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Sightsong

自縄自縛日記

アリ・ブラウンの映像『Live at the Green Mill』

2016-11-06 09:03:59 | アヴァンギャルド・ジャズ

アリ・ブラウンのDVD作品『Live at the Green Mill』(Delmark、2007年)を観る。

Ari Brown (ts, ss, fl)
Pharez Whitted (tp)
Kirk Brown (p)
Yosef Ben Israel (b)
Avreeayl Ra (ds)
DR. Cuz (perc)

特にテナーが、少し塩辛く、実に味があってブルージーだ。これは凝視せざるを得ない。ソプラノとの同時二本吹きもあり、客席は沸くのだが、本人はどこ吹く風で渋い顔で笑える。

ドラムスのエイブリアイル・ラーの分裂発散型のプレイにも目を惹かれる。最近でもデイヴ・レンピスとの共演盤において、その不定形ぶりが印象的だった(レンピス/エイブラムス/ラー+ベイカー『Perihelion』)。

これは10年近く前の映像だが、最近のプレイをyoutubeで観ても、いまも健在のようだ。90年代にエルヴィン・ジョーンズ・ジャズ・マシーンの一員として新宿ピットインに出たとき、ゆったりと裏でリズムを取りながら良いソロを披露してくれた。うっとりするような「In a Sentimental Mood」を覚えている。そのとき、ケイコ・ジョーンズさんは(いつもの長いMCで)、チコ・フリーマンやデイヴ・リーブマンやスティーヴ・グロスマンと比較しながら、ずいぶんとブラウンを褒めていた。それだけのことはあった。

アリ・ブラウンはシカゴAACMのサックス奏者の中ではさほど目立って評価されてきたわけではない。ヘンリー・スレッギルやロスコー・ミッチェルのように突出した個性を発散してもいないし、フレッド・アンダーソンのようにどこまで突き進むのかという危なさもない。また、ヴォン・フリーマンのように強烈な発酵食品の臭さもない。しかしそれはそれとして、傑出したサックス奏者である。

ところで、AACMにはアンドリュー・ラムやハナ・ジョン・テイラーなど過小評価のサックス奏者は少なくない。スターだけでなくかれらの音をもっと聴きたいと思っている。

●アリ・ブラウン
カヒル・エルザバー(リチュアル・トリオ)『Alika Rising!』(1989年)
ドン・モイエ+アリ・ブラウン『live at the progressive arts center』(1981年)