ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

ミステリーでも

2011-09-08 23:52:30 | Weblog
「久しぶりに江戸川乱歩でも読みたいなあ。『二銭銅貨』なんて、どうだろう」
と思いながら上海の本屋さんをブラブラしていたら、
中国語版の『二銭銅币』を発見。
「おおっ、縁がある」と思い、手にとってみたものの、
やはり日本人作家の文章の翻訳とはいえ、
推理小説を外国語で読むのは、とてもとても骨が折れる。
ということで、買わなかった。

乱歩は、ポオの作品を原書で読んでいたんだよな。
あの時代の人はみんなそうだったのだろうけれど、すごいなあ。

すぐ挫けた後ろめたさゆえ、というわけではないんだけど、
『日本渉藏史』と『辛亥革命人物画伝』という本を買った。
小説を読むほどの読解力はないけれど、
歴史を述べている本なら、中国語でも読むことはできる。

昔から歴史の本は好きだったので、よく読んでいたけれど、
小学3年生の頃から、母に「小説を読みなさい」と何度も言われた。
それで「よし、小説ね」と思って選んだのが、
少年探偵団やホームズ、ルパンという子供用の推理小説だったので、
「もっと、人物を描いている本を読みなさい。
歴史でも歴史小説にしなさい。推理小説はロジックだからダメ」
と言われたっけな。

いまだに小説が苦手なのは、そういうことだろうと思うし、
もしかして漫画を読むのが苦手なのも、
物語を読む力が不足しているからかもしれない、と思えるときがある。

それに最近は、何が推理小説なのかがわからなくなってきた。
「ミステリー」という文字が帯に踊る本を買っても、
読み終わってから「これって、ミステリー?」と思うことがある。

例えば、先日読んだ『チーム・バチスタの栄光』も、
もちろん物語としては面白いけれど、ミステリーかというと、
「ミステリー度低」と言いたくなる。東野圭吾さんの文章もそう。
登場人物の誰かに感情移入しながら読み進める人死にが出る物語というか。
どちらかというと、キャラ萌えに近い感覚だな。

キャラ萌えよりも、発想のきらめきで、ハッと思う文章が好きだなあ。
とはいえ、母も私も、少年探偵団、ホームズ、ルパン、すべてにハマり、
小学生の頃、よく登場人物の話で盛り上がった。
ミステリーでも、よかったんじゃないでしょうか。と、母に言ってみたい。

カム

2011-09-08 01:06:49 | Weblog
チベットの踊りや歌のステージを見ながら、チベット料理を食べられるお店に行った。
まず、歌詞がぜんぶ普通語であることに仰天。
彼らが使っていた唯一のチベット語は、「タシデレ」だった。
なんだか、かなしー。
けど、ここは上海だから、中国人のお客さんに伝わらないとしょうがない。
お店ですから、お客さまには楽しんでもらわないと。

で、ようやく少しずつ、
チベットの人たちの、お客さんを大切にする人なつこさが、
このお店独特のアットホームな雰囲気をつくっているのだと、思えてきた。
そう思えるまでに、ものすごく時間がかかった。
あまりに違和感が強かったので、
90年代生まれのチベットの人たちが中心になって繰り広げる踊りは、
2回誘われたけれど、2回とも断った。

以前ラサに行ったときに思わず腹が立った中国人観光客向けの飲食店の騒々しさや、
モンゴルの草原で、夜にドンチャン騒ぎをしている中国人観光客のノリを目にしたときの
「あちゃー」という心境に近かった。

出てくる料理は、どちらかというと四川料理に近くて、辛い。
私が思っていた、トゥクパやトゥントゥクはなかった。
メニューに載っていたモモもイメージと違って、中国風だった。
鶏ちゃんは、頭も盛りつけられていた。



後から聞いたところによると、
お店の人たちは、ほとんどがカム地方の人だということ。
確かにいまの行政区分では、その土地の多くが四川省に組み込まれている。
四川料理に似ていて当然かもしれない。

「カムの男性は勇壮で有名だよね~」と言ったら、
「最近の男性は子どもの頃からテレビばかり見てるから軟弱だけど、昔は有名だったね。
みんな背が高くて、力が強くて」という答えが返ってきた。
で、「そうは言っても、チベットの男性はカッコいい」という話になり、
同席していた女性たちが、そこにいるチベット男性の誰がタイプだ、という話をし、
最後に私にお鉢が回ってきたので、ちゃんと、本当のことを言っておいた。
「ここにいるなかでは、彼が一番いい」と。



「え?」とチベットの人から聞き返されたので、「ほら、あの写真の人だよ」と言ったら、
「うそ? だって彼は、17回も転生してるんだよ」と言うコメントが帰ってきた。
「そうだね。しかも、ものスゴく偉い活仏ね」と返しておいた。
でも、転生の回数の問題なんだろうか。

まあいい。これから、仲良くなりたいな。



できたら、漢民族のいないところで。
やっぱりチベット語をカタコトでも話せるようになるべきか。