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Tenkuu Cafe - a view from above

ようこそ『天空の喫茶室』へ。

-空から見るからこそ見えてくるものがある-

太平洋沿岸を飛ぶ (13) - 三保半島・清水港

2010-01-19 | 中部

駿河湾に突き出た三保半島は、安倍川から海へと流された土砂が太平洋の荒波に運ばれ、日本平を削りながら出来た長さ約4km、幅約1kmの砂嘴である。何百年にわたり流された土砂が静岡海岸、さらには清水海岸に幅百メートルを超える砂浜を作り、現在の清水港を囲む三保半島、および三保の松原の砂浜を形成した。

羽衣伝説の舞台でもあり、浜には天女が舞い降りて羽衣をかけたとされる「羽衣の松」と呼ばれる樹齢650年の老松があり、付近の御穂神社には、羽衣の切れ端が保存されている。
平安時代から親しまれている三保半島の南側に広がる景勝地である。
総延長7km、5万4千本の松林が生い茂る海浜と、駿河湾を挟んで望む富士山や伊豆半島の美しい眺めで有名。その美しさから、日本新三景・日本三大松原のひとつとされている。



「羽衣伝説」とは、天から舞い下りた天女が松の枝にかけていた羽衣を通りすがりの漁師が隠したので、天女はやむなくその漁師と結婚するが、のちに羽衣を取り戻して天に帰っていくという話。
こうした羽衣伝説は、中央アジアに原点をもつと思われる「白鳥説話」の一変形らしい。

星野之宣著『宗像教授伝奇考』第1集「白き翼 鉄(くろがね)の星」は、この羽衣伝説・白鳥説話と鉄器文化について描かれている。

白鳥説話の起源は、古代ギリシャのオリオンとプレアデスの神話だという。

プレアデスとは美しい七人の姉妹の名であった。いつも森の中で遊んでいたが、ある日、猟師のオリオンに襲われた。シリウスという犬を連れて迫るオリオンにプレアデス七姉妹は逃げ惑い神々に助けを求めた。
神々は姉妹を鳩に変えて空に逃がしてやった。そして、そのまま天に昇らせて七つの星にした。
その後、七つの星は六つの星になった。それは、姉妹の1人が人間に恋をして姿を隠したとも、彗星になって飛び去ったためとも言われている。オリオン座は今でも残る6人を追って天空を巡っている。

プレアデス(昴)は7つの星が輝いていた。その一つが爆発したとも言われ、いつの頃からか6つに減った。プレアデスの神話は現実の天体現象に基づいている。
「白鳥説話」も「羽衣伝説」も原点は“星の神話”だったのではないかと。

世界最初の鉄器民族であるアーリア人のヒッタイト王国。ヒッタイト人の最初の鉄器は隕鉄から造られたということで、これが星の神話と鉄との結びつきである。

ヒッタイト王国が滅亡しても鉄器文化はオリエント付近から世界の隅々にまで伝わって行った。そしてそれと同時に、ヒッタイト人の星の神話・白鳥伝説も世界各地に広まって行った。
そのルートは白鳥の渡りと重なって白鳥を知らない地域では天女や海女となって「羽衣伝説」として伝えられていく…

「鉄」と「白鳥」との関係は?
白鳥などの渡り鳥が方角を知る手段は地磁気ではないかと考えられる。
鉄鉱石や砂鉄は磁性を帯びていることが多い…
つまり「鉄あるところに白鳥あり!」というわけである。

話がそれてしまった。このへんで!


太平洋沿岸を飛ぶ (12) - 大瀬崎

2010-01-18 | 中部

伊豆半島の北西端、駿河湾に突き出た勾玉のような小さな半島がある。
大瀬崎とかいて「おせざき」と読む。
琵琶島(びわしま)と呼ばれることもある。
大瀬崎は駿河湾の海流で形成された砂嘴で、一年中多くのダイバーが訪れるダイビングスポットであり、富士山の眺望の名所としても有名な岬である。

大瀬崎一帯は、百数十本のヒノキ科のビャクシン(柏槇)におおわれ、樹林を形成している。
ビャクシンの樹林としては日本の最北端で、樹齢千年以上と思われる老木も見られるこの樹林は、全国的に珍しいものとされ、昭和7年7月25日、国の天然記念物に指定されている。

この大瀬崎の先端には“海の守護神”として知られる大瀬明神が祀られている。
この明神の神域に、底知れぬ深さの池がある。海に近く周囲250mの池だが、水は淡水である。海が荒れた日には海水が流れ込むのに、 池の水はあくまで淡水のままらしい。その不思議な現象から人々はこの池を「神池」と呼び、伊豆七不思議の一つにも数えられている。この神池の水がどこから湧出しているのか。ある人は富士山の伏流水といい、またある人は三島明神の池水がここに湧き出てくるとも伝えられる。

その昔、保元の乱(1156年)に破れ伊豆大島に流人の身となった源為朝が、遥か海を渡りこの明神に源家再興を祈願したという 伝説も残る。


太平洋沿岸を飛ぶ (9) - 柿田川

2010-01-14 | 中部

蛇行する狩野川に盲腸のように繋がる短い川(画面中央)は、一日約100万トンの水量を誇る東洋一の湧水を水源とする、全長約1.2kmの日本最短の一級河川、柿田川である。

柿田川は四万十川や長良川とともに日本三大清流に名を連ねる清流として知られる。
三島駅(画面上)から徒歩30分ほどという都市部に隣接した場所を流れていることにまず驚く。

柿田川はその大部分を富士山からの湧水に頼っているが、富士山に降った雨や雪が地下に浸透し、長い年月をかけた後、柿田川の上流部分で湧き出している。

柿田川にこれほどの流量がある理由は、富士山南部の山麓が水を通しにくい地層(古富士泥流)の上に、水を通しやすい地層(三島溶岩流)が重なっているためだ。富士山に降った雨や雪は三島溶岩流の中を通って、三島市の辺りで一気に湧いて出るのだ。柿田川の水は、湧き水であるため、水温は年間を通して一定しており、そのため多くの貴重な動植物が柿田川には生息しているという。

ミシマバイカモ(三島梅花藻)はその名の通りこの地域にしか生息しない希少な種だ。この水生植物は、かつては三島市内各地の河川や湧水池などで一般的に見られていたが、湧水の減少や水質汚染の影響で、柿田川以外の場所ではその姿を見られなくなった。また11月下旬から12月初旬にかけては一斉に遡上していくアユは柿田川を語る上で欠かせない存在だ。

環境省が選定した「名水百選」や森林文化協会と朝日新聞社が選定した「21世紀に残したい日本の自然100選」などにも選ばれ、日本有数の貴重な河川としてさまざまな場でその価値が認められている。

今を遡ること40年、田中角栄の“日本列島改造論”による開発や、第1次オイルショックの不況対策で、公共事業費の大盤振る舞いに因る乱開発が柿田川でも跋扈(ばっこ)した。それを見兼ねて、1975年、「柿田川自然保護の会」が発足。漆畑会長らが、自然保護の運動に立ち上がった。以来30数年、柿田川自然保護の会の人達の地道な活動・努力によって、この清流は守られて来た。また“柿田川みどりのトラスト”を立ち上げ、川に隣接する自然林や川中の湿地帯の募金による買い取りや、水源の富士山の植樹や涵養までも行っている。



太平洋沿岸を飛ぶ (8) - 狩野川

2010-01-13 | 中部
狩野川は、その源を伊豆半島の天城山系に発し、太平洋側の川としてはめずらしく南から北に向かって流れる。下田街道に沿って北上した後、大見川、修善寺川等の支流を合流し、田方平野を潤し、更に北に向かって蛇行しながら流路を西北に転じ、来光川、大場川の諸支流を合わせ、狩野川最大の支流である黄瀬川と合流した後に、沼津市街を経て駿河湾に注ぐ。

狩野川の水源地天城連山は雨の多い地域で、古来より幾多の洪水を発生させてきた。
鎌倉時代には、大きな洪水のたびに流路を変えてきた狩野川の流れを、西に迂回させるという「守山の開削」が行われたと伝えられている。

明治時代以降も多くの洪水に襲われてきたが、昭和33年の「狩野川台風」は、この流域にとって最も大きな災害をもたらした。

一方で、柿田川に代表される富士山からの伏流水を合わせた流量の豊富なその水は清流としても知られ、天城湯ヶ島や中伊豆では、ワサビ栽培が盛ん。また、鮎の宝庫で友釣りの発祥地でもある。

たおやかなる花の名山 - 朝日岳

2009-05-17 | 中部
白馬岳の北側に連なる朝日岳(2418m)、雪倉岳は、北アルプスの一角に位置する山ながら、やさしい表情のたおやかな稜線が続く。このエリアは花の山、白馬のうちでも見事なお花畑が広がることで知られる。山頂からは白馬岳や剱岳などの北アルプス、妙高連山などの頸城(くびき)の雄大な山々の展望、そして富山湾や能登半島の眺めも望むことができる。この日は、遥か彼方、浅間山の稜線までが、柔らかな朱鷺色の空に浮かび上がった。頂上へは白馬岳からの縦走路のほか、蓮華温泉、小川温泉、そして日本海から続く栂海(つがみ)新道が延びている。

残雪招くよ!早春の北アルプス(10) - 剱岳・後立山連峰

2009-05-13 | 中部
「カニノタテバイ」、「カニノヨコバイ」に代表される連続する緊張した岩場の通過は、熟達した登山者のみが許される憧れのコースである。
その遥か彼方には、鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳など後立山連峰の山々が折り重なって続いている。およそ50万年前から始まったといわれる北アルプスの造山運動の賜物とはいえ、神々が創り出したとしか思えない大パノラマだ。雄大で美しい。

残雪招くよ!早春の北アルプス (9) - 剱岳・立山

2009-05-12 | 中部
白山とは反対の東方に目を移すと、剱岳(2999m)の威容が姿を現した。
北アルプス北部を代表する「岩と雪の殿堂」。
その岩稜で固められた山容は、まるで岩の鎧で身を固めた武者のような迫力が感じられ、圧倒的な存在感で鎮座している。
「北アルプスの南の重鎮を穂高とすれば、北の俊英は剱岳であろう」と、深田久弥は『百名山』の剣岳の出だしに書いているが、誰しも剱岳の際立った姿を目にすれば、この表現が確かであると思うであろう。


残雪招くよ!早春の北アルプス (8) - 白山

2009-05-11 | 中部
僅か数分で、北アルプスの峰々を横断し、富山市上空にさしかかるころ、遥か西方には、朝陽を受け、神々しく輝く白山の雄姿が現れる。
白山は、最高峰の御前峰(2,702m)・剣ヶ峰(2,677m)・大汝峰(2,684m)の「白山三峰」を中心とする、周辺の山峰の総称である。 北陸地方の中では標高の高い山であるため、他の山では残雪が消えた季節でも「白い」山として遠方からでも一目で判明できる山である。
一年を通して白雪の天衣をまとった白山は、農民たちから祖先の霊が宿る聖域、また水を司る神の御座所と崇められてきた。6世紀には、白山を水源とする手取川、九頭竜川、長良川、庄川の各流域でそれぞれの白山信仰が生まれていたという。富士山、立山と並び「日本三霊山」の一つに数えられている。
日本ではこれより西には2,000m以上の山がないため、2,000m超級の高山として最西端の山となる。

残雪招くよ!早春の北アルプス (7) - 有峰湖

2009-05-10 | 中部
北アルプスの霊峰薬師岳に連なる山々の清流を集め、満々と水をたたえた面積5.12平方キロメートルの大人造湖「有峰湖」。常願寺川の支流、和田川の源流に位置し、昭和34年に完成した人造湖だ。ダムの底にかっての有峰村が眠っている。
地名としては元来、山奥にある水源地という意味で「うれ」と呼び、漢字で「有嶺」と書かれていたが、「憂い」に通じるとして、「有峰(ありみね)」に改名されたのだという。
古くは、この標高1,000mの地には高原盆地が形成されており、戦いに敗れた落人が隠れ住んだ場所ともいわれている。厳しい自然環境の中、少数ながら、薬師岳を信仰し、ヒエ、ソバ、ワラビ粉をつくって慎ましく生活していた集落の人々であったが、有峰ダム建設に伴い離散。昭和3年に廃村になった。ダムは盆地への入口である地点に建設され、巨大な人造湖・有峰湖が誕生した。総貯水容量では、山を隔てて東に隣接する黒部湖(黒部ダム)よりも大きい。


残雪招くよ!早春の北アルプス (6) - 薬師岳

2009-05-09 | 中部
薬師岳(2,926m)は、富山県南東部にある北アルプスの一峰で、北アルプスの山のうちでは並外れた山体の大きさで知られる。立山や剱岳の峻険な山容に比べ、雄大だが穏やかな山容を示す。東側には南稜カール、中央カール、金作谷カールがあり、「薬師岳の圏谷群」として特別天然記念物に指定されている。立山連峰の山々の例にもれず、薬師岳もまた山岳信仰の対象であり、阿弥陀浄土としての立山(雄山)に対し、薬師岳はその名の通り薬師如来の浄土として信仰を集めた。山頂には祠があり、銅剣など、数々の修験の宝具が見られる。かつては旧暦の6月15日に西麓の有峰村(大正時代にダム建設のため離散)の住民が登山し、薬師如来に剣を奉納する風習があった。


残雪招くよ!早春の北アルプス (5) - 黒部吾郎岳

2009-05-08 | 中部
北アルプス中央部の三俣蓮華岳のさらに西方にある、すっぽりと雪を被った広大な台地状の高原は、「雲の平」。その名の通り雲沸く天上の原っぱで、この豊富な雪がとけるころ、足元には高山植物が咲き乱れ、まさに天上の楽園となる。そして雲の平の奥、南西方向、巨大なカールを抱く特異な山容を見せるのは、黒部五郎岳(2840m)である。巨大なU字谷を両腕の如き2本の山稜が抱えるような姿をしている。カールの底には羊群岩やモレーン(堆石)がある。大きな岩がゴロ、ゴロ?(五郎)した場所が山名の語源である。



残雪招くよ!早春の北アルプス (4) - 双六岳・三俣蓮華岳

2009-05-07 | 中部
猛々しい槍・穂高の峰々とは対照的に、三俣蓮華岳(2,841)、双六岳(2,660)は、ふっくらとした、たおやかな山容である。生クリームをかけたような滑らかな山腹は、見ていて心がなごむ。
槍・穂高連峰から続く主稜線は、ここから、後立山連峰と立山連峰に分かれる。長野県、岐阜県、富山県の3県の境の山であり、黒部川、高瀬川、高原川の源流ともなっている。
高山植物が咲き乱れる山として知られ、この豊富な残雪の融けるのを待つようにして、シナノキンバイ、ハクサンイチゲ、チングルマなどの花の群落が山を覆う。


残雪招くよ!早春の北アルプス (3) - 穂高連峰

2009-05-06 | 中部


「日本の屋根」、穂高連峰の4つのピーク(前穂、奥穂、西穂、北穂)、そして槍が一望のもと、壮大な景色が広がる。
今年のゴールデンウイーク期間中、春山登山の「穂高・槍」への入山者は4000人を超えるという。
この時期、涸沢カールの涸沢ヒュッテ横には白一色の雪面に色鮮やかなテント村が出現する。
美しい白銀の峰々ではあるが、反面、春山は短い周期で天候が変化し、吹雪になることもある。雪が緩み、雪崩の危険もあり油断はできない。

残雪招くよ!早春の北アルプス (2) - 上高地

2009-05-05 | 中部
焼岳、霞沢岳、穂高岳に囲まれた標高1,500mの谷、上高地では、4月27日、北アルプスに観光シーズンがやってきたことを告げる「上高地開山祭」が、梓川にかかる河童橋の前で開かれた。今、上高地は芽吹きの季節を迎えている。カラマツやケショウヤナギの清々しい新緑が谷を埋めるのも間近だ。これから11月15日の閉山式を迎えるまでの7カ月、登山客や観光客でにぎわう。