つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

津幡まつり~昭和の夏。

2010年07月31日 10時29分04秒 | 日記
今日は、午後1時から、近所の「住吉公園」で
「つばた町民八朔まつり」が行われる。
飲食の出店が並んだ会場中央のステージでは、
戦隊モノのキャラショーあり、民謡・ポップスのステージあり。
時間を区切った盆踊りが行われ、小規模の打ち上げ花火が夜空を彩る…。
楽しみにしている方も多いだろうし、実施自体をとやかく言うつもりはないが、
それは、日本各地、どこにでもありそうな「夏のイベント」。
健康的で明るく、然したる特徴は何もない。
“昭和の「津幡まつり」”を知る者としては、どこか寂しさを禁じえないのである。

僕が小学生の頃の「津幡まつり」は、8月初旬の土・日、2日間の開催。
「今日の一枚」で掲載した景色の中…
津幡小学校が建つ「大西山」から、四つ角交差点の「おやど橋」まで、
道の両側にびっしりと夜店が並んだ。

リンゴ飴、綿菓子、試験管に入った毒々しいまでに赤いジュース。
トウモロコシが焼ける甘い香りと醤油が焦げる香ばしい匂い。
射的、ヨーヨー釣り、金魚すくい、型ヌキなど、
チープなエンタテイメントが勢揃い。
嬌声や笑い声が交錯し、
全国から集うテキヤの聞きなれないイントネーションが飛び交う。
時折、捲りあげたシャツの袖口から刺青が顔をのぞかせ、
裸電球の灯りに生々しく映える。

坂の途中には、膝をついた傷病兵。
白装束に兵隊帽姿で、ゲートルを巻いた左足は膝から下が義足だった。
炎天下の下で汗を拭う傍らには、募金箱と軍歌が流れるラジオ。
時折、金銭を恵んでくれた人に無言で頭を下げていた。

詰将棋に興じる大人たちの横には、
掘っ立て小屋の「お化け屋敷」が出現し、
小学校の体育館では、女の胴体を宙に浮かせる
怪しげなマジックショーも開催。
窓に暗幕を張り、締め切った埃っぽい空気の中で、
息を詰めて舞台の成り行きを見守った。

昼は、津幡小学校の鼓笛隊が街中を行進し、夜は盛大に踊り流し。
紅白の布が巻かれた櫓の上で奏でる「炭坑節」や
「つばた音頭」に合わせ人波が練り歩く。
統一された踊りの群は、まるでそれ自体が一つの生き物のようだった。

猥雑で賑やかな昭和の「津幡まつり」。
僕にとっては、ノスタルジックな真夏の夜の夢である。
コメント
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