迷宮映画館

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こわれゆく女

2013年11月28日 | か行 外国映画
一度、ちゃんと見てみたいと思いつつ、なかなか見ることができずにいた作品。HDDにも入っていたのに、どうしても部屋で、TVで見れない。。。1年は入ってたのだけど、つくづく自分は、映画館じゃないと、映画が見れない体質(!)になっているよう。。。ということで、劇場の椅子にへばりついて、きちっと鑑賞となりました。

土木作業員の夫、ニック。毎日忙しく、ゆっくりと家族と時間を過ごすこともできない。。。と言う割には、子供は3人。夫と責めて一晩くらいはゆったり過ごしたいと思った妻、メイベルは、子供たちを母親に預け、夫のことを待つ。しかし、かかってきた電話はどうしてもの仕事で、どうしても帰れないというもの。

大丈夫、私なら大丈夫と言いながら、妻の危うい精神状態は爆発寸前になる。いつもはにぎやかな子供たちの声が響く家の中は、静かすぎる。夫も帰ってこない。酒飲みに外に出て、行きずりの男を家に招いたりと、メイベルの精神状態はギリギリのところを行きつ戻りつしている。

翌朝、仕事を終えた夫が、部下たちを連れて賑やかに帰ってきた。うれしい反面、なんとかしてもてなそうとするメイベルの行動は、裏目裏目と出る。

相変わらず夫は忙しい。愛する子供と楽しく過ごそうと、友達を招いてパーティを開こうとはしゃぐメイベルだが、普通ではないと思える行動が続いていく。制御できない。精神科医に見てもらおうとしても、それすらも受け入れようとしない。自分は一体どうなるのか。メイベルをマ守ろうとうするニックだが、ニックのキレやすい性格は、メイベルの不安定さを助長させてるように見えてくる。

家族総出で、メイベルをなんとかして病院に入れることに成功したが、ニックには毎日の仕事が相変わらず続き、子供の面倒も見なければならない。ニックのギリギリの生活を強いられる。

そして半年後、メイベルが退院してくることになった。最初は白い目で見ていた仲間たちも、暖かく迎えるべく家に大勢集まって、彼女の帰りを待っている。しかし、その数は一つの家で、一人の人間を待つには多すぎる。どう考えてもおかしいのはニック。あまりに多すぎる待ち人に、今度は帰るように言うニック。絶対、ニックの方がおかしいように見えてくる。

静かになった家に、メイベルが帰ってくる。治療を終えて帰ってきた母親。不安定さはぬぐえてない。なにか、ちょっとしたきっかけでもあれば、またこわれてしまいそうな危うさを抱えている。メイベルやニックの親たちも彼女に帰りを歓迎するが、本当にみんな喜んでいるのだろうか。。。。

最後に残ったのはニックとメイベルと子供たちだけ。感情を爆発させるメイベル。必死で彼女を抑えようとするニックだが、彼女を落ち着かせることはできない。不安定なメイベルを渾身の力で守ろうとするのは子供たちだった。幾度も幾度も子供たちは母親を抱き、守ろうとする。子供たちに必要なのは母親であり、母親に必要だったのも子供たちだった・・・・のかな。

たっぷり、ジーナの狂気の演技を堪能させていただきました。なぜに不安定になったのか、、、と言うことはどうでもよく、とにかくジーナのイッテルぶりがすさまじい。目が違う。そううつ病じゃないのかな~と思える感じだったが、彼女を支えるどころか、病気をますます悪くさせるような存在が、短気な夫ではなかったかと。なんだか、夫の方も一度ちゃんと見てもらった方がいいんじゃないの?と思えるくらいに不安定なのだが、どうやら夫は不問。

妻たるもの、母たるものはこうでないとならない、そうでない女はどうしたらいいのか。。そんな世間様の戒めをぎしぎしと切り裂いていくジーナさんは、さすがでした。でも、あんなキレやすい夫はやだな。

◎◎◎○

「こわれゆく女」

監督・脚本:ジョン・カサベテス
出演 ピーター・フォーク ニック・カサヴェテス ジーナ・ローランズ マシュー・カッセル マシュー・ラボルトー クリスティーナ・グリサンティ 
1974年作品


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