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いけちゃんとぼく

2009年09月03日 | あ行 日本映画
中学生の息子に、ずっと「母ちゃん、読め!読め!」と言われ続けていたのだが、いまだ手にとってない。学校内で、購読冊数第二位のやつだが、かなりはまったらしい。

つねづね、西原さんの才能は、凄い!と思っているんで、間違いはない・・・と思って鑑賞。

子供のときっていうのは、なんでも怖い。やたらに怖い。壁のしみはお化けだし、天井の節は、どんどんと大きくなって、迫ってくる。目をつぶればきっとそこにいるのは、幽霊だ。夜中のトイレには、はさみを持ったおばさんがいる!!と固く信じていた。

そんなこと想像すんな、考えんな!!といっても無理。次々と頭の中にいろんな怪物が、あらわれてしようがない。

あたしの中の怖い怪物をやってくれくれるヒーローは、なんと『おそ松君』だった。あの6人の同じ顔の何とか松君が、次々と現れて、怪物を笑いながらばったばったとなぎ倒してくれるのだった。

なんで『おそ松君』だったのかは覚えてないが、あの何にも考えてないような笑顔がよかったのかもしれない。・・・・・最近、なぜかCMにあたしのヒーローが登場して、妙な宣伝をしているのだが、あたしにとっては、微妙にうれしい登場なのだ。

いつの間にか、あたしが『おそ松君』を呼ぶことはなくなって、目をつぶっても幽霊は登場しなくなり、夜道も一人ですたすたと歩くようになったが、子供のときに、なぜかあたしのヒーローが『おそ松君』なんだということを、周りに言ったことはない。

何でなのかはわからないが、あたしだけが納得していればいい・・・、人に言っちゃいけない・・・・、あーーー、言っちゃった・・・。ご利益なくなったかも。

というどうでも自分のことを思い出したが、自分だけのヒーローってのは、誰にでもあることなのではないか。子供の世界なんて、過酷で残酷だ。その世界で生きていかなければならない子供は、本当につらい。でも、そこに説明しがたい、何かの力が、助けてくれている。そう思う。そしてそれは、きっと自分の中にある、生きる力なのではないだろうか。
 
ヨシオにはいけちゃんで、あたしにはおそ松君だ。きっとあなたにもいたはずだ。うちの子らにもいるんだろうか。いけちゃんは自分が生み出したもの・・・でよかったなあ。あたし的には。

すこんと明るく、屈託のない子供!をさせたら、ぴったりの子役は多いが、胸に何かを秘め、ぼそぼそっとしゃべっても、その思いが伝わる少年は、貴重だ。眉をしかめ、歯を食いしばるのが嵐君!!似合うなあ。

声を聞いてて、蒼井優の世俗じみてない、ほにょっとした声が、とってもいけちゃんにはまっていたのだが、吉行和子の声とも似てるよなあ・・・と思ったのだった。

元気がでーの、なんかさびしいーーの、辛いの、さわやかーーのの複雑な思いにかられた映画だった。

◎◎◎◎●

『いけちゃんとぼく』

監督・脚本 大岡俊彦
出演 蒼井優(いけちゃん・声) 深澤嵐 ともさかりえ 荻原聖人 吉行和子


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4 コメント

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いがった~ (KLY)
2009-09-04 00:02:09
蒼井優ちゃんの声でいけちゃんに命が吹き込まれてました。彼女うまいですねぇ。個人的に手をハムってするとこが好きで好きで。(笑)
ただ『女の子ものがたり』も素敵で大好きなんですけど、あり得ないギャグ満載の鳥頭紀行とかも映画化してくれないかなぁと。イメージ形崩れになるからだめだろうな。(笑)
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Unknown (はらやん)
2009-09-05 10:43:10
sakuraiさん、こんにちは!

sakuraiさんにとってのイマジナリー・フレンドは「おそ松くん」なんですねー。
ヨシオ役の深澤嵐くんは美少年的な感じではないですけど、上手ですよね。
蒼井優さんのいけちゃんも包容力がある感じでとても良かったなあ。
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>KLYさま (sakurai)
2009-09-06 16:30:04
いけちゃんの声は本当にぴったりでしたね。
私は声優以外の人がこういうのをやるのは、あまり肯定的な方ではないのですが、公までお見事にはまられると、素晴らしいの一言ですわ。
『女の子ものがたり』は、もうすぐです。
ちょっと楽しみですわ。
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>はらやんさま (sakurai)
2009-09-06 16:50:31
あはは、お恥ずかしい。
小さいころから、なんかあると、心の中でおそ松君を呼んでましたね。なんでだろ。
日本の俳優さんたちは、こういうちまっとした映画にぴったりな人がうまく配されてるなあと感心します。
なかなかよかったです。
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