ringoのつぶやき

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欧州問題のその後(森田コラム)

2012年03月19日 22時07分11秒 | ケンミレコラム

 

世界の株式市場が上昇している要因は、第一に欧州デフォルト問題の解決、第二に米国景気の上昇による円安、第三にあまり表面化していないイラン制裁問題、第四に米国・フランス・中国と世界のトップが交代するのですが、中国は交代によって新しい政策が実行されるのではないかという期待感、第五に日銀が金融緩和姿勢を鮮明にし、さらに1%ですがインフレターゲットを発表したこと、第六に景気対策によって日本の経済が底上げされていることなどがあります。

円安問題では、ドルに対する円安は当分続くと思われますが、1ユーロ110円を超えたユーロに対する円安問題は時間の経過で円高に変わると思います。これが将来の悪材料になります。欧州問題はユーロに対する円安から円高への転換よりも、もっと大きな問題があります。

それは、欧州各国が緊縮予算を組むことによって景気が悪化することです。IMFは景気が悪化した後に景気は回復するので緊縮予算の編成はプラスになると言っていますが、実は緊縮予算という国民に不人気な政策よりも、1回で終わる増税による財政赤字の補填という方向に欧州各国が流れていますので、緊縮予算プラス増税というダブルパンチを欧州経済は受けることになります。

景気の悪化は、財政赤字を拡大させます。財政赤字の拡大はその国の国債を暴落させますので、どこかでデフォルトの第二ラウンドが始まると思います。そして、もう一つの問題は、中国は2012年の成長率を7.5%に下方修正しましたが、下方修正の要因は輸出の減少です。中国の第一の輸出先は欧州であり、欧州景気の悪化は中国景気にも大きな影響を与えます。

したがって、欧州景気が悪化したというニュースが流れ始めれば、続いて中国景気も悪化するのではないかという観測が出てくると思いますし、欧州景気の悪化は中国だけでなく米国や他の新興工業国、日本にもマイナスの影響を与えると思います。

つまり、依然として欧州危機は続いているのですが、ギリシャのデフォルトを欧州が回避させたことで「目先の安心感」と「その間に米国景気が回復したこと」「円安が進んだこと」などで、日本の株式市場は上昇していると思います。

日本の株式市場の上昇要因で一番大きな影響を与えているのは円安と、もう一つ外国人が本格的に日本株を買いだしたのではないかという期待感です。確かに、外国人投資家は、一度買いだすと4~5年は買い続けるという習性がありますし、欧州に投資していた資金を日本市場に振り向けるという決断を外国人投資家がしても「欧州危機がある以上」不思議ではないと言えますので、外国人投資家が今後も日本株を買い続ける可能性は高いと思われます。

また、ダイレクトに株式市場にマイナスの影響を与える要因としては、イラン問題があります。専門家に言わせますと、北朝鮮が核を持つリスクとイランが核を持つリスクでは雲泥の差があり、米国はイランが核を持つことを絶対に許さないとのことです。

オバマ大統領も「イランの選択肢は狭まっている、イランの核問題に対する時間的猶予は無くなりつつある」と先週発言しています。また、イラン制裁を強化するという会見も行っています。

イランが経済制裁によって本格的にダメージを受けるようになったとき、世界の20%、日本の80%の原油が通過しているホルムズ海峡をイランが閉鎖したときに何が起こるか、原油価格が200ドルを超えた時に何が起こるか、イランおよびイスラム原理主義者による米国へのテロが起こるのではないかというリスクがあります。

原油価格の暴騰は、米国経済に最も大きな影響を与えると言われています。つまり、回復しだした米国景気が個人消費の悪化によって再び悪くなれば、円安も止まりますし、米国景気の悪化による世界経済の規模の縮小という問題も起こってきます。

つまり、今の株式市場の「悪材料が一旦消えた踊り場」にあるのではないかと思います。

ケンミレでは「数年間は日本の株式市場が上昇する可能性が高い」と考えています。それでも悪材料を取り上げますのは、何かが出て株式市場が急落したときには、世界の主要国は問題解決のために努力して、一時的に株式市場が下落したとしても最悪の状態が続くような展開にはならないと思っているからです。さらに、消去法で外国人投資家は日本株を買い続ける可能性が高いと思います。

したがって、欧州の株式市場が本格的な調整に入ったとしても、日本市場は一時的な調整を行ったあとは再び上昇する可能性が高いのではないかというのが、今の日本市場に対するケンミレの第一のシナリオです。世界の好悪材料でも非常に高度で政治的な好悪材料が沢山ありますので、相場分析は非常に難しいと思います。

相場分析のキーは、いろいろな好悪材料に対しての「重みづけ」にあり、この重みづけを間違えなければ、大きな好悪材料が存在しているときほどチャンスが多くなることになります。

レポート担当:ケンミレ株式情報 森田 謙一



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