高齢化の進展に伴って年金や医療などの社会保障費が
今年度の当初予算より上積みされたほか、
待機児童の解消に向けた保育所の整備費などが拡充された結果、
実質的に過去最大となる31兆4298億円となりました。
同一労働同一賃金の実現を目指し、非正規労働者の正社員への転換や
処遇改善に取り組む事業者を支援する事業に780億円。
違法な長時間労働の取り締まりに向け、
定員要求で労働基準監督官の100人増員も盛り込む。
保育所の待機児童解消に向け、受け皿整備や人材確保策などに1397億円を要求した。
30~32年度で22万人分の受け皿をつくる「子育て安心プラン」に基づき、
30年度は9万人分の整備費を計上した。
*
認定NPO法人 「フローレンス」 駒崎 弘樹 代表 のインタビューから:
若者と社会
Q: 若者の多くが、社会の現実と未来に対して、大きな不安と戸惑いを抱えているように感じる。
不安の大きな原因になっているのが、「一度、非正規雇用になったらもう終わり」と
感じてしまうような社会だということです。日本は、いつも学びなおせる職業教育・訓練などの
機会があまりにも少ないのです。
未来社会の研究者・デビッドソン教授は2011年に、当時アメリカの小学1年生の
子供の2/3は、大学卒業時、今存在していない仕事につくと指摘しました。
それほど変化の激しい時代なのに、
再チャレンジができない社会というのは、あり得ないと思います。
Q: 駒崎さんの著作などを見ても、「子供を育てやすい社会をつくる」という信念である。
それを実現するために必要な視点は何だろうか。
現代日本の危機の本質は、少子高齢化に伴う人材不足にあると思います。
若者は年収300万円を境に、結婚願望が急速に低下するというデーターがあります。
若者が結婚して、多くの子どもが育てられるように、
まずは所得を豊かにする必要があります。
また一方で、共働きをしながら子育てできるような社会が必要です。
待機児童のような言葉は死語にしなくてはいけない。
人材を増やすという観点から見れば、国家予算を優先的に再分配し、
投資するべきなのは、若者世代、子育て世代であるといえます。
柴田 悠・京大准教授の研究の研究などから、子育て政策への投資は、
他と比べても極めて経済効果も高いことも示されています。← 幼児教育の無償化など
教育費への援助ですね。
しかし、日本は若者・子育て世代への再配分や公的教育資質が、
先進国の中でも最低レベルという状況をなかなか変えられません。 ← いつものことです。
最近は「保育園落ちた」のブログが政治を動かしたように、
怒りの声を上げることも大切な事だと思います。
Q: 社会との向き合い方に迷い、孤立しがちな若者を、もう一度、
社会に結び直していくには何が必要だろうか。
今の職場は非正規雇用がが多いこともあり、人間関係もドライになってきています。
そこで中間団体の存在が重要になってくると思います。
それは地元のバーベキュー仲間でもいいし、好きな音楽グループのファン・コミュニティーでも
いいかもしれません。ただそこでは、何ができるかできないかで評価されず、
君は君のままでいいと受け入れてもらえることが大切です。
そういうところから社会とつながっていけばいい。