その昔、足立村の長者の娘が、豊島村の由緒ある家へ嫁ぎましたが、姑の嫁いび
りに耐え切れず、五人の侍女と荒川に身を投げてしまいました。それを僧・行者が
哀れみ、六体の阿弥陀仏を彫って一帯の寺に祀り供養したのが六阿弥陀仏の由来と
いわれます。
後に江戸庶民が春と秋のお彼岸に、阿弥陀さまを祀った六つのお寺を巡り供養し
ましたが、五番目がこの阿弥陀さまです。五番目の常楽院は、上野広小路の現在の
ABABのところにありましたが、震災で被災して池之端に越しました。戦災でま
た被災して調布市に移転しました。それでこの場所に祠を建てて阿弥陀さまを祀っ
てあります。今もお参りの人が絶えませんが、正岡子規も「野の道や梅から梅へ六
阿弥陀」と詠んでいます。