ftarri(2018年)
ピーター・エヴァンス@Jazz Art せんがわ2018(JazzTokyo)(2018年)
齋藤徹ワークショップ「寄港」第ゼロ回@いずるば(2017年)
エヴァン・パーカー@スーパーデラックス(2016年)
一噌幸弘『幽玄実行』『物狂 モノグルイ』(JazzTokyo)(2011年)


『Luego Luego Magazine』のインタビュー記事

2022-01-23 09:49:50 | アヴァンギャルド・ジャズ
『Luego Luego Magazine』に僕へのインタビューが掲載されました(40頁~)。編集はトロンボーン奏者のブライアン・アレンさん。写真は中国のサックス奏者・老丹と(アケタの店)、『Voyage』誌に書いた記事、友人との「チーズケーキサミット」、草間彌生の間にて(LAのBroad)、なってるハウスのビール。こうして書き手に注目してもらうのはおもしろいことです。