同じ集落のHさん宅の裏庭です。
満開の躑躅が輝いていました。
散歩の帰り道私はよくこの場所を通ります。そしていつもHさんのことを思い出すんです。Hさんは穏和で心優しい人でした。30年ほど昔の熟年の方たちの熱中するスポーツと言えばゲートボールでした。その頃家内もまだ若くてゲートボールに熱中していました。Hさんは家内たちのゲートボールの指導者でいらっしゃって私の家にも度々お出でになって家内たちとゲートボール談義を楽しんでいらっしゃる方でした。
私の家の狭い庭には一本のイヌツゲの木があります。無粋な私はその木にまったく関心がなくイヌツゲの木は唯々見苦しく繁茂するばかりでした。ある日仕事が終わって家に帰ってみるとなんとまあ見苦しく繁茂していたイヌツゲの木が見違えるように美しく剪定されていました。家内に聞くとHさんがお出でになって剪定して下さったとのことでした。
当時私は早朝愛犬マルと鶴沼緑公園の堤の道を散歩していました。すると対岸の堤の上から女の方の浪々とした詩吟の声が聞こえてくるのです。私はいつもマルと一緒に立ち止まってその声に聴きほれるのでした。詩吟の主はHさんの奥様でした。
私たち夫婦はHさんご夫婦になにやかやとお世話を頂きました。でも悲しいことにHさんがお亡くなりになって数年して奥様もお亡くなりになりました。もう10年近くも昔になるでしょうか。私はこの道を通るたびHさんご夫婦のことを思いだし懐かしくなるのです。
さんたろうさんとその家のご夫婦の物語を聞くと、ツツジの花が余計に美しく感じられますね。何だか、我が家のツツジ花の色も違って見えてくるようです。