蔵前橋の西詰めに「首尾の松」があります。由来は諸説ありますがそのうち二つを紹介し
ましょう。(1) 寛永年間に隅田川が氾濫したとき、将軍家光の面前で謹慎中の安部豊後守
忠秋が、人馬もろとも川中に飛び入り見事対岸に渡りつきました。家光はこれを賞して勘気
を解いたので、かたわらにあった松を「首尾の松」としました。
(2) 吉原に遊びに行く通人たちは隅田川をさかのぼり、山谷堀から入り込んだものです
が、上り下りの舟が途中この松陰によって「首尾」を語ったところから首尾の松となったそ
うです。どうも二番目の説が面白そうですね。その松も枯れたり、震災・戦災で被災したり
で、現在の松は七代目ということです。