途中当麻太郎は何度も人家を襲って食料を得ようとしていた。、
その都度範頼と藤七に止められた。
うかつに土地の人の恨みを買うことを怖れたのと、
この人数では逆に相手にやられる可能性があったからである。
空腹の一行は信濃の諏訪を越えてまさに甲斐へ入ろうとしていた。
そこへ、大荷物を持った普段は畑仕事をしているらしい風体の家族が
大急ぎで向こうからやってきた。
一家を見かけた当麻太郎は馬を駆けて彼らに近づいた。
武勇に優れたつわものが空腹で飢えてまるで獲物を狙う野獣のような顔で
一家を睨みつけたから、睨まれたほうはたまらない。
大きな荷物を路上に放り投げると一家はすぐに姿をくらました。
「?」
唖然としている範頼をよそに、当麻太郎は悠然と荷物を拾いあげる。
道端に馬をつなぎ荷物を確認する。
衣類、米、農機具などの財産や生活用品が無理やり詰め込まれていた。
どうやら急いで詰め込んできたらしい。
その中ですぐに食せそうな干し芋を三人はかじると使えそうな荷物を積んで
街道を先に急いだ。
街道の脇に集落があった。
その集落をしばらく三人はながめながら馬をすすめたが
「蒲殿、おかしいと思いませぬか?」と
藤七が声をかけてきた。
「なにがだ」
「この集落には人の気配が全くかんじられませぬ」
「?」
また暫く馬を進めると向こうから数十匹の馬のひづめの音が聞こえる。
その音はすぐに近づいて
たちまち範頼たちの側までやってきた。
何が起こったのかわからなかった。
だが、範頼ら一行はいつの間にか武装した一団に取り囲まれてしまっていた。
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その都度範頼と藤七に止められた。
うかつに土地の人の恨みを買うことを怖れたのと、
この人数では逆に相手にやられる可能性があったからである。
空腹の一行は信濃の諏訪を越えてまさに甲斐へ入ろうとしていた。
そこへ、大荷物を持った普段は畑仕事をしているらしい風体の家族が
大急ぎで向こうからやってきた。
一家を見かけた当麻太郎は馬を駆けて彼らに近づいた。
武勇に優れたつわものが空腹で飢えてまるで獲物を狙う野獣のような顔で
一家を睨みつけたから、睨まれたほうはたまらない。
大きな荷物を路上に放り投げると一家はすぐに姿をくらました。
「?」
唖然としている範頼をよそに、当麻太郎は悠然と荷物を拾いあげる。
道端に馬をつなぎ荷物を確認する。
衣類、米、農機具などの財産や生活用品が無理やり詰め込まれていた。
どうやら急いで詰め込んできたらしい。
その中ですぐに食せそうな干し芋を三人はかじると使えそうな荷物を積んで
街道を先に急いだ。
街道の脇に集落があった。
その集落をしばらく三人はながめながら馬をすすめたが
「蒲殿、おかしいと思いませぬか?」と
藤七が声をかけてきた。
「なにがだ」
「この集落には人の気配が全くかんじられませぬ」
「?」
また暫く馬を進めると向こうから数十匹の馬のひづめの音が聞こえる。
その音はすぐに近づいて
たちまち範頼たちの側までやってきた。
何が起こったのかわからなかった。
だが、範頼ら一行はいつの間にか武装した一団に取り囲まれてしまっていた。
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