つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

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方言……

2006-08-04 21:44:29 | 学術書/新書
さて、そんなもんじゃなくて確かに別の言語だよなの第612回は、

タイトル:アイヌ歳時記 二風谷のくらしと心
著者:萱野茂
出版社:平凡社新書

であります。

北海道で暮らす、アイヌの伝統を伝える著者が記した歳時記。
序章から始まり、第1章~第5章までの本文5部構成になっており、

第一章 四季のくらし
第二章 神々とともに生きて
第三章 動物たちとアイヌ
第四章 生きることと死ぬこと
第五章 アイヌの心をつづる

となっている。

第一章はタイトルどおり、戦前に生まれ、アイヌ語を当たり前のように使って暮らしていた当時から、アイヌに残っていた四季の中での風習や、祭り、思い出話、収集した昔話、季節ごとに味わう食材の話などなどが記載されている。
この第一章が、本書の半分近くを占め、歳時記の体裁を唯一成している部分であろう。

……が、基本的に思い付くまま、と言うか、思い出すまま、と言うか。
まぁ、もともと文筆家ではないのだから、その辺は仕方がないとは思うのだが、ほんとうに「あ、そうだ、こういうことがあったな、これも入れとけ」と原稿に向かう姿が見えてしまうのではないかと思うくらい、書き方は雑。

第二章は、自然の動植物や火水、果ては器物にまで神が宿ると信じていたアイヌの神々に対する考え方や、祭り、まじないなどが紹介されている。
けっこう、「おいおい、それでええんかい」と突っ込みを入れたくなるようなこともあったりして、楽しく読めるところではある。

ただ、戦前戦後まで、色濃くアニミズムの文化が残っていたのはすごい。

第三章は、第二章にも通じるところがある動物との関わりについてのこと。
子供だからこその残酷さで死なせてしまった動物を神の国へ送るエピソードや狩猟のことなどが著者の体験、収集した話などを元に描かれている。

第四章は、アイヌの冠婚葬祭。
とは言え、祭りなどのことに関しては、他の章でも紹介されているので、ここでは特に、婚と葬が主。

第五章は、言うなればアイヌ的、と言うこと、ものの紹介、とでも言えばいいだろうか。
風習、慣習についての紹介であろう。

以上が、各章の概略であるが、はっきり言って文章はひどいものである。
……が、まぁ、そこは専門家ではないので目を瞑ろう。

とは言っても、内容そのものはアイヌ民族の中で息づいてきた様々な風習などが紹介されており、また、頻繁に出てくるアイヌ語での表記と意味などはとても興味深く、特筆すべき点であろう。
ただ、筆者の考え方には一部、鼻につくようなところがあるのが、少し残念なところだが、基本的な部分には大いに共感し、納得できる。

こうした民俗学にも片足を突っ込んでいるようなものに興味がないとつらいかもしれないが、そうでなければ一度手に取ってみるのはいいだろうと思う。
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