ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

帰り道

2010-07-26 20:05:15 | Weblog
帰り道、つまづいて体勢をくずしたら、大粒の雨が降り出した。
いま外は、ピカピカごろごろいっている。

今日は、仕事で、面識がない約10名くらいの外部の人たちと電話で話した。
私の自覚とは別に、意外と営業モードでの会話はうまくいくことが多い。

当然と言えば当然だ。
あくまでも「営業モード」であり、
役割に則って、相手のペースで話を進めようと努力するのだから。

今日は、さんざん言葉を発し、気をつかい、ノドも疲れたのに、
何も話していないような感覚が心にあること、
そして、家に帰ったらまた1人であることに、少し驚いた。
「ただいま」「おやすみ」といった、単純な一言ではあるけれど、
自分の言葉を語る機会がないこと、
これは、絶望につながりうる可能性なのだと思った。

そして帰り道、「なんだか会話がしたいなあ」と思いながら歩いていて、
家の中に1人でいるとき、まったく会話をしなくてもさびしくはないけど、
外に出て、見ず知らずの人と接すれば接するほど、私の孤独感は増す。
山にこもって修行するなら、いっそのこと思い切りこもってしまったほうがいいんだ。

そう思った瞬間、これまでに中国で目にした、仏教の石窟の壁画や仏像が、
たくさん目の前にあらわれた。
長い年月のうえに変色してしまった菩薩の肌の色。
その視線の先が気になる瞳。

なにか大切なものが、ふと心をよぎり、次の瞬間につまづいていた。
そしてただ、ある妄念が消えた。