四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

「口語短歌・水曜サロンの会」(その74)

2023年03月08日 05時27分12秒 | 短歌

「口語短歌・水曜サロンの会」(その74)   短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。


 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の
 詠まれた短歌を、毎週水曜日に掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。
 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に
 短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見、ご提案等をお寄せ頂ければ幸いです。

【サロンの運営について】
 運営の詳細等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。



     「咲き盛る 白梅」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」


【詞書】全国各地で梅の花が咲き誇っています。梅と言えば菅原道真、彼は太宰府に
    着く前に「東風吹かば匂いおこせよ梅の花あるじなしとて春な忘れそ」と
    和歌を詠んだことは余りにも有名です。
    そしてこの梅の木が道真公を慕って一夜のうちに京都から太宰府に飛来したと
    伝えられるのが「飛梅伝説」です。そんなロマンチックで有名な梅を北野・
    大宰府天満宮、熱海梅園から詠んでみました。
 註)京都府「北野天満宮」
☆道真が愛した名木今もなお 境内一円梅はこぼれる
 註)福岡県「大宰府天満宮」
☆大宰府に飛梅伝説残る木が 道真の怨念今日に至るも
 註)静岡県「熱海梅園」
☆自然美眺める公園のんびりと 梅愛でながら足湯楽しむ
                         浅間山明鏡止水さん

【解説】
 花の少ない早春に、春の到来をいち早く告げる梅の花は、まさに「一輪ほどの
 温かさ」を運びつつ、寒さに縮んだ私たちを励ましてくれる花でもあります。
 出詠頂いた三首とも、情景がすっきり浮かび完成度が上がっていると考えます。
 歌詞研究の賜物と思っています。
 一首目の北野松原の北野天満宮は「雪月花の三庭苑」のうち、梅花鑑賞の
 「花の庭」と呼ばれており、道真公ゆかりの梅50種約1,500本があり、花時の今
 約2万坪の境内一円に紅白の梅が咲き競っているとのこと。
 また、作者の【詞書】で記された和歌は、道真公が無実の罪を着せられて太宰府へ
 左遷される前に、大事にしていた梅の木に語り掛けるように詠んだ歌として
 有名ですね。「梅はこぼれる」を、少し視点を変えて詠んでみましたが、
 いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★道真に詠まれし梅の咲き満ちて 忘れじの春 匂い立つがに


【詞書】三寒四温の毎日です。 
☆野良猫は牙むき激しく威嚇する われらも声上ぐ反戦のうた
☆池の面に揺らぎつ映るしだれ梅 鯉はぽあんとあぶくを吐けり
☆スニーカーの紐結びなおして何処までも歩けそうな気の今朝の一歩は

                         夕庵さん

【解説】
 猫は基本的に野生下ではほとんど鳴かず、猫同士は匂いやしぐさなど、鳴き声
 以外でコミュニケーションをとっているようですね。野良猫が鳴いている場合は、
 威嚇や猫同士のケンカなどの緊急時がほとんどとのこと。
 一首目の威嚇は正に自分に危機が迫りそれへの対応と思いますが、この猫の
 威嚇と「反戦の歌」の取り合わせはかなり危うさも感じさせられますが、一面鋭い
 指摘も含まれていると考えます。
 ただ、ロシアの蛮行には「蟷螂の斧」の喩えではありませんが、身の程も
 わきまえつつも、国連決議にもあります通り「即時無条件撤退を」小さな声でも
 上げ続けていきたいと思っています。
 二首目、三首目は春の訪れを感じさせる爽やかで、前向きな気持ちにさせて
 くれる素敵な歌と思います。


【詞書】先日、14年ぶりに新しい宇宙飛行士が発表され、記者会見もありました。
    もしかしたら月に行く可能性もあるお二人がどうか無事にその日を
    迎えられますように、と祈らずにいられない。
    …宇宙ってやはり、“夜”っぽいし、“アルテミス計画”のアルテミスは
    月の女神で、日本なら月の神様はツクヨミだから、守ってあげてね、と…
☆新しき宇宙飛行士(アストロノーツ)のお二人に月読の加護あれと祈るよ
【詞書】今回選ばれたお二人。まだこれから大変だと思いますが、絶対宇宙へ
    上がって欲しいなー、と。それにしても、“世界銀行”ってあまりよく判らんな、
    と思ってたら、トルコ、シリアの地震のニュースの中で、「世界銀行の
    試算では…」みたいな文言が聞こえました。諏訪さんという方は
    防災とかの部門に携わっていらっしゃるらしいから、もしかしたら
    そういう試算とかやってらっしゃるのかなと思ってしまいました。
☆宇宙(そら)翔(かけ)る宇宙飛行士(アストロノーツ)の夢つかみ
              スタートラインに立ったは二人

【詞書】宇宙から地上へ帰ってまいりました。マスク外して緊張の面持ちの
    卒業生の皆さん。用心してか事情があってか、外さずに出席した卒業生の
    皆さん。コロナで大変だった三年間でしたね。大学生にしても、大学生活の
    半分以上の時間大変だったかと思います。
    皆さんの未来が良きものでありますように…
☆嬉しさと不安が混じる表情の卒業生達マスク外して
                         ちがやねこさん
【投稿外コメント】ちがやねこさんご自身のコメントです。
 えー…、やはり時期的に梅に関する歌の話が多いですね。うちにあるのは紅梅一本
 ですが、近所の神社などにあるのが楽しめます。近所の神社は縣(あがた)神社と
 いって、祭神はコノハナサクヤヒメです。境内には見事なしだれ桜もあるんですよ。
 梅と言えば菅原道真公ですが、京都には道真公の乳母が道真公を祀った
 「菅原道真公信仰発祥の地」 という神社があります。「原日出子の京さんぽ」という
 番組の再放送で、今日やってました。“間之町通(あいのまちどおり)”という通り
 だそうです。“発祥の地”があるとは…さすが京都…。
 やたら暑くなる今日この頃、すぐに桜の出番かと思うとまた寒くなり…、
 三寒四温ってことでしょうか…。どうか、体調を崩されませんよう…。では。

【解説】
 三首の詠歌は、何れも今日的なホットな話題と、行事を手堅く詠んで頂き、
 私たちにも学びとなります。
 一首目は、科学の粋を結集し99.9999%迄信頼性を高めても、究極の所は神のみぞ
 知る領域となりますが、これはどの世界でも経験することですね。月読命に
 新しき宇宙飛行士二人の無事を祈るのは、私達共通の想いでもあります。
 月読命(ツクヨミノミコト)は、古事記において伊邪那岐命によって生み
 出されたと言われていますが、暦や年中行事等生活に大きな関りを持つ月の
 神様とのことですね。
 二首目の歌の通り、月読命に見守られ月面に是非立って欲しいものです。
 三首目は、卒業生の父母のみでなく、私達共通の願いであり、祈りです。
 情緒や感性が大きく育つ瑞々しい年代に味わう多くの試練を、彼、彼女達の
 大きなプラスのステップに変えて欲しいと願わずにはいられません。
 作者と共にエールを送りたいと思います。
 なお、「菅原道真公信仰発祥の地」 という神社は初めて知りました。貴重な
 情報を頂きありがとうございます。



     「咲き盛る 枝垂れ紅梅」

【詞書】福寿草っていつも3、4本がかたまって咲いてますね。ああ、春が
    来たなって、黄色く可愛い姿に癒され、元気を貰えます。
☆雪解の端(ゆきどけのは)に一叢(ひとむら)の福寿草 家族のやうにかたまり笑むや
                         みっちっちさん

【解説】
 福寿草が咲く様は、正に家族が肩寄せ合って厳しい冬を乗り越え、春を迎えている
 ようにも見えますね。中には厳しい冬を乗り越えられずに、枯れてしまうものも
 あるでしょうが、まさに雪解けと共に顔をみせる生命力の強さを感じます。
 そんな強さも讃えつつ、このような伸びやかで微笑ましい詠歌に仕上げる手並みに
 学びたいものと、しみじみ思います。


【詞書】いつまでも私に対する誹謗中傷は続いておりますけれども、限りある生命
    ですから、今後は雑音は聞かずにブログを続けてまいりたいと私は思って
    おります。技巧を凝らした歌ではなく、そのまんまの歌ですけれども、
    今の私の心境を詠いました。
☆あんなにも楽しかりにしあの頃のやうに書かむと思ふ今後は
☆雑音は聞かず記事書くこれからはこれから先のわたしのために
☆わが生命燃え尽きるまで百歳(ももとせ)の記事を書き継ぎ死なむとぞ思(も)ふ

                         suisenさん

【解説】
 おっしゃる通りですね。「〇音は聞かずに」ご自分の想いを綴れるブログを
 大切にし、続けて参りましょう。
 新古今集でほぼ完成形に近づいたと言われる短歌の技巧は、王朝文化の時代的
 背景抜きには成り立ち得なかったと思っています。従って世智辛い現在の
 時代情況を思うと「そのまんまの歌」が、むしろ歓迎されるとも考えます。
 三首は何れも、諸々の辛い状況を乗り越えての「旅立ち」の決意の滲む詠歌と
 思います。特に一首目のように「楽しかりにしあの頃のやうに」大いに書き、
 詠まれる事をお勧めします。
 三首目の歌は、石川啄木の
 「こころよく我にはたらく仕事あれ それをし遂げて死なむと思う」
 の「覚悟」にも通じる、決意に満ちたキッパリとした詠歌と思います。


【詞書】私は断捨離の一環で結婚から最近までの写真の整理をしてます。40年程の
    専業主婦で緊張感がなく、写真映えしなくて、懐かしいより、昔の乙女の
    変わりように仰天してます。そんな想いを詠みました
☆断捨離に写真整理す
      四十年の顔の履歴に
       仰天したり

                         リコさん

【解説】
 断捨離の一環で写真の整理をされているとのこと。「断捨離」は、やましたひでこさん
 によって、すっかりメジャーの言葉になりましたが、「モノへの執着を捨てることが
 最大のコンセプト」との言葉もうなずけますね。
 「写真映えしなくて」とおっしゃっていますが、写真には歳月の鑿によって刻まれた
 味わい深い陰影も映し出され、越えて来られた日々の充実感も色濃く表現されていた
 ことと拝察いたしております。
 「人の顔は、その方の履歴書」と言われた方がいましたが、これは男性ばかりでなく、
 女性の方にも当てはまるのではないかと思っています。
 もって生まれた美しいお顔も、歳月と共に変化することは事実でしょうが、経験を
 積まれ、年輪の刻まれたお顔も、一段と味わいを増していることと思います。
 従って、詠まれた「 仰天したり」の結句は若干の誇張と、ユーモアセンスが織り
 込まれているかと思いますが、下の句は「顔の履歴を 改めて知る」等の表現では
 いかがでしょうか。


    「咲き初める ラッパ水仙」

☆------------☆ 「ネット歌会」開始 ☆-----------☆
  引き続き「ネット歌会」として展開された詠歌を掲載致します。
    注) ☆:元歌  ★:返歌

☆鏡には愛した人の残像が さよなら書いた口紅折れる
                         浅間山明鏡止水さん
【詞書】恋にはいろいろな形が存在するものですね。もう遠い過去のことと
    なりましたが、やはり忘れられない輝きを時に思い出したりして・・・。
★ひとしきり風のきびしき声を聞く恋の残像さらってゆけよ
                         夕庵さん

☆うす闇に仄かに香る梅の花 光り乏しき世にも咲き次ぐ
                         ポエットM
【詞書】日本ののどかな春の訪れですといっておられない心境ですが・・・。
★半玉の伏し目愛しやまなじりに紅ひく朝の梅匂う苑
                         夕庵さん
【詞書】我々は風流におぼろ月を見上げますが、戦禍のウクライナの人々は、同じ月を
    瓦礫の先に見上げるのでしょうか。少しでも早い解決を望みますね。
★ 白梅の上枝(ほつへ)にかかるおぼろ月 光乏しき人も見上ぐや
                         みっちっちさん
【詞書】破壊つくされた街にたたずむウクライナの民は、未だ厳しい寒さの中、奪われた
    国土を取り戻すため、さらに愛する者のため意気高く戦っていることと思います。
    酷薄を極めた冬の寒さは未だ厳しいものの、月がおぼろに霞み微かな春の兆しが
    感じられる、そんな情景を詠んでみました。ロシアの即時撤退を願いつつ…。
★極北の見上げる月は霞めども 酷き寒さに春は兆すと
                         ポエットM
【詞書】酷寒のウクライナにも少しずつ草の芽吹き、春の兆しがあればいいですね。
    国際情勢にも雪解けが待たれますね。
★ 極北の戦禍の地にも草の芽のひとつふたつと春は兆すや
                         みっちっちさん

☆池の面に揺らぎつ映るしだれ梅 鯉はぽあんとあぶくを吐けり
                         夕庵さん
★ 池の面に梅のひとひら散りぬれば 鯉が尾を跳ね口寄せきたり
                         みっちっちさん

☆スニーカーの紐結びなおして何処までも歩けそうな気の今朝の一歩は
                         夕庵さん
【詞書】コロナ禍が始まった時、ジムが二ヶ月間休みになったので、毎日走りに
    行った事を思い出しました。雨の日も走り10キロ走れるようになりました。
★ 新しきスニーカー履き 新緑の光と影の中突っ走る
                         みっちっちさん
★この靴で地球をどれだけ歩いたか まだ大丈夫とマッサージする
                         夕庵さん

☆------------☆ 「ネット歌会」了 ☆------------☆


☆白梅のほころぶ野辺に香り満つ 戸惑いつつも初蝶の舞う
                         ポエット・M

【解説】
 散歩でしばしば訪れる観音崎公園の一隅に、白梅が何本か植えられています。開花した
 白梅の花の清澄さに改めて見惚れると共に、漂う香りに密かな春の訪れを感じました。
 そんな時、今年初めて見かける紋白蝶が、戸惑うかのようにひらひらと舞っていました。
 文字通り、今年初めて見かける「初蝶」でしたが、惑いつつも花を求めて舞う蝶に
 改めて春も間近と感じ詠んでみました。「初蝶」は俳句の季語でもありますが、
 ここでも使わせて頂きました。



     「香る 白梅」

「五行歌集 ―君へのレクイエム― 」鑑賞 嵯峨吹雪著 (17)
 
 4.続・君へのリクイエム(3)


   次々と、君の死が昨日のごとくして、新たに生まれいずる挽歌と相聞歌を
   「続・君へのレクイエム」となずけた。…君よ!永遠に!安かれ!

   ああ薔薇窓(ばらど)
         君が声かと
           振り向けば
       五月夕べの
          風の口笛

         ああ薔薇窓
           マリアのごとく
               ほほ笑むは
             遠き五月の
                君が残像

                  夜の夢に
                    カランコロンと
                         歩み来る
                       君の姿は
                        お盆の祭り

          玉の緒の
            絶えて久しき
                夜の夢に
               生々しくも
                  忍び入る君

     君も夢
       我も幻
         ああされど
            この夕光(ゆうかげ)の
                    この哀しさよ



     「咲き初める 椿・鈴鹿の関」

【短歌入門・質問・提案コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでの
 ヒント、質問、諸々の疑問点、さらにご意見等について触れていきたいと思います。
 皆様からのご提案、歌評、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せ頂ければ
 幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、
 反論、ご意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しい限りです。

【サロン参加者からのコメント】
 自閑(jikan314)さんのコメントです。

 「令和」の元号の出典となった「序」文でもあります。

 梅花の歌三十二首并せて序
 天平二年正月十三日、師の老の宅に萃まりて、宴会を申く。時に、初春の令月に
 して、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す。
 と言う事で、皆様の所も、令和五年新春の梅花が春の訪れを告げているかと
 存じますので、梅の歌を紹介します。
  春さればまづ咲くやどの梅の花独り見つつや春日暮らさむ     (山上憶良)
  世の中は恋繁しゑやかくしあらば梅の花にもならましものを (豊後守大伴大夫)
  梅の花散らまく惜しみ我が園の竹の林に鴬鳴くも       (小監阿氏奥嶋)
 上記万葉集三十二首です。梅と鶯はセットで歌われるのですが、ウメの開花と
 ウグイスの初鳴きを調査記録している気象庁によれば、1月ほどタイムラグが
 有ります。三首目は、ウグイスの笹鳴きかと思った歌です。
  梅が枝に鳴きてうつろふ鶯のはね白たへにあわ雪ぞ降る    (よみ人知らず)
 新古今と万葉集巻第十の歌です。先日雪が5cm積もった時に、早速、梅の花を
 探しまくって写真を撮りました。
  大空は梅のにほひにかすみつつくもりもはてぬ春の夜の月     (藤原定家)
  梅が香にむかしをとへば春の月こたへぬかげぞ袖にうつれる    (藤原家隆)
  梅のはな誰が袖ふれしにほひぞと春や昔の月にとはばや       (源通具)
  梅の花あかぬ色香もむかしにておなじかたみの春の夜の月      (俊成女)
  ながめつる今日は昔になりぬとも軒端の梅はわれを忘るな    (式子内親王)
 新古今を代表する4人の歌です。源通具と俊成女は夫婦で、通具は俊成女に
 代作させたなあ?と思っています。ちぎり絵の様に、所々本歌取りを配置して、
 幻想的な歌だと思います。
  難波津に咲くやこの花冬ごもり今は春べと咲くやこの花        (王仁)
 古今集仮名序にある歌で、百人一首かるたの空札として佐佐木信綱が選びました。
 この歌は、大阪市浪速区、此花区の命名の本歌で、地名が和歌を基にと言うのも
 粋ですね😁
  春の夜の闇はあやなし梅花色こそ見えねかやはかくるる     (凡河内躬恒)
 古今ですが、私の好きな歌で

 ※-----------------------※

 チョウキチさんのコメントです。
   鏡には愛した人の残像がさよなら書いた口紅折れる  (浅間山明鏡止水)
   春さればまづ咲くやどの梅の花独り見つつや春日暮らさむ  (山上憶良)
   ながめつる今日は昔になりぬとも軒端の梅はわれを忘るな (式子内親王)
  今も昔も恋する心は同じということでしょうか。
  昔、憶良は貧しく子供も多い下級役人だったと聞いたような気がします。
  定家などと違いつつましくも思えます。
   梅の花散らまく惜しみ我が園の竹の林に鴬鳴くも    (小監阿氏奥嶋)
  一回の不首尾にはめげない、明るい将来を期待する強さも感じられます。
 ポエット・M 応答
  おっしゃるように山上憶良の生きた万葉集の時代から、1,300年以上を経た現代も
  人が人に寄せる想い、さらに恋する心は大きく変わっていないのではないかと
  思っています。従ってそれを31文字の空間に昇華させた相聞等の歌への共感が
  生まれ、理解することが出来るのだと思います。
  山上憶良は遣唐使書記に抜擢され、貴族になりましたが、仏教や儒教の思想に
  傾倒していたことから、死や貧、老、病などといったものに敏感で、かつ社会的な
  矛盾を鋭く観察し心を痛めた反骨の方だったと考えています。
  そのため、官人という立場にありながら、重税に喘ぐ農民や防人に取られる夫を
  見守る妻など、社会的な弱者を優しさをもって鋭く観察した歌を多数詠む、
  当時としては異色の社会派歌人であったと思っています(諸説はありますが…)。
  おっしゃるように定家の歌に比べても、地に足を付けた堅実でおおらかさもあり、
  懐の深い詠いぶりで、私も好きな万葉歌人の一人です。
  「一回の不首尾にはめげない、明るい将来を期待する強さ」を感じられる歌は、
  今の世情でより求められていると思いますし、私たちも目指したいと思います。

【ネット歌会について】
 「ネット歌会」は、「お題」を決めて短歌を詠みあうという方式ではなく、
 「水曜サロン」へ掲載された、各位の歌に対して「返歌」するという自然発生的な
 歌会です。従って掲載された歌の中に自分に響くものがありましたら、それへの
 返歌として大いに詠んで頂き、コメント欄に記入して頂ければ幸いです。
 各位に記入して頂いた短歌を基に、編集し、掲載させて頂きます。
 従って、統一性や「お題」に向けた収斂性には欠けますが、面白いと思っています。
 当面は、手探りでやってみたいと思っています。さらに、良いアイデアがあれば
 各位よりお寄せ頂ければ嬉しいです。


     「咲き初める ミモザ」

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
 (8) 最近心無い「スパムメール」等がコメント欄に届いています。
    誠に心苦しいのですが、今後コメントは「許可制」にさせて頂きます。
 (9) 投稿に当たっては、ご自身のブログのアドレス(url)も記入願います。
    ニックネームのみでIDのない方、あるいは匿名の投稿は内容により掲載
    できない場合もありますのでご了承願います。
                     了


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24 コメント

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Unknown (みっちっち)
2023-03-08 06:42:44
ポエットMさん
おはようございます。

早速ですが1首、出詠させて頂きます。

先週、夕庵さんが半玉と梅を詠まれてましたが、私は舞妓さんと梅を詠んでみました。
匂草は梅の花の別称です。花街なので花を重ねず、舞妓さんの匂やかさに重ねて匂草としました。

⭐️ 花街のちさき社の匂草 手をたをやかに舞妓祈れり

よろしくお願いいたします。
返信する
短歌投稿 (knsw0805)
2023-03-08 07:22:22
Shouさん、おはようございます。
浅間山明鏡止水です。
短歌投稿します。

「詞書」拙者ブログでは梅の花・河津桜・菜の花シリーズで春の特集をやっていますが、その選出の中に「長井海の手公園ソレイユの丘」が出て来まして懐かしい感じがしました。思えばShouさんが過去のある日「ソレイユの丘」の写真を掲示された時から交流が始まったと思います。そこで「菜の花・ソレイユの丘」を詠んで頂けたら幸甚に存じます。

東京都中央区「浜離宮恩賜庭園」
「ビル群の片隅照らす菜の花は 人魅了する癒しの空間」

神奈川県横須賀市「長井海の手公園ソレイユの丘」
「眺むれば菜の花越しに富士山が 黄色く染まるソレイユの丘」

千葉県「小湊鉄道といすみ鉄道」
「思い出の黄色い電車コトコトと ローカル線で眺める菜の花」
返信する
Unknown (みっちっち)
2023-03-08 07:34:20
早速ですが、ポエットMさんへの返歌です。

⭐️白梅のほころぶ野辺に香り満つ戸惑いつつも初蝶の舞う

★ 初蝶の光こぼれて梅の花ひとひら舞へば光もつれて

白梅のひとひらと初蝶が楽しく遊んでるような気がして可愛くて即興で詠みました。
よろしくお願いいたします。
返信する
コメント (チョウキチ)
2023-03-08 13:11:52
丁寧なコメントありがとうございました。理解がより深まりました。
返信する
3首 (夕庵)
2023-03-09 09:43:32
おはようございます。
今週の詠草3首です。

詞書
奈良東大寺、二月堂でのお水取りの行事で「過去帳」を読み上げていた僧「集慶」の前に突然現れた女人「なぜ私を読み落としたのか」と恨めしげに問うたとか、声を潜めて「青衣(しょうえ)の女人」と読み上げると幻のように消えていったという伝説が残っています。

また、連行衆の一人の恋人が修行の道に没頭するあまり、冷たくなったと悲観して命を絶ったその姿が
読み上げている最中に現れ、恨めしげに僧を眺める姿に煩悩を払うべく思わずその戒名を読み上げたといわれる。

☆堂内に連行衆の読みあげる「青衣の女人」の声は密やか

詞書
3月7日は(芋虫月)ちょうど啓蟄の時期と重なっての命名。(warm moon)
綺麗な満月のひかりを身に受けて・・

☆満月の蒼きひかりを手のひらに迷いの多き今日を生ききて

詞書
先日イカナゴが解禁になりました。
まもなくスーパーの店頭に佃煮が並ぶことでしょう。
☆漁港には男のかけ声頼もしくイカナゴ跳ねつつ春つれてくる  夕庵

どうぞよろしくお願いします。
返信する
返歌です (夕庵)
2023-03-09 09:51:33
☆白梅のほころぶ野辺に香り満つ 戸惑いつつも初蝶の舞う  ポエットMさん

★初蝶を追いて子犬のじゃれ合うをテラスに眺める春の額縁   夕庵

ミモザのお写真素敵です!!
青い空と黄のミモザ ウクライナの国旗を思いました。

よろしくお願いします。
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Unknown (みっちっち)
2023-03-09 20:37:25
こんばんは。

夕庵さんへの返歌です。

⭐️満月の蒼きひかりを手のひらに迷いの多き今日を生ききて
夕庵さん

★ 春月へ息をととのへ物問へば楽に生きよと亡き母の声

よろしくお願いいたします。
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みっちっちさんへ (ポエット・M)
2023-03-09 21:00:35
みっちっちさん こんばんは。
 ★ 初蝶の光こぼれて梅の花ひとひら舞へば光もつれて
素敵な返歌を頂き、嬉しいです。

「ひとひら舞へば光もつれて」の下の句が、繊細かつ優美で良いですね。
このような視点は私も学んで参りたいと思います。
これからもよろしくお願いします。
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チョウキチさんへ (ポエット・M)
2023-03-09 21:02:09
チョウキチさん こんばんは。
いつも鋭い歌評と、励ましの言葉を頂きありがとうございます。

頂いたコメントは【サロン参加者からのコメント】で紹介させて頂きましたが、
チョウキチさんの視点は私たちの「気づき」にもなりますので、これからも宜しくお願い致します。
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Kenさんへ (ポエット・M)
2023-03-09 21:06:47
Kenさん こんばんは。
いつも、早々に「水曜サロン」へ出詠頂きありがとうございます。

「菜の花シリーズ」の三首は、何れも春を呼ぶ菜の花が詠み込まれた
爽やかで明るさに溢れた良い詠歌と思います。
「ソレイユの丘」は現在全面リニューアルの最中で閉じていますが、
丘からの富士山の眺望は良いですね。

「ソレイユの丘を詠んで」との要請を頂きましたので、二首目の歌を踏まえ
ながら、冠雪の富士山を望んで詠んでみましたが、いかがでしょうか。
★冠雪の富士と菜の花ひびき合い 浅き春呼ぶソレイユの丘
色々ありますが、よろしくお願いいたします。
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