元副知事の土屋優行が2月9日に下田市長選挙戦への正式出馬表明をしたのに続き、既に非公式には出馬の意向が報じられていた現職(一期目)の松木正一郎が2月21日に正式出馬表明をした。以後にも出馬があるかもしれないが、これで選挙戦は確実となった。
現在のところ防災対策、人口減少対策、健康増進、まちづくりなど抽象的文言は両者から聞かれるものの、具体的策の違いはあまり見えてきていないのであるが、大きな違いはやはり庁舎移転問題であろう。
下田市長選は前市長、前々市長とも一期で選挙戦で交代している大きな原因とも言えるのが下田市役所移転問題だからである。
現市長も選挙の最中では本人の発言にもかかわらず予定地をまたひっくり返すのではないかとの疑念が一部にあったが、結果は設計の変更はあったものの前市長時代の計画地において移転が進行中というのが現状である。
ところが、土屋優行は静岡新聞の報道によれば「移転を否定するつもりはない」としつつ水害リスクを理由に「移転先にすべての要素を入れるかは考える必要があり、防災機能は別個(別の場所)にすべき」と述べたそうで、ここは市役所移転問題と防災に関係する大きな問題(争点)である。
実際彼が賀茂地域の県防災を担っていた際に津波浸水域にある県下田総合庁舎の移転に先行して防災機能の庁舎を敷根に先行移転した経験があることからの発想と思われるが、これが実際評価されるべきかは議論のあるところである。
元々は津波浸水域の総合庁舎を移転させることが始まりであったが候補地であった箕作地区(稲梓中学校跡地)は行政防災無線の受信困難地域で中継局の電源喪失があれば機能不全となるため却下、では敷根にと考えていたら土砂災害の危険域にあたり十分な敷地が取れず却下。結果として多くの行政機能や職員を浸水域(下田市中)に残したまま防災機能を敷根に移した二重拠点となっているのが賀茂圏域の県防災の現状で、(津波浸水域で仕事中の職員が津波に危険の市街地を抜けて敷根にすぐにたどり着けるのかなど)実効性に疑問があるのが現状である。
また、県の出先機関は土木や農林などそれぞれに長がいて機能しているが市役所は市長に集中している。防災だけ別の場所にしていざというとき迅速な指揮をするため市長はどこにいるべきかという問題も出てくる。
そもそも別個(別の場所)ってどこなのかは言うべきであろう。
能登の震災があったばかりで防災への関心は高い。故にこの辺りはしっかり市長選において論戦してほしいものである。