ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

2012-02-20 01:14:22 | Weblog
咳が出るので、早めに休もうと思い、
一度は寝るつもりになったものの、結局最後まで読んでしまった。
『ブータン仏教から見た日本仏教』(今枝由郎著、NHKブックス)

日本、フランス、ブータンで、本当の仏教に接した人だけが書ける、
外から見た日本の仏教、仏教の本当のあり方を模索する本だった。

私は仏教徒でありたいと思うけれど、戒律が厳しくて守れない。
ウソと言うか、自分に都合のいいストーリーを捏造するし、
他人を誹謗中傷するし、お酒も飲むし、
もしかしたら結婚するかもしれない。
ストレスがたまると買い物しちゃったりするし、まったくのダメ人間だ。

でも、本当につらかった時期に、
日本の仏教でなんで救われないんだろうと思って読み始めた
チベット仏教の本は、本当によかった。
なかでも秀逸だったのが、マチウ・リーカルの
『僧侶と哲学者』『掌の中の無限』だ。
植物状態で寝ている母の横で、むさぼるように読んだ。
フランス人で、マチウ・リーカルのように仏教と向き合っている人がいるなんて、
本当に驚きだった。

そして、仕事でもイライラすることがあると、
チベット仏教の本を読むようになった。
次第に、小さいころからの仏教に対するイメージが
大きく変化するようになった。

そんなときに会社で出会ったあるお寺さんの娘は、
「実家がお寺だと、庭が広いのとお墓が大きいのがいい」と言っていた。
冗談かと思ったら本気で、
「うちは地元の名士だから、注目されちゃうから困っちゃう云々」と言っていた。
まるで、公家かなにかのつもりのようだった。

その人に、
「私は、チベットに行った時、
冬の未明、凍るような空気の中、読経をあげる僧侶たちの声で感動した」と
本気で話したら、鼻で笑われた。
日本人から「フン!」という音つきで鼻で笑われたのは、
あのときだけだと思う。(中国人からなら、よくある)

自分の寺は、どこの流派なのか、どれだけ由緒が正しいのかを
彼女から延々と聞かされるハメに陥り、閉口したことを思い出す。
ああ、日本の仏教は、人を導くものではないな、
ましてや死んだ人の魂が、無事に旅立てるための精神的な柱になることなんて、
もうできやしないんだ、と、実感させられたランチだった。

OLのランチで、そんな話しをする私が、場違いと言えば場違いだった。

孔子の「怪力乱神を語らず」を拡大解釈して、
物証がないものをすべて迷信と退ける人もいるけれど、
それもまた、偏見だと思う。

今日は読書を通じて、
中国人の祖霊信仰と、それによって中国で変化した仏教について、
共産党下で弾圧された仏教という側面とともに、
もう少し考えてみようかな、と思った。
という面白みが出てくると、明日の中国人上司との交渉も、
少しは楽しめるかもしれない。

仏教は、私にとって、現実を見つめるための大切な柱だ。

盛りだくさんな週末

2012-02-19 19:45:24 | Weblog
昨日、友人と一緒に行ったシノワズリのお店にいた看板ネコ。



朝日を浴びて、気持ちよさそうだった。
このお店のネコなのかな?



中国では、お店でネコを飼っていることも多いんだけど、
先日行った日本料理屋さんにもネコが2匹いたのには驚いた。
料理店の場合は、イヤだなあ。
でも、料理店の場合は、ネズミよけでありがたい、と思うべきなのだろうか。

夜は、MAOというライブハウスに行った。
毛さんの頭部がロゴになっているところが、一番気に入ってる。



ライブハウスでの中国人観客のノリは、こぶしをあげて縦揺れ、ではない。
ふだんの騒がしさ&自己顕示欲の強さとは、少しギャップがあって、少し揺れるだけ。
そして、やっぱり聞かせる系の曲が好きで、一緒にうたう、感じ。
なんだか、93年当時のノリと、あんまり変わってないように思った。

昨日、なんだかんだ言って、一番の収穫は、これ。



上海のインド人御用達のカレー店だった。
厨房にはインド人がいたし、フロアの中国人も親切で、
店内のビデオでは、インドの踊る映画がエンドレスで流れていて、いい感じだった。
それに、味も非常に美味しかったので、いいお店を見つけたと思う。

そういえば、夕陽がいい眺めだった。



なんだか盛りだくさんな週末だった。

先日、『奇面館の殺人』(綾辻行人著)を読み終わったのだけれど、
はじめて『十角館の殺人』を読んでから、もう15年以上経ち、
このシリーズはすべて読んでいるものの、
だんだん記憶が薄れている作品もあって・・・、
このシリーズ完結の折りには、はじめから読み直そうかと思う。

が、人にあげてしまって、手元に残っていない。

三段落ち

2012-02-18 18:08:01 | Weblog
午前中、日本から来た友人と少し上海観光をした。

ホテルのロビーで友人を待っていると、
日本人のシニアさんたちが目の前を通り過ぎた。
きっと、旦那さんが定年退職して、旅行に来ているんだろう。

妻「トイレに行きたいわ」
夫「じゃあ、俺も行っておこう」
妻、ソファーに座っている私のほうをちらりと見て、
妻「中国人もいるから、先に帰らないで待ってて」
夫「わかったよ」

そんなに私、怪しいか?
というか、日本語がわかる中国人も多いのに、そんな発言していいのか。
っていうか、そんなことを言うくらいなら、中国来るなよ。
と、朝から思った。

次に、南京東路を歩いていたら、
ニセモノのカバンを売っているお兄さんたちが話しかけてきた。

お兄さんA「ニセモノ、カバン、ヤスイ」
私「いらない(不要)」
お兄さんB「おいおい、そいつは中国人だ。他の日本人に話しかけなきゃ意味ないだろう」
お兄さんAは、友人のほうにまとわりついてきた。
私「いらない(不要)」
お兄さんA「お前に言ってるんじゃないよ。日本人に言ってるんだよ」
私「うるさい!(日本語で)」

そ、そんなに、私は中国人なのか。

友人をホテルに送り届けるタクシーで、
行き先の地名の漢字を読み間違ったら、運転手さんに、
「なんだよ。こんな字も読めないのか? 大卒だろ~?」と言われた。

はい、大卒です。日本の大学です。
カンペキに中国人だと思われている。
三段落ち、という気分。

発言には気をつけよう

2012-02-17 23:41:12 | Weblog
今日は、仕事で上海人と出掛けた。
いわゆる80后世代の女性で、大学を出ていて、ホワイトカラー。

結構美人なので、2人でアイスを食べながら、
「彼氏いるの?」と聞いたら、
めずらしく照れながら、
「いないよ~。出会いの場がないし~」と言う。
「それは、理想が高過ぎるんじゃないの?」と聞いたら、
「そうじゃなくて、出掛けるときも女性の友人と一緒だから、
男性と親密になるチャンスがないし」とのこと。

普段は、頭がよくてスキがない感じなのに、
照れながら話す様子を見て、「へえ~かわいいな~」と思った。
ということを、最近会社で言うと、
日本人の同僚から、
「おっさん化してますよ」
「それ、日本だったらセクハラで訴えられる」と
笑いながら突っ込まれる。
それが結構おもしろくて、また変な発言をしてしまう。

が、そうだった。
彼氏がいるかを聞くだけで、セクハラになっちゃう国なんだった。日本は。
でも、そんなんじゃ、会社の同僚と全然会話が弾まないんじゃないか?

男性でも女性でも、同僚同士でギリギリのことを言って、
それに対して周囲が、明るく突っ込める雰囲気のほうが、
よっぽど深刻なセクハラを防げるんじゃないだろうか。
ムッツリHよりもオープンHのほうが、みんなが気が楽なのと同じ論理で。

ということで、だんだん日本復帰が遠のくと思う今日この頃。

自販機

2012-02-16 22:50:53 | Weblog
今日の夜、非常に重たい気持ちで会社から出たら、
めずらしく街頭で大好物の「やきいも」を売っているお兄さんがいた。
いつも昼間は売っているけれど、夜は帰ってしまう。
ここのところ雨模様だったから、稼ぎに来たのかな。
おかげで、夕食がやきいもになった。



やきいも最高。

昼間、仕事で上海マートに行ったら、薬の自販機があった。

24時間と、うたっている。
上海マートが閉まったら、24時間でも意味ないと思うけど。

タッチパネルで、いろんな薬が選べる。
お医者さんとオンラインで話すこともできるらしい。
(これは、こわくて押せなかった。)
それに、携帯電話のチャージまで出来るらしい!



お札は、20元札までしか入れられない。
じゃあ、携帯電話のチャージを100元するときにはどうするんだ、と思ったら、
ちゃんと銀聯カードが使えるらしい。

むむむ。すごい、のか?
中国人の同僚に、「薬の自販機があったよ!」と言ったら、
「え~、すごいですね。見たことない」とのこと。
そうか。まだ一般的ではないのか。

で、すいかのトローチを買った。



4元。
中身はピンク色。

こわくてまだ、なめていない。

2012-02-15 23:42:46 | Weblog
風邪をひいた。
会社で隣の席の人が、ゴホゴホとひどい咳をしていたので、
うつったのかもしれない。

気管支は弱いほうで、
しかも、バッチリ肺にまで入ったような気配があるから、
これは長引くだろう。

気をつけていたのになあ。

風邪をひいても会社に出てきて仕事をするのがえらい、という、
ワケのわからない妙な価値観、日本から払拭されないだろうか。
流行ものにかかったら、他人様にうつさないように自宅で仕事をする。
それが偉い、というほうが、よっぽど社会的だと思うんだけど。

さて、近所の公園では、梅が咲き始めた。



中国人のおじさんが、携帯のカメラで一生懸命に写真を撮っていた。
その隣で、私もぱちり。



サクラよりも梅が好きだ。
そして、梅干しはもっと好きだ。

情人節

2012-02-14 21:55:23 | Weblog
「雨の日は、ベランダのトタン屋根に雨粒があたってうるさい」と同僚に言ったら、
みんなから「ああ~」と言われたので、
どうやらうちだけではなく、上海の安アパートはみんなそうらしい。
じゃあ、しょうがない。

最近いろんな人と上海の景気の話しをするけれど、
みんな一様に「バブルは弾けた」でも「日本よりはマシ」と言う。
日本は、どんだけ悪いんだろう。

今日はバレンタインデー(情人節)だったので、
花束を持っている女性がたくさんいた。
中国は、バレンタインデーに、男性が女性に花を贈る。
お菓子メーカーの陰謀が習慣化した国とは違う。
奥さんや彼女が働いている会社宛に、
大きな花束を贈るのが「愛情の証」でもあるらしい。
ざーとらしいけど、結構流行っているようだ。

で、中国の人は、あまり恥じらいがないので、
道を歩きながら、腕を組むのは普通。
チュッチュしながら歩くのも普通。
地下鉄の中では、男性の膝の上に女性が座っていることもある。
特に今日は、ひどかった。

中国は、礼節の国でもないし、
社会主義で自己表現が抑圧されている国でもない。
男女関係のオープンさ加減は、本当に本当に、
もう、笑っちゃうくらいだ。

ただ、歳をとって、
夫婦で腕を組んで歩いているのは、すごくいいなあ、と思う。

日本人増加中

2012-02-14 00:33:14 | Weblog
どうやら、上海に駐在する日本人が増えているらしい。

日本で販売が頭打ちだから、
中国に販路を求めるかたちで中小企業が進出してくるケースが増えている。
会社としても手探り、中国初心者の日本人がいきなり放り込まれるとか。

上海に住む日本人は全体として増えていても、
一人当たりの単価は落ちている。
住むところは、会社がいいサービスアパートメントを借りてくれるけれど、
駐在手当やボーナスは、日本の不景気にあわせて下降線。

そして、家族を駐在させてくれるほどのお金を本社は出してくれないから、単身赴任。
あと、もともと単身者を送り込む会社も多いだろう。

そして、中国の市場はそんなに甘くない、というか、
日本とは全然違うから「いいものを持ってくれば売れるだろう」という予測は裏切られ、
上海もバブルがはじけているもんだから、もう遅くて、うまくいかず、
さびしくて、お姉ちゃんのいるお店に行き、
むかしの日本人の客単価にあわせようと見栄をはり、
そのまま、ずぶずぶと、じり貧になる。

1年後の日本は、もっと暗い。
そんな感じがする。

日本人は、日本のいいものを持ってくれば売れる、と信じているようだけれど、
そもそも「いいもの」の尺度が違うということに気づいていない。
気づいたとしても、そのニーズを探るのは難しいし、
もっというと、メーカーより小売りが強いから、価格競争に巻き込まれ、
そうなると必ず負ける。

中国は、ものをつくる人よりも、
反則したとしても、金を稼ぐのが上手い人のほうがえらい。

駐在員を置くって、お金かかるし、
無理して、上海に来なくてもいいと思うけどなあ。
それこそ、上海に住んでる日本人を現地採用したほうが、
よっぽど現地のコネクションもあるし、放っといても生きて行くし、
いいと思うんだけど。

妄想以下

2012-02-12 23:24:50 | Weblog
今日は、友人宅で、湯船に入らせてもらった。
いや~、ありがたい。
日本人は、湯船につかる民族なんだねえ、と、
ほかほか顔で語り合える友人がいるから、上海も居心地がいい。

さて、昨晩遅く『ブラフマンの埋葬』(小川洋子著、講談社文庫)を読み終わった。

読んでいるうちに、
すごく、以前飼っていた犬に会いたくなった。
動物は、直感で生きているからこそ、人間の心の奥もキッチリと見ている。
また悲しい別れがあるかもしれないけれど、
日本に帰ったら、もう一度、犬が飼いたいと思う。
でも、私は定住するタイプじゃなさそうだから、犬にはいい迷惑かもしれないな。

明け方、悪夢を連続して見た。
上海での難しいこととか、少し前の日本での仕事関係のイヤなこととか、
とにかく、イヤなことのてんこ盛りみたいな夢ばかりだった。

何度も目が覚めたけれど、
でも、おかげで、本格的に目が覚めたときには、
これ以上、イヤなことはないだろうと、腹をくくるような気持ちになった。

そう。
自分の妄想以上に悪いことは、あまり起きない。
人の想像力は怖い。

せっかく中国なのに

2012-02-11 23:47:59 | Weblog
今日は、予定していた仕事がなくなり、
昼まで寝ることができて、スッキリしたと思ったら、
昼過ぎに胃痛におそわれ、横になって読書をした。
単に、辛いものの食べ過ぎと思われる。

そして、夜は、海底捞という火鍋屋に行った。
そこでもやはり辛いものを食べたが、いまのところ体調が悪くなってはいない。

海底捞は、中国でも有名な火鍋屋で、
有名な理由は、そのサービスのよさ、徹底した社員教育にある。
味は、美味しいけれど、ずば抜けて美味しいというわけではない。
火鍋だから、味にそんなに大差がつくわけもない。

店員さんは、日本のお店も顔負けなくらい、一生懸命に給仕してくれる。
日本の場合は、サービスが型である場合が多いけれど、
この店の場合、サービスは個人評価、つまり給料や昇進に直結している。
だから、中国とは思えない雰囲気でサービスしてくれる。
自然な雰囲気で「ありがとう」と言える。中国なのに!
おかげで満員御礼のようだった。
中国には、いろいろな顔があると、改めて思った。

さて、昼間の読書。
1冊目は『ヤクザと原発 福島第一潜入記』(鈴木智彦著、文芸春秋)

線量よりも汚染のほうが怖いということだが、
本当に、放射能に関しては、知らないことがたくさんある。
工場は海外に移転できても、発電所だけは国内になければならない。
だから原発に限らず火力も、とにかく発電所関係には、
土地買収も土木工事もあるものだから、
ヤクザが関わっているというのは、
それはもう避けて通れないものなんだと思う。

そもそも、田舎のヤクザと、都会でシャブを売っている人たちを
同じようにくくれるかというと、それも違うと思う。
日本にも、いろんな顔があるんだ。

2冊目は『びっくり館の殺人』(綾辻行人著、講談社文庫)

久しぶりに館シリーズを読んだ。
挿絵が入っていたんだけれど、なんとなく少年探偵団シリーズを
思い出すような、それとは違うような。
私個人としては、挿絵はいらないと思った。

館シリーズは、映像化できないだろうなあ、と思えるところが好きだ。
つまり、絵で見えてしまったら、その段階でトリックにならなくなる。
作中に『虚無への供物』が出てきたり、
なんとなく、ミステリーの原点に立ち返る作品なのかな、とも思う。

こういうミステリーは、読んでて落ち着くなあ。
そして、せっかく中国にいるのに、また引きこもって読書したい熱が高まっている。