迷宮映画館

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暗いところで待ち合わせ

2006年12月04日 | か行 日本映画
交通事故で失明してしまったミチル。父と二人でひっそりと暮らしていたが、父の愛情を受けてそれなりに不自由なく暮らしていた。しかし、父が突然死んでしまう。親戚はミチルをどうするか、話し合う。誰も大人になった盲目の厄介者を引き取りたくはない。その辺の空気を察っするかのように自分ひとりで暮らしていくという。「そんああ・・」といいながらも、ほっとする親戚連中。

盲目の一人暮らしの女性に外界との接点を持たせているのは幼い頃からの友人・カズエ。何かと世話を焼きながらも、このままでいけない。外に出るべきだと勇気付けるが、なかなか一歩が出ない。

そのミチルの家に何かいる。声も物音もしないが・・・・、いる。部屋の片隅の窓から駅を見下ろすことができるところが指定席。最初は変だと思っていただけのミチルだったが、そこにいるだれかの存在が段々許容できてくる。いつ間にか二人分のご飯を用意し、だれかは守護天使のようになってくる。

そのだれかは近くの駅のホームで起きた殺人事件の重要参考人だった。もしかしたらこのだれかは人を殺したのかもしれない。でも、なぜかこの誰かを信用していくミチル。言葉のない会話で成り立っていく二人。そして彼らを結びつけた殺人事件には大きな秘密が隠されていた。

と言うことで、若い人に大人気らしいのだが、唯一私が読んだことがあったの乙一の作品がコレ。本では青年は中国人とのハーフではなく、引っ込み思案のいじめられっこの設定だったが、このチェン・ボーリンはなかなかよかった。『藍色夏恋』で甘酸っぱい男の子の蒼い思いをしっかと表してくれたチェン君。もどかしさと、心に闇を持っているような複雑な表情がここぞと見えた。

大概の人は盲目の役の田中麗奈を誉めると思うのだが、ここはアキヒロ役のチェン君で。しかし、突然盲目になり、引っ込み思案な様子と不安でたまらない表情は素晴らしかった。そして、いなくなった母との別れ。見えないはずのミチルに母が見える。ミチルの慟哭が迫ったが、そこも中途半端なような・・・。

そう、どうも全体のバランスが取れてない。サスペンスの謎解きが重きになってしまったり、ここにいる誰かに対する許容の仕方が唐突。もっといろんな葛藤や、二人がじわじわと接近していく様子をもっと見たかった。最初のお父さんとのやりとりやら、少々むだっぽいシーンに時間をとられてしまったのが残念かな・・。

さすが超人気作家の本と言うことで、ぐいぐいと読ませる力があった。それに見合った映画かというとちょっと物足りなかったかな。でも本を読んでなかったら、きっと不満をなんぞ少なめの映画に思えます。

『暗いところで待ち合わせ』

監督 天願 大介
出演 田中麗奈 チェン・ボーリン 宮路真緒 岸部一徳


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4 コメント

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Unknown (風情♪)
2006-12-06 11:43:40
こんにちは♪

原作がかなり出来がいいので映像化するにあたって
どれだけ作風が壊されるのかが心配でしたがほとん
ど壊されてなかったように思えたので個人的には大
とまではいかなまでも十分に満足のいく出来でした♪
チェン・ボーリンの存在感が想像以上に大きかったの
がビックリでした。 (゜▽゜)v
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>風情♪さま (sakurai)
2006-12-07 09:11:37
全体の雰囲気はとってもよかったですね。
本の持つ空気も上手く生かされてたと思います。
いい本を映画にするのは難しいと思うのですが、殊勲賞といった感じでしょうか。
チェン・ボーリン!いいです。おばさんの唾がつきそうです。日本で活動が多くなると、嬉しいかも。
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チェン・ボーリン~ (駒吉)
2006-12-07 16:28:37
コメントとTB、どうもありがとうございます。
同じく原作、映画両方楽しみました。

でチェン・ボーリンに惚れた~
ミチルってば彼を見れないなんてなんて勿体無い・・・と何度思ったことか。
二人が共演したという作品も見てみたいです♪
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原作本 (sakurai)
2006-12-07 22:22:56
結構メタメタにされる本が多くて、いささか辟易するのですが、いいのが続いてますね。
チェン・ボーリン、素敵だったのですが、ちょっと佐藤浩市と似てるかな、などとも思ってしまいました。チェン君のほうがずっと素敵は素敵なのですが。
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