ささかのブログ

雑多な思考整理のためにブログを活用中。
自分が生きやすくなればいいと思うけれど、教祖になるつもりはない。

芸術家技術者

2024-03-14 09:54:58 | Office
150社。

50歳で転職活動をして、派遣ではなく正社員。そのような前提で活動して既に6か月が経とうとしている。

エージェントなどを駆使して、ハローワークや直接求人応募なども含めて、応募企業は150社を超えた。


なぜ派遣ではなく正社員にならなかったのか?
それだけ大変だからだと結論できる。
わざわざそんな大変なことを好き好んでやる人間はいない。

針に糸を通すより難しい、たった0.6%の確率に人生をかけるのは、賢くない。


つまり賢くないからできる。
独り身だからできるとも言える。


そんな中やっと採用企業が出つつある。

自分自身も変えるし、社会も分析するし、勉強もする。

もちろん、独立自営も考えてその手段を実行するための方法も調べるし、打診もする。


私の結論は、私は営業に向いていない。
営業できないことはない。
しかし本質を撃ち抜く開発を行う前提の営業は、相当人を選ぶ。
世の中そんなにメンタルが強い人もいない。


それと、開発技術者は、芸術家であるということ。

優れた芸術家は、変人が多い。
同様に、優れた開発技術者は、変人が多い。

様々な手法や技術を広く深堀りして理解する。
そうすると常人の理解できる範疇ではなくなる。
それだけで変人なのだが、コミュニケーションを犠牲にするとさらに変人度が増す。


経済学・経営的観点からすると、仕事は分業化し、属人化を廃して、誰でも継続できるようにするべきだ。

ところが、開発業務そのものが芸術的であり、それは当然属人化する仕事そのものなのだ。

「誰の手による開発か?」
が、重要になる仕事だ。

経営的には、素晴らしい開発を継続するためには、そのような芸術家肌の小難しい人間を大量に飼い馴らす必要がある。

とてつもなく大変な仕事だ。

いわばその一人だったわけで、その人間が一般企業に入社しようとすれば当然大変になる。


開発の組織化手法の一つとして、MBD(モデルベース開発)がある。


リンク先ではソフトウェア開発が代表例として挙げられているが、機械系物理系開発でもMBDが用いられている。

検証の自動化を行うことによって、開発後半の速度を上げるのだが、上流の開発技術者の知識能力があることが前提となる。

素人が上流プロセスを行うと、逆に検証プロセスが増えて複雑化する。

そうすると、これが「アジャイル開発だ」などと言い出したりするが、MBDはいわゆる上流から下流に流れるウォーターフォール開発であり、アジャイル開発ではない。

アジャイル(Agile 素早い、敏捷な)開発は、仕様が固まる前に実行テストする開発手法であり、MBDとは真逆の開発手法になる。

この根本矛盾がわからない限り、開発は遅々として遅れる。


MBDではAI開発は成立しないと書かれているが、それはその通りで、不明点が多く、検証プロセスの設計もできないような開発は、MBDに向かない。

水素燃料電池技術開発などにおいては、そもそもシステムの物理モデルが構築できていないのだから、モデル化そのものができないため、MBDに乗らない。

事象のモデル化が出来ていなかったり、わからないシステムの開発は、モデル化できないのだ。


MBDに向いていない開発として、先日分析したトヨタの特許として、「モーター制御回路のスイッチングを制御して、心地よい和音を奏でる」という開発内容があるが、これに関しては、音楽感性的知見や経験や、それを適用しようとする発想そのものがなければ、開発しようとも思わない。

特許出願公開番号:特開2018-26931


これを見ても、開発技術者はほとんど芸術家であって、それを経済的尺度、経営的尺度で測ることは難しいことがわかる。

とはいえ、開発も経済活動のひとつなので、収益も考慮する必要がある。


私自身は、貧困な中でモノを作る、ストイック・エンジニアなので、これもまた異色ではある。

地道な芸術的改善の組み合わせを行いながら、時間的費用的視点を持って、費用期日目標に合わせたアウトプットを出す。

単純に無駄な仕事をしたくないのだ。

工業高校的現場の観点から、研究開発上位の新規開発の観点両方までを持って、経験しているという、特異な人間なので。

まぁ、それだけ見ても就職は難しいことはわかりますよね。
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