三筋北陸・ワインダー(糸捲き機)の専門機料店

繊維産業のウラ話に迫る、メンテナンスのお気楽日記。

メンテお気楽日記 9月19日 採らぬタヌキの・・・定量装置。

2013-09-20 | メンテナンスお気楽日記
絹撚糸屋さんからの電話。「定量計りが誤作動して、バラバラの製品になっている。」

絹撚糸屋の場合は、コーンアップの重さ管理が特に厳しく、捲き上がったコーンを
もう一度、一個一個「計り」の付いたワインダー箇所で巻き返し、すべて530gに揃える。

その為には、昔から使われている「天秤ハカリ」にちょっとオーバー捲きの糸をのせれば
530gピッタリの処で天秤が動き、電気が通ってカッターが作動する装置を使っている。

当然、捲き返しでワインダーに溜まった糸は、結び目の多い二次製品となるが
それはそれで、撚糸屋の出目としての価値にもなった。ところが原糸の入荷がシビアになり
時には不足入荷?もあると言う。だから出荷製品の管理は撚糸屋の死活問題。


合繊関係では糸量オーバーは当然と考えられがちだったが、最近の極細繊維の対応には
それなりの問題がある。たとえば50Dと150Dでは3倍以上の糸長誤差がでる。

極細繊維ゆえに、リール定長では誤差が出やすく、それにも増してベアリング管理が
難しい現状?になり、発生した誤差は産廃処分の量を増やすのみ。

設備投資が可能?な工場では、「デジタル計り」による定長管理を見てきた。
これは、何g減ったところで糸を切ったりモーターを止める装置。デニール計算が出来れば
誤差は極端に少ない。只、検査協会のシールを張った秤を何錘も揃えることが大変な経費。


「一睡だけなら、がんばってもらえば・・」なんて、自分も興味のある装置をお世話
できるチャンスと思いイソイソと工場へ。

まずは点検。ところが、ここで不良個所を発見してしまう。確かに天秤棒は軽く動いているが、
原因は、何の為に張ったか解らないガムテープの糊?。粘着質が微妙に天秤のタイミングを
狂わしてしまう。だからオーバー誤差もバラバラ。

原因が解かれば、ムダな経費は必要ない。
せっかくのデジタルの仕組みをじっくりと勉強出来ると思ったチャンスも消えてしまった。
もちろん、儲けも・・・

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メンテお気楽日記 9月14日 やさしい?機械

2013-09-14 | メンテナンスお気楽日記
富山のある「島精機」の代理店。編み機関係を得意としています。
倉庫には新・旧中古?の編み機がズラリと並んでいます。海外需要か?

先日、ワインダーの部品を届けると言うよりも、自分が組み付けるためのモーターが
欲しくて倉庫を訪ねた。今や編み機はモーターの塊り?だから中古部品も多い。

自分にはあまり必要のないオリエンタルモーターや制御装置。その中から旧型?の標準モーター
を探す。小型ワインダー機に使いたい200Wが欲しいが、なかなか見つからない。

紹介されたのは、糸繰り装置に組み込まれている100V用の小型モーター。
これはこれで、利用する機会もあるだろうが、モーターよりも木製の糸繰り機の方が気になった。

木製と言っても、綾振りのための装置が組み込まれている。綾を振るために回転運動を
平行運動に変える。機械屋?としては興味がそそられる楽しい機械。

何より驚いたのは、枠を回転するための固定部品が付いていない?主軸はモーターで回転
していても、糸枠は空回りの状態? よく見ると板バネの接圧だけでシャフトとつながっている。

もし糸に無理がかかった場合、枠が空回りして糸を切らない為の装置と理解したが、
現在の機械設計では、まず考えない仕組み。糸を大切にした頃のアイデアか?・・・ンー。


島精機の製品には驚かされることが多い。世界に席巻できるアイデアが豊富。
これは、機械づくりよりも製品づくりを知り尽くした結果でもあると思う。

先に東南アジアでの繊維機械メーカーの乱立を危惧したが、捲くだけのワインダー
織るだけの織機、まだまだ先は長いと思う。その点から見れば日本製やヨーロッパ製の
機械は自信を持ってイイと思う。ただ、技術の伝承については気がかりが残る。

p/s 帰り道に寄った工場、故障の原因は「油ぎれ」。ここまでくれば問題外。

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メンテお気楽日記 9月13日 中古機価格

2013-09-13 | メンテナンスお気楽日記
またまた、お叱り(クレーム?)をいただきました。
「三筋さん!ワインダーが安すぎるョ。もっと儲けてもらわなきゃ・・・」

何度か耳には入っているが、本来の機械に対する意識改革から変えなきゃ直らない。
元々は、おやじの時代から機料店あいての仕切り販売。価格は販売店が決めていた。

平成にはいり、機料店からの新台注文が無くなり、メーカーまでもが製造中止となった。
商売を続けるためには、メンテナンスと中古機械のお世話。ところが産業機械用の注文も
日に日に少なくなってきた。代わりの?問い合わせは、小型機械ばかり。

これまでの外注依頼先が廃業のため、自家生産が必要になった機屋さんや製作工房?
生産ノルマは関係なく、糸の分割や、必要な時だけのワインダー。

ネットの影響?もあって、思わぬ先からも問い合わせが入って来る様にもなった。
まず、ここでの返事が問題らしい?いくら色を付けたつもりでも、相場とかけ離れている。

まず、立場的に「中古機械」を製品として見ていない。部品のかたまり?部品取りの種。
問い合わせがあれば、お客さんの仕様に合わせて組み付け、形として提供にするだけ。
まして、自分の手間賃が計算できない。お客の満足の為か自分の満足の為か解らない。

販売店とすれば、中古機と言えど完璧な形で提供しなければならない。
その為には、ガイドやモーターなどの交換なども必要となる。それが当然、経費ともなる。
たとえば、中古でもモーターなら五千円プーリーは千円、ベルトは新品に交換など。

だから、製品として提供する為には、それなりの相場ってものも存在する。
安く出来たから安く売るだけでは、次のお世話が出来ないことになる。高ければ買わない。

街の自動車工場で見かける、中古車販売にも似ている。客は限られてしまう。
いくらおやじがお客さんの為と思っても、価格破壊の片棒かつぎに変わりはない。

                    
以前にも、「直販商い」では景気は良くならないって話題があったが、世の中の動き
自体が変わってきている。タマゴが先かニワトリが先か、誰にも解からない。

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メンテお気楽日記 9月11日 改造改良

2013-09-11 | メンテナンスお気楽日記
現在稼働しているワインダーは、新型といわれるタイプで20年、最盛期タイプ?なら
40年以上お仕事をしています。それも大半は毎日休まずの稼働となります。

いくら単純で壊れにくい機械と言われても、イモノ部品の摩耗等はいがめません。
ガタがあれば、部品交換すればイイことなのだが、新品部品の供給自体、難しくなっている。

中古整備や稼働中のメンテでは、中古部品から良品を選んで組み付けることは出来るが、
全体整備となると、当然部品不足が発生する。特にクレドールのベアリングガタが悩みの種。


そこで、対応したのが他社製の撚台部品の流用。ベアリングは市販のを使用できる他、
フランジ(紙管押さえ)も村田・津田駒・片岡の3繊維機械メーカーから選べる。

なにより評判が良かったのは、取扱いが簡単で片手でも紙管をセット出来るほど。
女工さんの後押し?もあって、相当の数を交換したが、今度は撚台部品も不足し始めた。

考えた当時は、廃業工場も目立ち始めた頃。撚台のつぶし情報も機料店に頼んでおけば
意外と簡単に世話してもらえたし、改造もあまり手間が掛からなかった。

当初はチーズ紙管専用として、そのまま多少の改造だけで納めていたが、
3°30′のコーン紙管用の希望が多くなり、またまた無い知恵を絞ることとなる。

なんとかトップフランジだけを特注製作して、テール部は三菱製、ベアリングもサイズ変更
するなどして対応出来た。ところが先日、特注製作した部品も底をついてきた。

新たに発注するにあたり、納品工場から聞いていた端糸の捲き込み事故を少なくする為
図面を描き直す。と、言っても2ミリの鍔を削りだしただけ。

こんな小さな改造が機械を成熟させて行くことは、三筋機械の中で充分見てきた。

今、中国を筆頭に東南アジアの繊維機械のメーカー乱立にはスゴイものすら感じている。
しかし、10年後には淘汰され、何社しか残らない事実も、冷めた目で見ている。

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メンテお気楽日記 9月10日 製作単価と販売価格

2013-09-11 | メンテナンスお気楽日記
これまでに何度か紹介した「ループテグスのリングキャップ」です。
巻き返しの、ビリ止めや糸ズレ防止・バルーン制御にも効果があります。

性能は整経工場で見て、ワインダーの巻き返しにも利用できないかと考えていました。
只、整経工場では横取りクリールなので、取り付け方法や仕事仕様が全然違う。

さらに、製品開発されたメーカー品なので、単価的にも改造組み付けには抵抗がありました。
当然、開発設計や色々の製作工場の手をゆだねているので、正当?な価格かも。

構造的には単純で、出来上がったモノを見てしまえば「何だ、これだけのことか」と
成るのですが、効果はバツグンです。だから利用しない手はないのです。


何年か前、100円ショップの植木鉢の受け皿を利用して、ワインダー用の
立て取り巻き返しに対応できる装置?を自作しました。

ビリ止めや、ズリ落ちに困っている工場の何軒はセッセと手作りして納品もしました。
「製品にしたら?」って話も出て、図面をひき、材料や製作依頼先も探しました。

でもやはり、単価は跳ね上がってしまう。もっと大きな問題は、販売数です。
整経工場なら、クリール一台で100~400錘が必要な数になります。

ところがワインダー工場では、三筋なら3~12錘、神津・村田の60錘機では
装置よりも組み付け金具に経費が掛かってしまう、バカな計算にもなりました。

正直なところ、一工場に何個か持つていれば充分な仕事は出来るはずです。
ビリやズレを生じる難しい糸は、毎日あるわけでもない。

結論として、今でも相談があれば100円ショップに通い、セッセ(ちまちま)と
作っています。お客さんも100円ショップの材料費を知っているので、販売価格は
そこそこしか請求出来ません。500円から1000円止まり。正に手間賃です。

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