四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

さくら舞う

2017年04月17日 18時17分25秒 | 日々の歩み
今年の桜、特にソメイヨシノは「開花宣言」が出た後も、寒さゆえ長い事、
つぼみの時期があり、花時も長かったとの印象があり、じっくりと花を楽しむ
ゆとりが持てました。



桜と言えば、西行の
    「願わくは 花のもとにて春死なむ その如月の 望月のころ」

の短歌が思い出されますが、かの西行も艶やかに咲き満ちる桜に、世の無常とは
うらはらに、それを忘れる、心浮き立つ一時をもったものと推察されます。
西行の時代から800年を越える歳月を経てもなお、桜に寄せる人々の思いは、
そう大きくは変わっていないのではないでしょうか。

「染井吉野」の桜は、幕末の江戸、染井において、植木職人の手による品種改良の末、
実生から造られたものと聞いています。
季節を彩る花の中で、桜ほどいろいろな思いをかきたてる花は他に ありません。
淡紅にそまる花芽の様も、咲く様も、さらに散る様も・・・。

人は、桜の開花から散り際に至る、まばたきにも似たひとときに仮託して、
人の世の儚なさや、切なさ、哀しさを、自らに語りかけるのではないでしょうか。
その花びらの数にも似た諸々の思いと、人に語り得ぬ物語の数々を・・・。

文字通り春爛漫を楽しませてくれた桜も、一斉に花吹雪のときを迎えました。
私の住む地域にある、なんの変哲のない小川にも、その川の畔を覆いうす紅に染める桜の
トンネルが存在します。花吹雪がその川を埋める如くに舞い、花筏となって流れ下る様。
そこに花の命が秘める情念の凄さを、今更ながら感じさせられました。



そんな思いを即興で短歌に詠んでみました。
 ☆西行の辞世に似たる望月(つき)に桜(はな)死へのいざない秘めて散りゆく
 ☆実りへの予兆も秘めて散りゆくや 大地に降り敷く桜花くれない
 ☆闇空を覆い尽くして散る桜 哀しきまでの憂い秘めもつ
 ☆うす紅の花びら風に散りゆけど吹雪に遠きさくら舞いゆく
 ☆卯月には冴えたる月も煌々と さくら散りゆく闇深くして
 ☆花いかだ浮かべ流るる川面にも かの旅立ちの義姉(あね)を思うも
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