つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

初夏、津幡町の青空のもとに、バラは美しく咲く。

2010年06月06日 22時57分19秒 | 草花
中学生の頃「ベルばら」に夢中になった。
既に週刊マーガレットでの連載は終わっていたが、
宝塚の舞台での人気を背景に、TVアニメが放映され、
その美しさと世界観に魅了された僕は、後追いで原作を手に取る。
それは、数年間続く「フランス狂い」の始まりだった。

ちょうど、個人的にフランスへの刺激が相次ぐ。
料理人「秋山篤蔵」が西洋料理に打ち込むドラマ「天皇の料理番」では、
オープニングに流れるシャンソンにのせて流れる調理風景を見て、
魅惑の味を妄想した。
男子ばかりの寄宿学校を舞台にした「竹宮恵子」の名作「風と木の詩」では、
美しき美少年「ジルベール・コクトー」の魅力に震えた。
「ゾラ」の「居酒屋」や、「堀口大學」訳の「ボードレール」の「悪の華」を読み、
「コクトー」の詩を詠み、「クリムト」の絵画を観た。
スクリーンでは、全裸で足を組む「マダム・エマニエル」の隠微、
「ソフィー・マルソー」の愛らしさとコケティッシュな魅力にハマった。

赤い風車が回るムーランルージュ。
サクレクール寺院の鐘の音が響くモンマルトルの丘。
ココット達の笑い声が響く巴里の空の下…。
憧れは広がる。
つまり、僕はフランスの紊乱な文化に夢中になったのだ。
我が身を滅ぼす事に畏れず、退廃を楽しむ側面に魅了された。
ちょうど青空に染まらず、真紅の花を開くバラの様な。
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荒れ地への挑戦。

2010年06月06日 09時30分40秒 | 自然
今朝、散歩中に写した一枚を掲載した。
明るい日差しの下に生い茂る「葛」である。

「葛」は、人間にとって利用価値の高い植物だ。
根っこから採れる「葛粉」はお菓子の材料に。
根の皮をはいで干したものは漢方薬の「葛根」に。
ツルは乾かすと籠などの材料になり、繊維を採って「葛布」にもなる。
キチンと利用すれば、捨てるところがない。
また「葛」は生命力も旺盛だ。
染井吉野が散って、八重桜が開き、初夏になるとグングンとツルを伸ばす。
三枚葉の緑が辺りを包み隠すまで、それほどの時間は必要ない。

だが、そんな「葛」にも苦手とする場所がある。
それは、アスファルトという荒野だ。
写真は、画面左手にある土手から、アスファルトの道路上へと進出しはじめた様子。
おそらく、この「挑戦」は、毎年繰り返されてきたのだろう。
道の端から端へとツルが渡った跡が、あちこちに見てとれるものの
道一面を覆い尽した様子は、まだない。
雨や露すら染み込むことを拒み、真夏の太陽の下で灼熱の大地になる。
ある意味砂漠より厄介なここを制するのは「葛」とは言え容易ではないようだ…。

やがて蝉時雨が通り過ぎ、秋の気配が漂うようになると
秋の七草の1つでもある「葛」の花が開く。
熟したグレープのような瑞々しい香りがあふれる頃、また訪れてみよう。
今年の戦いの結果を見届けるために。
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