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つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

冬の向こうに昭和を見遣る。

2015年11月07日 13時42分25秒 | これは昭和と言えるだろう。
わが津幡町は、流通業界の激戦区だ。
地元の古豪「カジマート」。
能登の強豪「どんたく」。
越前の勇者「プラント3」。
備前の刺客「ラ・ムー」。
近江の雄「アル・プラザ」。
農協ブランド「Aコープ」。
人口4万人に満たない町には、6つの大型店舗がひしめいている。
コンビニやドラッグストアも多く、
更に、南も北も「イオン」に挟まれ、まさしく群雄割拠。
故に週末の新聞は、挟まれた宣伝チラシによってかなり分厚くなるのが常だ。

本日・2015年11月7日、スーパー各社の共通項は「カニ」である。

ついに解禁!冬の味覚到来!地物ゆでたて実演販売!など、
どこも手書き風のフォントで、勇ましいキャッチが踊っている。
ならば!と思い立ち、散歩中に「Aコープ津幡店」へ立ち寄ってみた。
店頭は、やはりお祭り気分。
入口では、カニ合戦の幕開けを告げる幟旗が風に揺れ、
初物がズラリと並んだ売り場では、店員さんの威勢もいい。
 
 

そして、賑やかな冬の始まりを見つめるうち、
脳裏に幼かった頃の記憶が蘇ってきた。

昔、不定期に生家を訪れる恰幅のいい年配の女性がいた。
僕は、彼女を「しろのばあちゃん」と呼んでいた。
「しろ」は、ここ津幡から最も近い海辺、現在のかほく市「白尾」の事である。
どんな縁故があったのかは、まったく分からない。
本名すら知らない。
しかし、幼い僕は来訪を心待ちにしていた。
…夏はアイスクリームや西瓜。
…冬になると甘エビやカニ。
いつも手土産を携えていたからだ。
取り分け、海産物は大のご馳走。
学校から帰り、彼女の存在を認めると嬉しかった。
今日は何を持ってきてくれたのだろうと、期待に胸を膨らませたものである。

「しろのばあちゃん」が存命だった当時、
カニは、今よりずっとお手頃で身近な食材だった気がする。
香箱ガニ(メスのズワイガニ)は、子供のオヤツだったという話も聞いた。
旬の味であり、季節の風物詩としての位置づけは変わらないが、
これほど持て囃されてはいなかったように思う。
カニ漁の解禁が世間を賑わせる度合いも小さかったのではないだろうか。

ともかく、日本海に冬を告げる使者は、今よりずっとフレンドリーだった。
コメント
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