地酒屋のロックンロール日記

酒好き・音楽好きの仕事がらみと個人事をつらづらと・・・

平成20年9月13日(土)  晴   酒米について

2008-09-13 18:39:56 | 貴の一文


貴の一文 「三笠フーズ」の問題と「酒米」について

こんにちは。
「三笠フーズ」の汚染米問題。
最初は焼酎メーカーに降りかかったかと思いきや、
日本酒メーカーにも飛んできました。

やはり、こういう問題が起きたときに怖いのが、
「焼酎蔵も日本酒蔵もでたらめをやっている」という風評被害です。

誤解をされないように基本的な事から説明したいと思います。
まず、私たちのような地方の蔵が全国に出荷しているお酒は「本醸造」以上。
すなわち、「特定名称酒」です。

本醸造、純米酒以上のクラスのお酒は、酒税法で
「3等以上の検査合格米」という厳しい制約があります。
地域ごとに集められたお米は30kgの袋ごとにすべて取り出され、
検査をされます。

検査を受けた後は、その袋のまま自社の精米所にいくか、
委託精米所に行きます。

委託精米所は例えば1000kgのお米を納品して60%精米でお願いすれば、
そのとおりに持ってこなければ信用に関わります。

酒蔵に納入した後は、酒蔵には定期的に税務署による調査および、
食糧事務所による「加工米」の調査がありますので、
おかしな米を混入すれば、とんでもない事になります。

過去に実際にあった話では、仕込みの一部にお米が足らなかったため、
普通酒用に用意していた山田錦の等外のお米を数kg入れたら、
そのお酒が入った純米酒がすべて「普通酒」にしなければならないと
指導されたという事があるくらい厳しいのです。

※ちなみに加工米という酒造用に使われる一般米もきちんとした検査合格米です。

まず、特定名称酒では事故米の混入はありえないと考えます。

ただ、特定名称酒ではない「普通酒」では蔵元の倫理次第になってしまいます。
三笠フーズが出荷したような考えられないような価格のお米も
使用してはならないというルールはありません。

追説 特定名称酒に使われる酒造米はキロ300円前後

ただ、普通酒に関してもきちんとした価格のものを購入して手間隙かけて
造ってる地方の蔵元もたくさん居ることは知ってほしいと思います。

今回の問題、三笠フーズは論外として、
焼酎メーカーさんにはやや可哀想な気がします。
清酒用原料と違い、焼酎用原料としてのお米は私達の感覚より安い値段で
流通していることも実際多いのです。
※もちろん、私達酒蔵と変わらない米を使われている焼酎蔵元もありますよ。

追説 黒木本店では「橘」、「きろく」に使う麹米の米(ヒノヒカリ)はキロ205円

ただ、起きてしまった事は起きてしまった事として、
今回のお米は「中国産メタミドボス汚染米」でしたから、
今回問題になったメーカーは「今後国産原料しか使用しない」くらいの
決意表明が必要かもしれませんね。

追説 あまりにも安い国産米表示は疑ってかかれということですね。

安全、安心なおいしい日本酒、焼酎を造っている蔵は沢山あります。
どうぞ今後とも宜しくお願いします。

明日、「会津娘」では無農薬栽培 「五百万石」の収穫祭です。