迷宮映画館

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おばあちゃんの家

2003年07月05日 | あ行 外国映画
ソウルに住むサンウは母と二人暮し。母親が職探しをしている間、おばあちゃんの家にホームステイする事になった。都会っ子のサンウには考えられないくらいのド田舎。しゃべれないおばあちゃんを馬鹿にし、好き勝手し放題の生活を送る。

住んでる家は今にも倒れそうなあばら家、車なんか一台も通らない。走るのは暴れ牛ぐらいだ。持ってきた缶詰を食べ、ゲームのボタン電池を探し、食べたいものと聞かれるとケンタッキーと言い出す。あたしだったら、「わがままいってんじゃない!」と一発ぶん殴るところだが、おばあちゃんはそんなことはしない。

しゃべれない口の替わりに何とかして孫の気持ちを満たそうとする。どんなことがあったって、おばあちゃんはサンウのために動く。腰を曲げ、とぼとぼとサンウのために。いくらシャイで、わがままな男の子でも、このおばあちゃんの気持ちがわからなかったら、ただのアホだ。母が迎えに来て、おばあちゃんと別れの日、サンウがおばあちゃんに渡したものは・・・。

また、やられてしまいました。この映画の紹介文を書くために、資料読んでいたときから、もう目頭がジワーーと。やばやばと思いつつ、また泣かしてもらいました。わかりきっているのに、どうしてこんなに真っ直ぐで、心にしみる映画を撮ってくれるのでしょうか。これをもし日本で撮ったら、あざとくなってしようがないものになりそうなのに、何のてらいもなく、思いを真っ直ぐに見せてくれます。一つ、一つがいい話です。

4年ほど前に死んだ私のばあちゃんと、このおばあちゃんがまたこれがそっくり。白髪の髪を簡単に後ろにひっ詰めて、もんぺはいて、腰思いっきり曲げて、とぼとぼ歩く姿。座るときは最小限度の面積しか使わないなんと効率のいい座り方か。どこにもあぶらっけのない、しわだらけの顔。白みかかった目で、優しく見守るまなざし。すべてが思い出させてくれました。それでも働き続けて、とにかく、たまに行く孫に気遣ってくれたばあちゃん。おばあちゃんって、どうしてここまで優しくなれるのでしょう。私はあまりに俗っぽくて、このままじゃ、脂ぎったばあちゃんになりそうです。この域に達するのは程遠いな…。

考えられないくらいのド田舎から、最先端の都市、ソウルまで同時に存在する国が韓国なのか。そのクロスオーバーがこういう映画を作り出したような気もした。

「おばあちゃんの家」

監督 イ・ジョンヒャン 
出演 キム・ウルブン ユ・スンホ 2002年 韓国作品


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