拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

浦沢直樹新連載『BILLY BAT』

2008-10-16 20:13:42 | 漫画
浦沢直樹が今日発売の講談社「モーニング」で新連載を始めた。『20世紀少年』完結以降、月一連載の『PLUTO』に全力投球してきた浦沢が、またもや二足の草鞋体制に入った。そもそも、彼のキャリアは常に連載掛け持ち状態。『YAWARA!』と『MASTERキートン』、『HAPPY!』と『MONSTER』、『MONSTER』と『20世紀少年』、『20世紀少年』と『PLUTO』…これらを別の雑誌に同時連載してきた浦沢。しかしその怒涛の仕事量が祟って体壊したりとかもしてるから「あぁ、やっと『20世紀少年』終わったことだし、これからは休養しながら『PLUTO』一本に絞って頑張っていくんだろうなぁ…」なんて思ってたが、浦沢…まだまだ描くらしい。最近は描くだけじゃなくて実写版『20世紀少年』の監修や歌手デビューなどさらに多忙。……歌手として11月にアルバム出すんだってね。何してんすか先生(苦笑)。買わねーからな!!
さてさて肝心の新連載『BILLY BAT』だが…物凄い変化球だ。なんとアメコミ風の漫画。舞台はアメリカ。主人公は………犬。「のらくろ君」と「バットマン」が合わさったようなルックスの犬・私立探偵「ビリーバット」が難事件に挑む…みたいな話になるのか…?主人公が犬で、周りの奴もみんな犬。しかし犬達は皆「ザ・浦沢漫画」な表情を持ち、非常に人間くさい。そんな擬人化された犬たちが活躍…していくのかな?タイトルロゴや作品の雰囲気がなんとな~く懐かしの名作『MASTERキートン』を思い出させられるのが興味深い。しかしまだ第一話なのでよくわからないな………ってそれ珍しいじゃないか。過去の浦沢作品たちは大体、第一話で「うっっわ、なにこれ超おもしれぇ!!」と読者の期待を煽りまくってきた、ロケットスタート型漫画だったのだから。でも『BILLY BAT』は変化球過ぎて面白い漫画かどうかはわからない。期待は膨れ上がるばかりだけどね。
編集部による煽り文によれば「失われたアメリカンヒーローが浦沢直樹の手で蘇る!!」。浦沢直樹は過去に、スポーツ漫画、考古学漫画、ミステリー漫画、空想科学冒険漫画、手塚治虫トリビュート漫画と、あらゆるジャンルの漫画を描いてきたが、次なる挑戦はアメコミ風漫画、ということか。彼のチャレンジ精神というか、新たな漫画を目指すフロンティアスピリットは凄まじい。
しかし『BILLY BAT』は、単なるアメコミ風漫画とは到底思えない。この漫画は「KEVIN YAMAGATA」という人物が作者としてクレジットされており、作中には過去に出たらしい『BILLY BAT』の既刊の広告も載っている。そして紙質は昔の漫画雑誌風の古びた加工がなされている。まるで『MONSTER』に出て来た、登場人物フランツ・ボナパルタが描いた劇中絵本作品『なまえのないかいぶつ』みたいな感じだ。つまり、『BILLY BAT』も『なまえのないかいぶつ』同様、劇中作品?だとしたらこの作品の背後にはどんな物語が?…それとも、あくまでもアメコミ風漫画?浦沢直樹だけに、何か仕掛けがあるんじゃないかという期待が嫌でも膨らむけどな。つーか「KEVIN YAMAGATA」って誰だよ。日系アメリカ人?もう、気になるじゃんかよう!

…というわけで、久々に浦沢直樹の「新連載」がスタートしたので(2003年の『PLUTO』以来)、この機会に読んでみてはいかがだろうか。浦沢ファンは単行本派が多いだろうが、週刊連載で、もどかしい思いを抱えながら連載を追うってのも悪くないよ。