11月9日
ヴェトナム中部の世界遺産めぐりの旅ははダナンからはじまる。
ダナンは、ハノイ市700万人、ホーチミン市600万人に次ぐ人口95万人のベトナム第3番目の都市である。
人口が少ない分、バイクも少なく、当然空気もきれい、その分直射日光が強烈で肌を刺すような日差しがあり、11月とはいえもちろん泳ぐこともできる。
古くから東西貿易の中継地として栄えて、現在は中部の工業地帯の中心ともなっている。
日本や韓国の企業進出も盛んで、やっと18ホールのゴルフ場がこの9月にオープンしたし、リゾート観光開発も活発で海岸にそってホテルの建設ラッシュで活気がありカジノもできるようだ。
しかし、ベトナム戦争中はアメリカ軍の基地が置かれ、戦争で建物も破壊されたのか、ハノイと違って近代的なビルが並ぶ新しく生まれ変わった街のように見えた。
泊まったホテルは「ナムハイ」、
素晴らしく素敵なホテルであったが、前の海岸を散歩すると、たらい舟で漁をする人達がたくさんいた。
夜中中、一本釣りをしたり網を流したりの漁では収穫も多くなく、
こんな舟では岸から遠くにでることは出来ないし、舟の操作も難しそうだし、生活も大変だろうと思える。
先週、死者が多数でた大きな台風に見舞われ、水没した田んぼや砂に埋まった道路など修復中で気の毒だった。
ホイアンはダナンから車で30分、ここにはかつて日本人街も存在し、通称日本橋からホイアン観光がスタートする。
世界遺産の街並は、家々の土台が数十センチも持ち上げられて、洪水や大雨の際家の中に水が入らないように工夫されている。
かまぼこ型の瓦屋根を漆喰で固めているので屋根の重量が重く、台風に飛ばされにくくなっている。
各家にうだつがあり、火よけにもなっている。
天井に穴があけられているのは、商品の出し入れや洪水時に店の商品や家財道具をあげて守るため。
家々が道路に面してでこぼこと前後しながら建っているのは、台風の際に、強風を砕く風除けのためとか、随所にみられる工夫や、交流をもった様々な国の家屋の特徴が融合されていて興味深く、趣や格調がある。
しかも、遠い昔、朱印船でやってきた日本人がこの街で活躍していたと思うと、なんだか嬉しくなってくる。
ただ、せめて街中だけでもバイクの通行を禁止してくれないと、クラクションや騒音で、静かにたたずんでいてこそ価値のあるものが台無しともなっている。
ホイアンから1時間位でミーソン遺跡にいくことができる。
四方を山に囲まれた盆地に8世紀から13世紀までのヒンズー教の神殿が、明治時代のころ、フランス人に発見されるまで、ひっそりと草木に埋もれて、戦争や盗掘で破壊された悲惨な歴史をもちながらも静かにたたずんでいる。
東南アジアには、カンボジアのアンコールワットや、ジャワ島のボロブドールなど石造建築の素晴らしい文明があったのに、ジャングルに覆われて取り残されてしまったことはもの悲しく、それに比べて1000年も昔の文化が今もなお生き生きと存在している日本という国が大事な宝物のように思えた。