迷宮映画館

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真夜中の虹

2003年07月04日 | ま行 外国映画
炭鉱の閉鎖、それまで炭鉱で働いていた人たちは路頭に迷ってしまった。人生完全に終わってしまった人にこれからの人、いろいろいるが、彼は南に下り、何とか新しい人生を送ろうとしていた。

しかし、うまくいかないのが人生。コンバーチブルの車を譲り受けたがいいが、ホロがしまらない。カリフォルニアあたりならいいが、ここはフィンランド。なけなしの金は巻き上げられるは、闇の働き先は摘発される。おまけに刑務所にまで入れられてしまう。なんか、自分が悪い事したべか?

とことん、つかない自分の人生。でも刑務所では自分よりもつかない人もいるみたい。何で世の中、思った通りに行かないのだろう。最後のチャンスにかける自分。果たして、吉と出るか、凶と出るか…。

アキ・カウリスマキの「過去のない男」公開記念で、昔のカウリスマキ作品の栄えある上映に選ばれたのが本作品。コンセプトは「過去のない男」ととってもよく似てる。自分では何も望んでもいないし、働きかけもしていないのだが、なぜか、不幸の道をたどってしまう自分。でもそれを享受するかのように生きていくうちに、更なる困難に巻き込まれたり、新たな道を見つけたりする。それを淡々と、皮肉と愛情たっぷりに描いていくカウリスマキマジック。これぞ、真骨頂。

今から15年前の映画というが、古臭さはまったくない。というよりも彼のいつもの独特の世界。これはとっても普遍なのだと実感した。不幸を描きながらも、人間の心底の可能性を揺るがせない信念。それも押し付けがましくないところが素敵だ。「過去のない男」でちょっと感じた不満をなぜか解消してもらった。

フィンランドっていうと、何を思い浮かべる?カウリスマキのほかに、思い浮かべるものがなかったのだけど、あった!スキーのジャンプ。○○○ネン。そうよ、この名前よ。アホネンで日本中に知らしめたフィンランド。

「真夜中の虹」

原題「Ariel」 
監督 アキ・カウリスマキ 
出演 トウロ・パヤラ スザンナ・ハーヴィスト 1988年 フィンランド作品


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