拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

名曲「綺麗ア・ラ・モード」

2008-10-17 18:27:40 | 音楽
こりゃもう別格だろう。中川翔子の新曲「綺麗ア・ラ・モード」は、これまで彼女が歌ってきた曲たちの中でもダントツの名曲。今まで出してきた曲は、この曲の世界を表現する力を付けるための練習曲だったんじゃないかとすら思えてしまうよ。
ご存知の通り、しょこたんはアニメ、漫画ヲタクという異色のグラビアアイドルとしてブレイクした。2006年の夏には「Brilliant Dream」で歌手デビューしたが、この曲も本人の趣味を反映したのかアニソン風のキャッチーでわかりやすいメロディーの曲。以降のシングルもそのようなアニソン路線を連発し、実際にいくつかの曲はアニメの主題歌に起用された。本人の趣味に基づいて制作されたアニソンクラシックスのカバーアルバムを2枚出したりもした。今年3月に発売されたアルバム『Big☆Bang!』も、やっぱりアニソンみたいなパワフルでポップな曲が集まった作品だった。『Big☆Bang!』を聴いた時は、彼女の趣味にぴったりな曲が並びまくっていたので「もう1stにして全てをやりつくしてしまったのでは?」と思ったものだ。こんなに本人の好きなタイプの曲を沢山歌えたら歌手冥利に尽きるだろう。以降はこの1stアルバムの楽曲たちと似たような曲を連発していくのだとしたら、私の「アイドル歌手・しょこたん」への興味も薄れていくだろう…。
実際、アルバム後に出たシングル「Shiny gate」「続く世界」は、一聴して「あー、またこういうタイプかぁ」とがっかりしてしまった。特に「続く世界」は「もういいよ『グレンラガン』タイアップでロックってパターン…」と落胆。こりゃ2ndアルバムは期待薄いぞ…。
なんて思ってた所に突如現れた新曲「綺麗ア・ラ・モード」。作詞は松本隆、作曲に筒美京平。邦楽ポップス界の大御所コンビによって提供されたこの曲は、今年のシングルの微妙っぷりが嘘のような出来の良さ。秋~冬の始まりの時期の空気感をそのままパッケージングしたような、往年の歌謡曲テイスト全開の名曲である。忘れてた、しょこたんはアニソンだけじゃなくて歌謡曲も好きだったんだよな。そんな人が、この黄金コンビから楽曲提供を受けるなんて…幸せ者だな、本当。この「綺麗ア・ラ・モード」のような歌謡曲趣味全開の曲、今後どんどん歌って欲しい。
実はサビをCMで聴いただけの段階では、そこまでピンと来なかった。「黄金コンビが楽曲提供っつっても、結構普通のバラード系の曲じゃん」と、恐れ多くも思ってしまった。しかしMTVでフルで聴いてみて、放心。レトロな印象のピアノのイントロや、言葉の一つひとつをじっくりかみしめるように歌うAメロ、胸をキュンと締め上げながら少しずつ盛り上がるBメロ…この流れをきちんと踏まえてサビを聴いてみると、もう目には涙が…。ふわふわとしたメロディーと呼応する優しくもグルーヴあるベースラインもたまらない。着うた全盛で、楽曲を「サビVer」とかパート毎に切り売りするような今の時代に完全に逆行する曲だが、こういう、全体の流れの美しい曲こそヒットするべきだろう。
それにしても、しょこたん、本当に歌の表現力がレベルアップしたな。秋風のように爽やかで、秋冬メイクのように艶っぽくて。大好きな歌謡曲の世界を全身で堪能してる感じ。あと、沢山のライブやイベントでボーカルを鍛えたせいか、サビのファルセットの部分がとても綺麗に出てる。「ストロベリmelody」での、可愛いけど固くて微妙にぎこちないハイトーンボイスから、大分成長してる。まぁ、あれはあれで「不器用で内気な女の子感」が出ててよかったのだが、今の実力ならもっと素敵に「ストロベリmelody」を歌いこなせるだろう。
というわけで、久々にしょこたんのシングルを買ってみようと思う。余談だがこの曲とタイアップしてる不二家LOOKのチョコレート「茶A La Mode」も美味。上品な味よ。