さて、表紙の絵がちょっと不気味な第616回は、
タイトル:七日間の身代金
著者:岡嶋二人
文庫名:講談社文庫
であります。
岡嶋二人の長編ミステリです。(定型文)
誘拐と密室、二つを混ぜるとどうなるか……?
近石千秋は槻代要之助と共にテレビ画面を見つめていた。
そこには鳥羽国彦と武中和己の二人が映っており、自分達が誘拐されたこと、二千万円の身代金を用意して欲しいことを告げている。
国彦の義理の母で、和己の姉である鳥羽須磨子はビデオデッキのスイッチを切ると、問題のテープが届いたのは二日前だと言った。
千秋と要之助は警察に知らせるべきだと主張するが、須磨子は応じない。
身代金を渡しに行く前に気持ちを落ち着けたくて二人を呼んだのだと、彼女は言った。
事情を知ってしまった手前、千秋達は須磨子の後を車で追いつつ、警察と連絡を取る。
身代金の引き渡し場所は、国彦の所有する小島だった。
千秋の父を中心とした警官隊が島を包囲する中、須磨子は一人で島へと向かう。
彼女の姿が樹木の中に消えた数分後、銃声が鳴り響いた――。
実験作です。(断言)
誰もいない無人島と監禁場所として使われた別荘、二つの密室に、目的不明の誘拐を絡めるという凝った作りをしているのですが……イマイチ。
状況が限定され過ぎているため裏が想像しやすく、残るは動機の細部だけ、それもラストで犯人が一気に喋っちゃうという凄まじさでした。
こういう場合、主人公コンビのキャラクターや会話でぐいぐい押していくのが常道ですが、この二人が物凄く薄い。
半ば強引に事件に介入する千秋は確かに有用なんだけど、それ以外の部分がないに等しく、相方の要之助に至ってはいるのかいないのか解らない状態で……。
二人が発見する新事実も、何で警察が気づかないのか疑問が沸くものばかりで、隠していた情報を小出しにしているという印象しかなし。
青春物ってことで千秋と要之助の恋愛話が入っていたり、千秋と刑事の父の微妙な関係を描いてみたり、よく解らない国彦の仲間連中を出してみたりと、いくつもパーツを用意しているにも関わらず、すべて中途半端に終わっているのも不満が残ります。この御二方の作品で、ここまで崩れているのは珍しいかも。
かなりのハズレでした、残念。
『おかしな二人』を読めば、本作執筆時の裏事情が解ったりするのかな……?
――【つれづれナビ!】――
◆ 『岡嶋二人』のまとめページへ
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タイトル:七日間の身代金
著者:岡嶋二人
文庫名:講談社文庫
であります。
岡嶋二人の長編ミステリです。(定型文)
誘拐と密室、二つを混ぜるとどうなるか……?
近石千秋は槻代要之助と共にテレビ画面を見つめていた。
そこには鳥羽国彦と武中和己の二人が映っており、自分達が誘拐されたこと、二千万円の身代金を用意して欲しいことを告げている。
国彦の義理の母で、和己の姉である鳥羽須磨子はビデオデッキのスイッチを切ると、問題のテープが届いたのは二日前だと言った。
千秋と要之助は警察に知らせるべきだと主張するが、須磨子は応じない。
身代金を渡しに行く前に気持ちを落ち着けたくて二人を呼んだのだと、彼女は言った。
事情を知ってしまった手前、千秋達は須磨子の後を車で追いつつ、警察と連絡を取る。
身代金の引き渡し場所は、国彦の所有する小島だった。
千秋の父を中心とした警官隊が島を包囲する中、須磨子は一人で島へと向かう。
彼女の姿が樹木の中に消えた数分後、銃声が鳴り響いた――。
実験作です。(断言)
誰もいない無人島と監禁場所として使われた別荘、二つの密室に、目的不明の誘拐を絡めるという凝った作りをしているのですが……イマイチ。
状況が限定され過ぎているため裏が想像しやすく、残るは動機の細部だけ、それもラストで犯人が一気に喋っちゃうという凄まじさでした。
こういう場合、主人公コンビのキャラクターや会話でぐいぐい押していくのが常道ですが、この二人が物凄く薄い。
半ば強引に事件に介入する千秋は確かに有用なんだけど、それ以外の部分がないに等しく、相方の要之助に至ってはいるのかいないのか解らない状態で……。
二人が発見する新事実も、何で警察が気づかないのか疑問が沸くものばかりで、隠していた情報を小出しにしているという印象しかなし。
青春物ってことで千秋と要之助の恋愛話が入っていたり、千秋と刑事の父の微妙な関係を描いてみたり、よく解らない国彦の仲間連中を出してみたりと、いくつもパーツを用意しているにも関わらず、すべて中途半端に終わっているのも不満が残ります。この御二方の作品で、ここまで崩れているのは珍しいかも。
かなりのハズレでした、残念。
『おかしな二人』を読めば、本作執筆時の裏事情が解ったりするのかな……?
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