ハノイ便り

久しぶりの海外転勤、日々の記録として書き綴ります。

ベトナムづくしの昨日、今日

2008-05-17 01:05:09 | Weblog
5月16日
昨日は、小松みゆきさんの講演会、今日は歴史博物館でのツアーでした。
小松みゆきさんは、日本語教師をすることによって知った、ハノイに残されたベトナム人妻についての話でした。
このことについては、2005年8月にNHKで「引き裂かれた家族~ベトナム残留元日本兵の家族」として放送もされたそうです。
1945年、日本が無条件降伏をしてから1954年まで、ベトナムに残留しホーチミン軍の一員として、ベトナムのフランスからの独立を助けた日本残留兵には家族がありました。
1954年からの帰国に際し、共産圏からの帰国は日本では差別される心配があったため、夫のみの帰国となってしまったようです。
妻は帰らない夫を待ちながら、一人で子供を育てていかなければなりませんでした。
その後の、日本がアメリカ軍に基地を提供していたベトナム戦争中は、社会主義の国で、子供達は日本人との合いの子と差別され、義務教育のみで、高等教育は受けさせてもらえなかったため、親子とも生活は苦しかったようです。
現在、残された妻達も年を重ね、おだやかな老後を迎えているとはいえ、こんな家族がいたことは、「私が死んでしまったら、すべては忘れ去られてしまう」という人がいるように、歴史と政治に翻弄された家族のことを、私たちは忘れてはいけないのではないか、というお話でした。
歴史博物館では、1945年までのベトナムの歴史の説明を受け、他国の侵略を受け続けた国から日本をみてみることができました。
昨日、今日と珍しく晴れあがった青空と、さわやかな空気に恵まれましたが、ほろ苦い気持を抱えた日でもありました。