四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

咲きはじめた曼殊沙華

2023年09月18日 14時47分40秒 | 日々の歩み

 炎暑の影響か例年より開花が遅れていると感じましたが、秋の柔らかな木洩れ日をまとい、静かに紅の蕊を揺らす曼珠沙華がそこかしこに咲きはじめました。


なお、曼珠沙華には紅の花とともに、白い花も見られます。この白い花は白花曼珠沙華と言いますが、かつて鎌倉の萩寺、宝戒寺で見ることが出来ました。
 この宝戒寺は北条一族終焉の地としても有名ですが、源氏一門の新田義貞に攻め込まれ、北条一族ことごとく自刃して果てた地でもあります。その後、萩をはじめ曼殊沙華、梅までが、ことごとく色を失くし、白色の花のみが咲くようになったと伺ったことがあります。


 なお、曼殊沙華は、サンスクリット語で「赤い花」を意味するmanjusakaの音写で、この名前は、仏典に由来し、釈迦が法華経を説かれた際に、これを祝って天から降った花(四華)の一つが曼珠沙華であるとされています。鮮やかな赤色の花は、天上の花として仏教の象徴ともなったとの事です。
また、『万葉集』に詠われた「いちしの花」を彼岸花とする説もあります。
 ★路のべの壱師の花の灼然く人皆知りぬ我が恋妻は
                  (柿本人麻呂歌集)


 しかし、曼殊沙華は、花が咲いた後に葉が出て、再び花が咲く頃にはその葉も消えるという特徴を持っています。このため、花と葉が同時に見られないことから、「相思華」とも呼ばれるようになったとのことです。それは、「花は葉を思い、葉は花を思う」という意味で、別れた恋人や亡き人を慕う深い思いを表しています。


 曼殊沙華は、秋の彼岸の頃に咲くことから、彼岸花とも呼ばれますが、この名前も死者や故郷を偲ぶ気持ちを含んでいると考えます。曼殊沙華は、紅の花蕊を空に向け咲く美しい花ですが、その裏には悲しみや哀愁が隠されているようです。


この曼殊沙華に寄せて一首詠んでみました。
☆ほむら立つ如くに咲くや曼殊沙華 秘むる命の滾るがゆえか


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8 コメント

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赤い花 白い花 (デ某)
2023-09-18 18:43:54
ブログのタイトル「四季の彩り」そのままに…
お写真も歌も まさにリアリズム! 直截な描写にこころ衝たれました。

もう半世紀余も昔のうた…赤い鳥「赤い花 白い花」。
レコードのジャケット…髪型も服装も雰囲気も 総てあの時代!のままに。
https://www.youtube.com/watch?v=mdNV7C6CrjI
Unknown (行雲流水の如くに)
2023-09-19 08:43:23
四季の彩さん、おはようございます。
曼殊沙華の画像、素晴らしいですね。
強烈なインパクトがあります。
北海道では残念ながらあまり見かけることがなく、それだけにこの花の姿かたちや色は新鮮です。

主に北海道だけに生育するというオオウバユリを思い出しました。
この花は7年に一度花を咲かせますが、花が咲くとこの花の一生を終えます。

曼殊沙華もオオウバユリも深い味わいを感じますね。
Unknown (risukurumi48は)
2023-09-19 08:59:04
リコです。
おはようございます。

滾る(たぎる)と読むんですね
私は読めなくて漢字源で調べました。

①貴方はこの歌にひらがなを使うことは考えられましたか?
読めない人のほうが多いように思います。
私は極力、ふりがなを付けないので、漢字、ひらがなの使用を毎回よく考えます。

②2句の「如く」にひかかりました。4.5句と比べると2句の推敲が弱い様に思います。

よろしく解説をお願いします
Unknown (ちがやねこ)
2023-09-20 04:12:30
ポエットMさん、こんばんは。
曼珠沙華…いつ見ても美しい花ですね。私はこの花が大好きで、大~昔に道端で咲いているのを持って帰ろうかと思い、母に言ったら「家ん中持って入ったらあかんで!」と厳命されました。まあ、のちになってヒガンバナの別名を知り、日本におけるヒガンバナのイメージを理解したので、どんなに綺麗でも連れて帰るのは我慢しています。白花や“リコリス”の名で球根が出回ったりしているピンクや黄色の花ならいいかな~、とか思ってみたり…。本当は“天上の花”なんだけどなあ…。近い種のネリネも綺麗だけど、やっぱりヒガンバナ(赤)=曼珠沙華(リコリス・ラジアータ)が一番美しいですね。宇治川べりに季節になると咲くんですが、川をバックにしたヒガンバナを去年スマホで撮ったんですが、一回目にスマホを壊してしまった時に修理に出した際、その写真もアウトになりました。(今はSDカードを入れているので、近々再チャレンジするつもりです)ゆっくり流れる川と岸辺のヒガンバナは絵になります。仕事先にもいつの頃からか判らないんですが、ヒガンバナが咲いています。種をカラスとかの鳥が運んだ訳でもないでしょうに、何でやろう?と毎年咲くたびに思っています。ま、綺麗だし(特に世話も手入れもしてませんが)毎年律儀に咲いてくれるのが嬉しいです。そう言えば、昔読んだ竹宮恵子さんの漫画で、ヒガンバナの茎の一部を交互に残したり切り取ったりして、花を提灯のように下げる…という場面があったんですが、そういった遊びをご存じでしょうか?実際に見たら綺麗やろうなあと思いながら読んだ場面なんで何か印象に残っているんです。…19日の「ひるおび」で、埼玉県だったかどこか忘れましたが、林の中に群生する彼岸花が綺麗な場所があって、毎年咲く頃には多くの人が見に来るのに今年はまだ咲かないという話をしていました。やはりこのところの暑さのせいなんでしょうか?という感じでしたが、彼岸花に限らずいろんな植物が咲かなかったり、咲いても何か花が少ないとか時期がズレたりになってるようで…。何だかなあ……です。
デ某さんへ (ポエット・M)
2023-09-20 11:22:45
デ某さん こんにちは。
心温まるコメントをお寄せ頂きありがとうございます。

歌も、写真も「下手な横好き」の域を出ていませんが、過分なお言葉を頂き
恐縮しています。
ただ、曼殊沙華は紅も白も「自然の彫琢の妙」を見るたびに感じます。
そんな姿を画像に留めようと、身の程知らずの挑戦を繰り返しています。

赤い鳥「赤い花 白い花」を視聴させて頂きました。時代を超えていつまでも色あせない
素敵な歌声に心が震えますね。まさに「総てあの時代!のままに」ですね。
これからもよろしくお願い致します。
「行雲流水の如くに」さんへ (ポエット・M)
2023-09-20 11:23:29
「行雲流水の如くに」さん こんにちは。
いつも励ましのコメントを頂きありがとうございます。

おっしゃるように「曼殊沙華」の、花としてのインパクトは他の花を圧倒していますね。
大地から燃えたつように咲く姿には、いつも見惚れてしまいます。
お住いの北海道ではあまり見かけないとは残念ですね。
この花の球根は有毒とのことですが、飢饉の際には毒抜きして食したとの歴史も
あるようですね。

なお、主に北海道で咲くと言われるオオウバユリは、花が密集して咲く存在感のある
百合ですね。7年に一度しか花を付けないとのこと。そう思うとじっくり味わいたい花でも
ありますね。
リコさんへ (ポエット・M)
2023-09-20 11:24:27
リコさん こんにちは。
歌評と、ご提案を頂きありがとうございます。

おっしゃる通りですね。「滾る」は当初ひらがなとしましたが、長くなり漢字としました。
かつて、私の短歌の師に「中学2年生が読んでわかるように歌を作りなさい」と諭された
ことがありますが、少しずれていましたね。

ご指摘に基づき既に水曜サロンへ掲載致しましたが以下の通り推敲してみました。
 ☆ほむら立ち空向き咲くや曼殊沙華 秘むる命のたぎるが如く
これからもよろしくお願い致します。
ちがやねこさんへ (ポエット・M)
2023-09-20 11:25:11
ちがやねこさん こんにちは。
ちがやねこさんも曼珠沙華の花が大好きとのこと。嬉しいですね。
私もかつて、友人に「きれいな花で好きですよ」言ったら「なんで?」と
言われたことがありました。
彼岸花にまつわる負のイメージが定着しているが故の偏見かも知れませんが…。

「ヒガンバナの茎の一部を交互に切り取り提灯のように下げる」遊びは幼いころ
した記憶があります。あの頃はシロツメクサも含めて、周辺の草花は全て遊びの
対象でしたね。それだけのどかな時代だったと思っています。

「林の中に群生する彼岸花」は、500万本の曼珠沙華群生地のある埼玉県日高市の
巾着田だと思います。こちらも開花が遅れ、見頃を迎えるのは9月25日(月曜日)以降の
見込みとのことです。この暑さは人のみに在らずで諸々影響があるようですね。

これからもよろしくお願い致します。

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