つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

津幡小学校、芝生に佇んでいる百葉箱。

2010年07月19日 23時48分04秒 | 日記
「今日の一枚」は、津幡小学校の「百葉箱」。
おそらく30年以上、同じ場所に鎮座している。

木箱の中には、中身は温度計や乾湿計など。
直射日光や雨などの影響を直接受けずに、正しく気象観測ができるよう、
外側は光を反射しやすい白で塗られ、風通しをよくする為に「よろい戸」を設け、
地面からの照り返しを防ぐため、
芝生の上などに、ある程度の高さを保って設置されている。

ネットで値段を調べてみたら、この大きさだと10万円では手に入らない。
なかなか高価な物である。
百葉箱は、全国各地の小学校に戦前から設置され、気象観測が行われてきた。
また、小学校だけでなく、気象台でもデータ収集に使われるのが一般的だったが、
1993年・平成5年、自動観測機器の普及に伴って、百葉箱での観測を廃止。
それ以降は、気象台の職員がボランティアで補修や維持、管理に当たってきたが、
老朽化が進むにつれて維持、管理が難しくなっていき、
次々と百葉箱が撤廃されているらしい。
こうした状況は、学校でも同じだ。

やがて、新しい校舎になった時、この百葉箱はどうなってしまうんだろう?
できれば残して欲しいと思う。
僕も、百葉箱当番になって、気温や湿度の観測をした記憶があるが、
願望は単なるノスタルジーだけでない。
自分の目や手で、貴重な情報を得るための、またとない教材の一つだと思う。
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津幡町・虫日記②~薄暮の恐怖~

2010年07月19日 06時22分22秒 | 自然
きのうは、久しぶりに夕方から散歩に出た。
いつもは早朝が多いせいか、同じ道・見慣れた景色の中を歩いていても
新鮮に感じる。

その理由は、まず何といっても光が違う。

朝は太陽が昇るにつれ光の当たる角度が10分単位で変わっていくが、
それぞれが単色だ。
時間の流れに合わせ過去の色はすぐにかき消され、刻々と薄くなってゆき、
やがて、透明な世界になる。 後に残るのは、影が落とす黒だけだ。
彩りを楽しめる時間は意外なほど短い。

夕方は太陽が沈むにつれ、光の当たる角度がどんどん変わっていくが、
その変化には、過去の余韻がある。
夕陽から遠ざかるにつれ、黄金、橙、薄紅、藍、菖蒲、薄墨、漆黒…
複雑な色の波が広がるグラデーション。
時間の経過に歩調を合わせ、世界の色は濃くなっていき、
やがて、黒以外の色が無くなり闇になるまでの時間は、思ったより長い。

また蠢く動物たちが違う。

鳥に代わって、空の支配者の座に座るのはコウモリだ。
彼らは、光も音もない空間で超音波を頼りに獲物に近付き、狩りをする。
そして「今日の一枚」…まるで宙に浮いたように映る「蜘蛛」も
ハンティングに忙しい。
暑い日中より涼しい夕暮れの方が虫も多くなり、網にかかり易くなる。
しかも、光が急激に減っていく薄暮時は、秒単位で視力が奪われていくため
張り巡らせた糸は闇に溶け込んでしまう。
見えない罠ほど恐ろしいものはない。

(正確に言えば「蜘蛛」は昆虫ではないが「虫日記」とした。)
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