地酒屋のロックンロール日記

酒好き・音楽好きの仕事がらみと個人事をつらづらと・・・

平成20年9月7日(日)  早出し「ひやおろし」に物申す!!

2008-09-07 20:35:27 | 貴の一文


貴の一文  ひやおろし編

こんにちは、久しぶりの日記です。

私事で恐縮ですが、9月1日にはれて「33歳」になりました。
私が酒造りの世界に入ったのが21歳の時なので、時間が経つのは
早いものです。。。

さて、今回は「ひやおろし」について書きたいと思います。
最近、「ひやおろし」をやる蔵元が増えた事は事実です。
私はそれに関しては悪いことだとは思いません。
多くの蔵元が商品のアイテムとして「ひやおろし」に思いを寄せるのはいいことです。

しかし、蔵元の数が増えたことにより本来の意味からあまりに
遠くなっている事に警笛を鳴らさなければならない時期に来ている気がします。

もう一度原点に返って「ひやおろし」とは?について考えましょう。

『ひやおろし』とは

冬季に造られた酒は、火入れと呼ぶ加熱処理をしたあと、
春、夏を越して半年の間、貯蔵・熟成されます。
そして秋風の吹く頃、外気温くらいに冷えた清酒は、火入れを行わず、
そのまま樽などの容器に生詰めして出荷されます。
このことから「冷やおろし」と呼ばれるようになったようです。
※月桂冠お酒の博物誌より抜粋

ここに「秋風の吹く頃、外気温くらいに冷えた清酒」という言葉があります。



このあたりに、ひやおろしを楽しみにしていた
昔の人達の感覚が掴めるのではないかと思います。

次に、「日本酒の日」についても説明があります。

 10月1日は「日本酒の日」です。
酒という字は、「酉」(とり)に由来します。
十二支の10番目は「酉」であり、また「酉」の文字は、
酒壺の形をあらわす象形文字で、酒を意味します。

1965年(昭和40年)以前の
酒造年度は「10月1日から」と
定められていたこともあり、蔵元ではこの日を「酒造元旦」として祝っていました。

1978年(昭和53年)以来、業界(日本酒造組合中央会)では、
10月1日を「日本酒の日」に制定しました。
10月は、収穫された新米を使って新酒が醸造される時期です。
また寒造りした酒は、半年以上貯蔵・熟成させ、
冷やおろし」としてこのころから出荷されます。
※同抜粋

私が個人的に述べているのではありません。そう書いてあるのです。

あと、近年言われている「重陽の節句」にひやおろしをという論理。

旧暦の九月九日は、九というもっとも大きな奇数の陽の数字が重なることから
「重陽の節句」といわれます。

この日、長生きの効果のあるという「菊の花の酒」を飲む宴をはり、
長寿を願い、災難を払うおまじないを行います。
この日を境に、翌年の三月三日の「桃の節句」まで、
日本酒はお燗にして楽しむのが正式です。
l※同抜粋

旧暦の9月9日と書いてあるではないですか!
旧暦の9月9日とは、すなわち今年では10月11日です。
誰も、グレゴリウス暦で「重陽の節句」だとは言ってません。

焼酎と日本酒の違いの一つとして私は「旬」があるのではないかと思っています。
日本酒が出来た新酒の時期は新酒を楽しみ、秋風が吹き、
衣替えが始まる10月に
「お、もうひやおろしの発売の時期だな」って季節を感じる。
三陸沖でとれたさんまが食卓に並ぶ。



もう一度、本来あるべき形を学ぶことで、
日本人は本来もってる「旬」という事を再認識するのではないでしょうか。