技能は実学と言ってもいい。
ある日東京大学の学園祭に行った。
私は日本大学の漫画研究会所属であったので、東大の漫画研究会に興味があって行くことにした。
まぁ、閑散としていましたね。
似顔絵を描いてもらいました。
今でもあるかわからないけれど、日大の漫画研究会では、年2回、芸術学部以外のほぼ全学部が集まって全員の作品を批評する、「批評会」があって、プロ漫画家のアシスタントをしている人がいたりして、絵も構成も内容も、めちゃくちゃレベルが高かったのですよ。
一目見て、「すげえ!」となるレベル。
実際にプロ漫画家になる人もいて。
ところが東大にはそれがなかった。
知識と技能の違いだと思いました。
知識は100点を得られるのですよ。
ペーパーテストなんか、基本的には100点を取れるもの。
(実学的には、テスト出題者がそもそも間違っていれば100点を取ることは不可能ですが)
同様に数学も人が作ったルールなので、100%や100点というものが存在する。
(実学的には、複雑な構造体の有限要素法は解が出なかったりしますが)
実学や技能には、100点は存在しない。
完璧を目指すけれど、完璧に近くなるほど問題が発生して、どんどん完璧から遠くなっていく。
追いかければ追いかけるほど遠くなる蜃気楼みたいなもので。
でも答えがないと知りつつも、その完璧を求めるために知識を得ていたわけです。
知識は図書館に行けば、基本的に無料で得ることができる。
技能は実際のモノを相手にするので、入手するのにもとんでもなくコストがかかる。
(そのためには知識も必要だったわけですが)
東京大学推薦を得たけれど、断りました。
日大で100点を取って首席になって推薦は得られても、東大ではそうはいかないことはわかる。
日大でも特待生になれば授業料免除は得られる。
(高い入学金は存在するけど)
喫緊の問題としては、引越すための資金がなかった。
完全に親とは連絡を取らず離れていて、自立しなければいけなかったためでもある。
それに付け加えるならば、学園祭での漫画研究会に落胆したこともある。
東大では技能を得られない。
東大でも技能を高めるために知識を得ようとする人はいますけれど。
それはどこでも同じように、本当の少数派。
大多数は、受験戦争のペーパーテストで100点を取るための技術を身に付けた人たちで。
あまり尊敬はできなかった。
私は受験勉強しなかったのですよ。
自分の技能を高めるための知識を欲した挙句、いつの間にかペーパーテストで100点だった。
それでも、実学と技能を高めるためにはゴールではない。
あくまで始まり。
それと、どんなに知識をつけても、技能を知らないというのは、やっぱり最終的な現場現物を知らないということであり、それは結局、「知らない」ということなんだよなぁ。
知の片輪が存在しない。
肩書があって、知の片輪だけの人の愚かさは、もう痛いほど知っていて。
ただ迷惑。
知識と技能、両方が必要と気づいているかどうか。
両方ないと、生きられない。
COVID-19蔓延で、「エッセンシャルワーカー」という言葉が出てきたけれど、生活の最前線で働く人がいなければ、そもそも社会は成り立たない。
脳みそだけじゃ生きられないんよ。
手足目口鼻耳触覚内蔵骨筋肉があって生きられる。
忘れてはいけない基本的なことなんだがなぁ。
そんなだから、せめて日本大学理工学部には、「JABEE認定プログラム教育機関」になるぐらいはやらなきゃおかしいよな。
理工学部には「交通システム工学科」(かつては社会交通工学科)ぐらいしかなくてね。
技術的実学の、「技術士」の第一次試験が免除される教育機関としての認定。
生産工学部の方が圧倒的にJABEE認定学科が多い。
(現時点で、応用分子化学科 国際化学技術者コース、数理情報工学科 情報工学コース、電気電子工学科 クリエイティブエンジニアリングコース、電気電子工学科 電気・電子コース、土木工学科 マネジメントコース)
現在のキャンパス内への車やバイクのモビリティ進入不可としている、実学無視ではどうにもならないかな。
そしてJABEE認定プログラム一覧の中には、東京大学はない。