カヒル・エルザバーのリチュアル・トリオによる再発盤『Alika Rising!』(Katalyst Entertainment、1989年)を聴く。シカゴの3人がドイツで行った演奏の記録。
Kahil El' Zabar (kalimba, earth ds, ankle bells, voice)
Ari Brown (ss, piano)
Malachi Favors (b)
90年代後半に、新宿ピットインで、エルヴィン・ジョーンズのジャズ・マシーンの一員として吹くアリ・ブラウンを観たことがある。いつものように長いMCを繰り広げるケイコ・ジョーンズさんは、いろいろサックス奏者はいるもののアリ・ブラウンは特別だから呼んだのだと話していた。ブラウンは、他の演奏者がソロを取る間、笑いながら激しく後ノリで大きく身体を揺らしていた。印象的なサックスだったので、後日かれのリーダー作を入手して聴いたのだが、あっさりしていて物足りなかった。
しかし、この透明感のある音がかれの個性なのだと思えてきた。またそれだけでなく、3曲目の演奏では、透き通っているのに濁ってもいるような実にいい音色で、マラカイ・フェイヴァースの繰り出すリフに乗って素晴らしいブルースを吹く。サックス2本吹きも披露する。そしてフェイヴァースの柔らかくて深いベースが、またいい。
『RAdIO』にも似た雰囲気があるのだがどうだろう。
●参照
マラカイ・フェイヴァース『Live at Last』 (2003年)
ドン・モイエ+アリ・ブラウン『live at the progressive arts center』(1981年)
マラカイ・フェイヴァースのソロ・アルバム(1977年)
アート・アンサンブル・オブ・シカゴの映像『Null Sonne No Point』(1997年)
アート・アンサンブル・オブ・シカゴ『カミング・ホーム・ジャマイカ』(1995-96年)
アート・アンサンブル・オブ・シカゴの映像『LUGANO 1993』(1993年)
アート・アンサンブル・オブ・シカゴ『苦悩の人々』(1969年)