この愛のために撃て

面白かった！！冒頭、わけもわからず傷ついた強面の男が、よろよろと逃げ出してくる。追いかけてくる男どももずいぶんと人相が悪い。いよいよ追い詰められた時に、思いもかけずに傷ついた男がはねられる。騒ぎになって、病院に。この男が何者なのか分らないまま、病院に寝せられている。

その病院の看護助手をしているサミュエル。臨月の妻がいる。たまたまサミュエルが正体不明の男を助けてしまったことから話は急展開。怪しい男が病院に忍び込んで、男を殺そうとしていたのだ。一体、この男の正体は？？？

と思ってたところに、今度はいきなりサミュエルの臨月の妻が誘拐される。なぜ？？？？犯人たちの要求は、サミュエルに正体不明の男を連れださせること。それほど難しくないことかと思いきや、この男、実は殺人の容疑者だったことがわかり、話はややこしく・・・。

この男が真の悪人で、本当に殺人の犯人だったら、話は簡単なのですが、そうはいかない。そこに隠されていたのが、警察官の陰謀だったと。警察内部でもいろいろとあるんすねえ。いつも手柄をとられてしまう女性捜査官が、なぜにそいつのところばかりに手柄が行くのか面白くないなあと思っていたのだが、実は真の黒幕は、その手柄を独占していた警察官。うーん、真っ黒な警察官がうようよであります。

そんな警察官を敵にまわし、謎の男をともに、真の犯人を暴くことが出来るのか！！と言うことで、とんとんと進んでいく展開はぜひとも見ていただきたい。見たところ、さっぱりぱっとしないサミュエルなんすが、とにかくまっしぐらになんとかしようと走り回るのがいいっす。周到に用意して、念入りに計画を立てて、なんとかする・・・と言うのではなく、とにかくしゃにむに、がむしゃらに突き進んでいくさまがなんとも言えずに面白いです。

でもって、当初、絶対悪役！と思っていた正体不明のサルテに、だんだんとシンパシーがわくようになり、はては超カッコいい奴になって行くのですよ。警察への皮肉もちくりちくりとねじ込み、いやーー、面白かった。とても85分とは思えないくらいに、ぎゅっと詰め込まれてて、緊張感が切れない長さ。なるほど、納得の一本でした。

「ハンナ」のあとに見たせいか、あっちの下手くそさと、こっちのうまさが際立ったかもです。問題は邦題だけだわ。

◎◎◎◎●

「この愛のために撃て」

監督　フレッド・カヴァイエ
出演　ジル・ルルーシュ　エレナ・アナヤ　ロシュディ・ゼム