四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

「口語短歌・水曜サロンの会」(その75)

2023年03月15日 05時09分06秒 | 短歌

「口語短歌・水曜サロンの会」(その75)   短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。

 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。

【サロンの運営について】
 運営の詳細等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。


     「椿 鈴鹿の関」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】拙者ブログでは梅の花・河津桜・菜の花シリーズで春の特集を
    やっていますが、その選出の中に「長井海の手公園ソレイユの丘」が
    出て来まして懐かしい感じがしました。思えばポエット・Mさんが
    過去のある日「ソレイユの丘」の写真を掲示された時から交流が
    始まったと思います。そこで「菜の花・ソレイユの丘」を詠んで
    頂けたら幸甚に存じます。
 註)東京都中央区「浜離宮恩賜庭園」
☆ビル群の片隅照らす菜の花は 人魅了する癒しの空間
 註)神奈川県横須賀市「長井海の手公園ソレイユの丘」
☆眺むれば菜の花越しに富士山が 黄色く染まるソレイユの丘
 註)千葉県「小湊鉄道といすみ鉄道」
☆思い出の黄色い電車コトコトと ローカル線で眺める菜の花
                         浅間山明鏡止水
【解説】
 「菜の花シリーズ」の三首は、何れも春を呼ぶ菜の花が詠み込まれた
 爽やかで明るさに溢れた良い詠歌と思います。
 「ソレイユの丘」は現在前面リニューアルの最中で閉じていますが、
 丘からの富士山の眺望は良いですね。
 「ソレイユの丘を詠んで」との要請を頂きましたので、二首目の歌を踏まえ
 ながら、冠雪の富士山を望んで詠んでみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】

★冠雪の富士と菜の花ひびき合い 浅き春呼ぶソレイユの丘

【詞書】先週、夕庵さんが半玉と梅を詠まれてましたが、私は舞妓さんと梅を
    詠んでみました。匂草は梅の花の別称です。花街なので花を重ねず、
    舞妓さんの匂やかさに重ねて匂草としました。
☆花街のちさき社の匂草 手をたをやかに舞妓祈れり
【詞書】尾瀬では初夏の花で有名ですが、六甲高山植物園では春を告げる花
    として、白き水芭蕉の群落が見られます。
☆ひと雨に緑深むる六甲にひと叢(むら)白き水芭蕉の花
                         みっちっちさん
【解説】
 「花街のちさき社の匂草」「ひと雨に緑深むる六甲に」と俳句で鍛えた表現力故
でしょうが、上の句の詠いぶりの「切れ」にはいつも感嘆しています。
一首目は祇園白川のほとりにあります辰巳神社でしょうか。舞妓さんのたおやかで、
初々しいたたずまい等、確かな映像が浮かんできます。まさに「写生」ですね。

【詞書】奈良東大寺、二月堂でのお水取りの行事で「過去帳」を読み上げていた僧
    「集慶」の前に突然現れた女人「なぜ私を読み落としたのか」と恨めしげに
    問うたとか、声を潜めて「青衣(しょうえ)の女人」と読み上げると幻の
    ように消えていったという伝説が残っています。
    また、連行衆の一人の恋人が修行の道に没頭するあまり、冷たくなったと
    悲観して命を絶ったその姿が読み上げている最中に現れ、恨めしげに僧を
    眺める姿に煩悩を払うべく思わずその戒名を読み上げたといわれる。
☆堂内に連行衆の読みあげる「青衣の女人」の声は密やか
【詞書】3月7日は(芋虫月)ちょうど啓蟄の時期と重なっての命名。(warm moon)
    綺麗な満月のひかりを身に受けて・・
☆満月の蒼きひかりを手のひらに迷いの多き今日を生ききて
【詞書】先日イカナゴが解禁になりました。まもなくスーパーの店頭に佃煮が
    並ぶことでしょう。
☆漁港には男のかけ声頼もしくイカナゴ跳ねつつ春つれてくる
                         夕庵さん
【解説】
 「二月堂でのお水取り」等、季節の新鮮な息吹を詠み込んだ三首の歌には、
 春への確かな足音が響いています。

 なお、東大寺二月堂のお水取り「修二会」は、天平勝宝4年(西暦752年)から
 欠かすことなく行われ、今年で実に1272回を数える行事となっているとの
 ことですね。その過程で「青衣の女人」のような逸話も生まれたのでしょう。
 でも、とっさに、そのような対応ができる僧「集慶」は肝の座った優れた胆力と
 「女人」への思いやりにも満ちた僧侶だったと思っています。
 また、三首目「イカナゴ跳ねつつ春つれてくる」のダイナミックな表現が
 いいですね。正に春を引き寄せる詠歌となっています。


      「咲き初める 白蓮」

【詞書】先日、大阪府能勢町にあります名月姫の墓所に参りました時に作り
    ました歌を出詠させていただきたいと思います。
    この名月姫は現在の兵庫県尼崎で生まれましたが、たいそう美しかった
    ため14歳の時に能勢町の住民に攫われてしまいます。父親は探し回り
    ますが見つかりませんでした。
    姫は攫われた後、能勢町で幸せに暮らしていました。が、その美しさは
    福原の平清盛まで聞こえ、清盛に召されることになり、籠で運ばれる
    途中の峠で、夫に操を立てて自害してしまいました。その自害した峠に
    ある、名月姫の墓所で、かぐや姫の物語の元になったと言われている
    名月姫のことを詠ってみました。
☆美しく生まれし悲しみかくありぬかぐや姫とぞ言われし姫の
☆苔むした道を登りて三つ並(な)む墓の一つが姫のものなり
☆父親と夫の間(あひ)に立つ姫の墓も苔むし寒き三月
                         suisenさん
【解説】
 悲運の姫君、名月姫については尼崎と能勢の2個所に伝承があるようですね。
 平清盛の命令で神戸の福原へ移動する途中、貞節を守るために能勢の山中で
 自害した事は共通している
との事です。
 この名月姫について詠った三首の歌は、悲運の姫君に寄せた作者の優しさと、
 憐憫の情が滲む味わい深い詠歌となっています。
 三首目は、峠の墓所にたつ名月姫・夫家包・父国春の石塔を「苔むし寒き三月」
 と詠み、心を寄せ合い愛し合う夫婦が、時の権力者の命により引き裂かれ自尽
 せざるを得なかった事に対する、静かな怒りも行間に表現されています。

【詞書】ホワイトデー 折句
☆ほのかなる 
 私の思い今ここに
 ときめきながら
 渡すキャンデー
                         自閑(jikan314)さん
【短歌説明】自閑(jikan314)さんご自身の説明です。
 大昔は、贈り物をする時、和歌を添えました。
 バレンタインデーに義理チョコを頂いたので、ホワイトデーにお返しのキャンデーを
 渡す時、歌を添えようと5分で作りました。

 
 
 
 デー
 で縦にお読み下さい。折句と言うと在原業平の八つ橋
   唐衣 きつつなれにし つましあれ ばはるばるきぬる 旅をしぞ思ふ
 (縦に読むと「 かきつばた」となります)が有名です。
 短歌に技法を使う事を嫌う方も多いですが、贈答歌ですので御容赦願います。
 贈った後輩は、「笑点みたい?」と言いつつ喜んでくれました。
 昔は義理チョコも頂いたのですが、今は義理も無いのは寂しい限りです😢。
【投稿外コメント】自閑(jikan314)さんご自身のコメントです。
  ねがはくは花のもとにて春死なむその如月の望月のころ(山家集、西行法師集)
 と言う事で、今年の西行忌は暦の関係で3月6日でしたが、いよいよ桜🌸の季 節
  「花のした」と言うのと「花のもと」の二つの伝本があります。
  よし野山こずゑの花を見し日より心は身にもそはず成りにき(山家集、西行法師集)
 開花宣言が、なされると心ここにあらずとなります。
  いまさらに春をわするる花もあらじやすく待ちつつけふもくらさん(山家集、西行法師集)
 春になれば桜は咲くと知っていても、待ち遠しく暮らしている今日この頃と言うですね。
  吉野山去年のしをりの道かへてまだ見ぬかたの花を尋ねむ(新古今)
 今まで見たことの無い桜の美しさを見てみたいと言う貪欲までの心の内を表現していますね。
  (以降のコメントは、「ブログ」の字数制限から次回に掲載させて頂きます)。
 
【解説】
 王朝文化の中では、花や贈物に添えた和歌は教養であり、社交に華を添える大切な
 手段だったと拝察しております。
 作者がご説明の通り、「唐衣」の和歌は在原業平と思しき貴人が、三河の国の
 八橋という場所にて休息中、橋のほとりに美しく咲く燕子花(かきつばた)をみて、
 「かきつばた」の五文字を各句の先頭に置いて、旅の心、望郷の想いを詠んだと
 伝えられています。

 バレンタインデーに頂いたチョコへの返礼に、キャンデーに折句の和歌を添える
 なんて心憎いお返しですね。こんな心憎いことをされると「義理」が「本命」に
 変わる危うさもあるでしょうが…。大人の遊び心とゆとりも、また良いものですね。
 「5分」で折句の歌を詠み切る瞬発力と、感性には脱帽します。


☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  引き続き「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆漁港には男のかけ声頼もしくイカナゴ跳ねつつ春つれてくる
                         夕庵さん
★亡き母の釘煮は甘さ控えめにタッパに詰めて送りきし日よ
                         みっちっちさん

☆満月の蒼きひかりを手のひらに迷いの多き今日を生ききて
                         夕庵さん
★ 春月へ息をととのへ物問へば楽に生きよと亡き母の声
                         みっちっちさん
【詞書】母の歌となると返歌がしたくなりますね。まるで鬼ごっこのようで
    楽しいです。
★亡き母の爪切りしことまなうらに われの伸ぶ爪誰が切りくるる
                         夕庵さん
【詞書】母を詠めばいまも涙が滲みます。
★満月の孤高の円を見上ぐれば亡き母の顔このまなうらに
                         みっちっちさん

☆ひと雨に緑深むる六甲にひと叢白き水芭蕉の花
                         みっちっちさん
★水温む流れに目覚めし水芭蕉 白きヴェールのドレスをまとう
                         夕庵さん
★ 空映す水青くして水芭蕉 灯(とう)をかかげる女神のごとく
                         みっちっちさん

☆白梅のほころぶ野辺に香り満つ戸惑いつつも初蝶の舞う
                         ポエット・M
【詞書】白梅のひとひらと初蝶が楽しく遊んでるような気がして可愛くて即興で
    詠みました。
★初蝶の光こぼれて梅の花ひとひら舞へば光もつれて
                         みっちっちさん
★初蝶を追いて子犬のじゃれ合うをテラスに眺める春の額縁
                         夕庵さん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆

☆絵馬堂をつつむ梅の香 温き陽よ 叶い叶わぬ願いはあるも
                         ポエット・M
【解説】
 時々訪れる地域の神社に、天神社があります。訪れた時には遅咲きの白梅が、
 ほぼ満開となり馥郁とした梅の香があたりに漂って
いました。その神社の絵馬堂には
 年代を経た多くの絵馬に交じって、筆跡も鮮やかな
合格祈願の絵馬があまた
 並んでいました。おそらく今年の受験前に奉納したもので
あったかと思います。
 それぞれに記された切実な願い、祈りには叶ったものも、
また叶わなかったものも
 あったでしょうが、そんな一つ一つの絵馬に篭められた想いを
なぜか愛おしく感じ
 詠んでみました。

     「楚々と咲き匂う 白梅」

「五行歌集 ―君へのレクイエム― 」鑑賞 嵯峨吹雪著 (18)
 

5.ハワイ アロハの心(1)

   常夏の
     陽は燦燦と
        輝きて
       なにが瞳(め)に沁む
          パールハーバー

        潮風の
          中にかすかな
              恋風も
             吹きて哀しや
                ワイキキビーチ

           恋風に
             恋は吹かれて
                 来たけれど
               風と共に
                 去りぬかアハハ

       いつまでも
          チューブローズの
               花のごと
             香れハワイの
                アロハの心


     「未だ咲く 河津桜」

【短歌入門・質問・提案コーナー】
 字数制限により、今回は掲載を見送りました。

【ネット歌会について】
 「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式ではなく、
 「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」するという自然発生的な
 歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響くものがありましたら、それへの
 返歌として大いに詠んで頂き、コメント欄に記入して頂ければ幸いです

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。なお、ブログの
   字数制限(30,000字)により、コメント等編集させて頂く場合もあります。

 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                     了

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